仕事でモヤモヤすることは、社会人なら誰しもあること。「自分ばかりがんばっている」「意見を言っても聞いてもらえない」……長く働いていくうえで、そんな焦りや無力感を抱いたときに、どうすればよいのでしょうか。
それを解決するヒントは、「思考のクセ」にあるかもしれません。キャリアコンサルタントである著者・福所しのぶさんが、変化が激しい今の時代に必要な「働くためのマインドセット法」についてまとめた書籍『仕事のモヤモヤ・イライラを止めて自分を取り戻す 小さなルーティン』(あさ出版)より、一部をご紹介します。
全5回の連載、第1回は「自分らしく働けないのはストレス思考のせい」です。
自分らしく働けないのはストレス思考のせい
仕事がつらいと思ったとき、「転職したら何かが変わるかもしれない」「転職したほうが早いんじゃないか」と思うことがあるでしょう。
もちろん、転職して今の苦しい状況を逃れるのは1つの手段です。
でも、ちょっと待ってください。
というのも、ストレスを生み出すストレス思考を持っていると、転職して環境を変えたとしても、ふたたびつらい状況に陥り、仕事でストレスを抱える可能性が高いからです。
では、仕事でストレスを抱えない人はどんな人なのでしょうか。
仕事でストレスを抱えない人は、自分らしさを発揮しやすい考え方をしているという特徴があります。
「自分らしさ」というと、「自分の好きなこと、得意なことを活かせている」という状態を思いうかべる人は多いと思います。
でも、「自分らしさ」とは、単に自分が好きなこと、得意なことをしていることだけではありません。
- 仕事のメンバーや取引先といい関係が築けている
- 職場や取引先から必要とされている、役立っていると感じる
- 挑戦してみたいことを職場の人が後押ししてくれる
- ワークライフバランスがとれている
このように、自分自身がまわりからあたたかく受け入れられている感覚や自分が仕事を通じて他者の役に立っている感覚、仕事を通じて成長している実感、さらには自分にとってムリのないペースで仕事ができる感覚を持てることも含まれます。
「自分らしい」とは、自分がすることにやりがいを感じられて、さらに、まわりの人と接するときに背伸びをせず、卑屈にもならず、等身大の自分でいられる、「この方向でいいんだ」という安心感と充実感があることなのです。
こうした安心感や充実感の根底には、自分で方向性を選ぶことができていたり、自分の思い描いている方向に進んでいる感覚があります。
この自分で方向性を選んでいる感覚は、幸福度や満足度に大きく影響することが研究でわかっています。
独立行政法人経済産業研究所による2万人の日本人を対象とした2018年の調査研究では、自己決定度の高い人ほど幸福度が高いことがわかったのです。
また、脳科学でも、自分の行動で望ましい結果を得た場合は、脳の報酬系と呼ばれる部位からドーパミン(やる気の脳内ホルモン)が分泌されることがわかっています。
さらに、自己決定による行動の場合は、その行動が失敗に終わっても、動機づけや報酬に関わる脳の部位が活性化することもわかっています。
これは、その行動を行う意欲があって充実感を得ている状態にほかなりません。
脳には、自己決定による行動をとることで高いパフォーマンスにつながるしくみがある、というわけですね。
つまり、「自分の選択によって結果がコントロールできている」、あるいは「コントロールできそうだ」という感覚が「自分らしさ」につながるのです。
これを裏返して考えてみると、仕事でストレスを抱えて疲れてしまうのは、自分が握るべき〝人生のハンドル〞をいつのまにか手放し、自分らしくない状況に陥っているということです。状況を変えるには、まずこの人生のハンドルを取り戻さなければならないのです。
『仕事のモヤモヤ・イライラを止めて 自分を取り戻す 小さなルーティン』
★転職を考える前に身につけておきたい「仕事で疲れないためのマインド」について書いた本
★仕事で結果を出していても、仕事でストレスをためてしまう理由について書かれた本
★仕事で気を遣いすぎてしまう人が結果をだせるようになる本
★「意見を言っても聞いてもらえない」「まわりから評価されていない」「自分ばかりがんばっている」と思わなくなる本
社会人なら嫌な仕事もガマンしてやるのが当たり前。リーダーなんだからきちんとできて当たり前。
こうした考えが残る一方で、人手不足、職場の高齢化、価値観の多様化の影響で、キャリア形成を考えながら自主的に働くことが求められる時代なりました。
変わらなきゃと思いつつも、「自信がなくて意見が言えない」「意見を言ってもわかってもらえない」「何を言ってもムダ」という焦りや無力感を感じている方も多いかもしれません。長く働いていくうえで避けては通れない問題です。
とはいえ、今すぐ転職するのは難しいのも事実。
では、どうすればいいでしょうか。そのヒントは、「思考のクセ」にあります。
キャリアコンサルタントである著者が、変化が激しい今の時代に必要な「働くためのマインドセット法」についてまとめたのが本書です。
仕事でストレスを抱えやすい3つのタイプの特徴をもとに、毎日できるルーティンを通して、働き方をアップデートするヒントをまとめました。キャリアコンサルティングのヒアリングで得た悩みをもとに、これからのキャリアをあなたらしく築いていくための方法をお伝えします。
◎こんな人におすすめ
・「このままでいいのかな?」というモヤモヤを抱えているが、今すぐ転職は考えていない人
・「自分ばかりががんばっている」と仕事でストレスをためている人
・仕事で評価されず、やりたいことや得意なことが見つけられていない人
・今の組織で働き続けていかなければならない事情のある人
→amazon.co.jp『仕事のモヤモヤ・イライラを止めて 自分を取り戻す 小さなルーティン』
著者:福所しのぶ
出版年月日:2023年05月10日
ISBN:9784866675022
定価:1,485円