インターネット上で見かける「これ、本当? 」などと感じる健康に関する「都市伝説」の真偽に迫る本連載。今回のテーマは「ニキビとセルフケアの関係」だ。
誰しも一度はニキビができた経験があるのではないだろうか。鏡で見た顔にぽつんと赤い斑点が目立とうものならば、ついつい自分の爪などでつぶし、内容物を出したくなるかもしれない。
だが、その一方で「ニキビを無理につぶすと増える」
という噂を見聞きしたことがある人もいるはずだ。もしこれが本当ならば、私たちはわざわざ自分でニキビを増やしていることになるのだが……。
真相を確かめるべく、南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師に話を伺ったところ、「ニキビをつぶしても増えるとは思えません」との答えが返ってきた。どうやらこのうわさは「嘘」のようだが、悪化の可能性があるため要注意だ。
「肌の内部に詰まっている芯のようなものを取り出そうとして、自分の指でニキビをいじることで症状を悪化させる人はいます。中の芯を押し出そうとして炎症を悪化させたり、ひっかき傷を作ったりとかですね。そうしてしまうと赤みの引きも遅くなり、色素沈着も起きやすくなります。自分でニキビをつぶそうとするのは好ましくないですね」。
そもそも、皮脂などの汚れは自分の指でちょっと押したぐらいでは出てこないほど奥まったところにあるケースが多い。服部医師が「触らないことが一番のケア方法」というように、無理に取り除こうとすればするだけ、悪化するリスクが高まると覚えておいた方が賢明。どうしても気になって対処したい場合は、皮膚科で面ぽう圧出をしてもらうようにしよう。
化粧はしっかり落としてから睡眠を
さらに服部医師に自宅でのケア方法について伺ったところ、「市販のニキビ用のクリームを使ったり、洗顔などのスキンケアを忘れずにしたりすること」などが大切だと教えてくれた。特に女性の場合、ついつい化粧を落とさずに寝てしまうこともありがちだが、これはニキビには絶対NGだと覚えておこう。
念を押す形になるが、くれぐれも自分でニキビをつぶすようなことはしないように!
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)
東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。