英語学習ソフト『ロゼッタストーン』をはじめて5カ月が経過。久方ぶりに英語に触れて調子に乗った私は、勢い余ってロンドンに行くことに。実際、英語は話せたのか……。
11月も下旬に差し迫った頃、私はロンドン、ヒースロー空港に降り立った……そんな落ち着いた状況じゃないです。着いちゃいましたよ、ロンドンに!! 日本語が聞こえない、当たり前だがとても心細く感じる。自分も女の子だったのだなぁ、などとしんみりしながら、何とか荷物を受け取り、ヒースロー・エキスプレス(Heathrow Express)に乗るべく駅へと向う。
案内看板を見ながら、そして、大きなスーツケースを持った人々の後ろをつけながら、10分ほどして「ターミナル5」駅に到着。に、日本語が恋しい……。ヒットポイント(HP)がどんどん磨り減っていく気がする。日本語が聞こえない環境は、自分にとって毒の沼地のようなものだ……と、早くもネガティブな状況に陥っていた。
ヒースロー・エキスプレスから、ホテルがあるパディントン駅まではおよそ20分程度。とりあえず、周囲の人の真似をして電車に乗れば、大丈夫だろう……と一息ついたところで、ひとつ誤算が生じた。駅の案内表示が読めない……メガネをスーツケースの中に入れてしまったため、文字をちゃんと認識できないのである。
これじゃ、どこで降りればいいのか分からないじゃないの。そもそも、このホームにいたらヒースロー・エキスプレスに乗れるのかな。どんどん気持ちがナーバスになってくる。そうしているうちに列車がホームに到着した。時間はない、さて、どうする……ここで、『ロゼッタストーン』で勉強したことがふと思い出された。
周囲を見渡すと、うら若い女性がいた。そこで、おそるおそる話しかけてみる。
私:Excuse me……Can I take the train to Paddington Station?
うら若い外国人女性はにっこりと笑顔で「Yes」と答えてくれた。やった! 私の英語が通じた! 私がありがとうと告げると、うら若い女性は私に「謝謝」と返してくれた。
似てはいるけど、ジャパニーズです、と言いたいが、英語が通じたんだから、よしとしなければ。というより、通じるじゃないか『ロゼッタストーン』。自信が出てくると、さっきまでのネガティブモードが嘘のようだ。英語が話したい、話してみたい……そんな好奇心がむくむくともたげてくる。そこで、(非常に迷惑な話ではあるけれども)パディントン駅に到着してホテルに向うとき、むやみやたらと町行く人に話しかけてみた。
私: How do I get to the ○○○○(ホテルの名前)?
うんうん、通じる。相手の言葉はなんとなくしか分からないが、まったく理解できないというほどでもない。私が理解できずにハトが豆鉄砲くらったような顔をしていると、分かりやすい言葉でゆっくりと話してくれるからというのもあるが、ロンドンの人々は英語ができない自分に優しかった。
ホテルにチェックイン。荷物を預けた後は、夜も遅かったのでそのまま就寝……と思ったが、せっかくロンドンに来たんだ。軽くビールでも飲みに行こうと思い立つ。パブは人が多くてちょっと一人では怖かったので、旅行前から気になっていたレストランにタクシーで向かうことにした。タクシーの運転手に
私: Can I take me to this restaurant?
と、ガイドブックについていた地図を差し出す。タクシーの運転手は地図をじっとながめて、OKといいながら発車。不安になりながらも、タクシーに揺られながら待つこと10分。無事にレストランにたどり着くことができた。レストランに到着して、ビールとフィッシュアンドチップスを頼むことに。ほっと一息ついたからか、トイレに行きたくなった。これは……。
外はサクサク、中はふわふわのフィッシュアンドチップスとビールで乾杯 |
私: Where is the restroom?
店員は奥を指差した。指差した方向へ行くとちゃんとトイレがあった。当たり前だが、見知らぬ土地では、日本では当たり前のことでも非常に緊張するものだ。特に、私のような英語苦手人間ならなおさらである。要所要所で、『ロゼッタストーン』のありがたみを感じながらその後も問題なくタクシーで帰り、就寝した。
翌日、目が覚めるとさっさと朝食を済まして、大英博物館に行くことに。2階建てバスに乗り、大英博物館に到着。大英博物館は入館料無料というのがすごい。展示室に入るとすぐ目に入ったのがロゼッタストーン。私が日ごろお世話になっている英語学習ソフトではなく、本物のロゼッタストーンと対面する。本当、ここまで来ちゃったんだな。5カ月前には考えられないことだ。そんなことを思いながら、ロンドンをめいいっぱい楽しもうと決意を新たにするのだった。
これから、さらに『ロゼッタストーン』に大変助けられた事件が勃発するのだが……本日はここまで。
待て、次回!