なにかとストレスの多い現代社会。いろんなリフレッシュゾーンがありますが、特に疲れたビジネスマンにオススメしたいのが日本旅館や和式のビジネスホテル。
実は、東京都内には風情あふれる和風旅館が意外とあるんです! しかも、アットホームで宿泊料金もリーズナブルな宿が!
東京タワーが見える立地
今回紹介するのは港区芝の「春日旅館」です。東京タワー、増上寺、芝公園などの歴史ある観光スポットや慶應義塾大学を始めとする学校を擁し、東京駅、羽田空港にも短時間でアクセスできる便利で落ち着きのある街、港区芝。
そんな芝の三田通りに「春日旅館」が開業したのは、今から111年前の明治40年(1907年)のこと。老舗旅館として繁盛していましたが、太平洋戦争の空襲で建物を焼失。現在の春日旅館は、戦後の再建を経て、約50年前に建てられた趣ある建物です。
「当館のある一帯は空襲で焼け野原になり、その頃は、ここから現在のJR田町駅や慶應義塾大学も見えました。2代目であった私の母は、荷車を引いて、焼け跡から木材を調達し、わずか2部屋の旅館を再建。半紙に開店を知らせるチラシのようなものを作って宣伝したことを覚えています」
こう語るのは三代目女将の加藤恵巳子さん。加藤さんは御年83歳の生粋の芝っ子。昭和初期から、この街の歴史と変遷を見つめ続けてきたそうです。東京タワー建設の際は、日に日に伸びていくタワーの様子を、その足元から見上げていたといいます。
二代目と共に力を合わせて春日旅館を再建し、その後、現在の本館を建てて50年以上。別館も増築し、昭和の趣を残す、この和風旅館を大切に守り続けてきました。
大都会の谷間にある和のくつろぎ
JR田町駅、都営地下鉄赤羽橋駅など、周辺の駅から徒歩約5~7分。最新のビルディングが数多く立ち並ぶ、三田通りに春日旅館はあります。格子戸を開けて一歩入ると、そこには打ち水を浴びてしっとりと濡れた踏み石が旅人を出迎えます。コンパクトで懐かしい雰囲気の玄関で靴を脱ぎ、廊下に立つと温かい木のぬくもりを感じる。今回も素敵な宿との出会いに感謝。
「当館は、出張などで東京にいらっしゃるビジネスのお客様、観光やイベントが目的で東京へいらっしゃる家族・友人同士のお客様、近隣の大学にスクーリング(通信教育で学んでいる人が、教室で教員と直接対面して授業を受けること)でいらっしゃるお客様、スポーツの試合で上京される小規模な団体のお客様が多いですね」と加藤さんは話します。
天窓から光が射す大浴場
間取りや雰囲気もさまざまな客間を拝見した後は、春日旅館自慢の大浴場へ。天窓から太陽光がさんさんと降り注ぐ湯船は、大人数名が一度に入れる、ゆとりあるもの。大型の窓から入る外気により、露天風呂に近い爽やかな空気を感じることができます。
この大浴場が気に入って、常連となるお客様も多い、とのこと。大きなお風呂で汗を流し、畳の和室でくつろぐ。これこそ和風旅館で過ごす醍醐味といえるでしょう。
これからも、一期一会を大切に
「芝界隈は開発が進み、昔の面影を残す建物は少なくなりました。しかし、裏道や路地を歩くと、古き良き時代の空気を感じることがあります。当館も、そんな場所のひとつでありたいと思っています。旅館は、さまざまな方の人生が行き交う場所であり、さまざまな出会いに満ちています。これからも一期一会を大切に、訪れるたびにホッとする宿でありたいと考えています」
空襲の焼け跡から不死鳥のようによみがえり、今も多くの旅人に心安らぐひとときを約束する春日旅館。その魅力は、巨大なビルディングが立ち並ぶ芝の街の中で、時代を超えた輝きを放っていました。というわけで、今回の取材も無事完了! さあ、風呂入ってビール飲むぞ~!
<お問い合わせ先>
春日旅館
住所 〒105-0014 東京都港区芝3-43-18 03-3451-1443
交通アクセス JR田町駅 徒歩約7分/都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅 徒歩約5分
都営地下鉄三田線 芝公園駅 徒歩約6分