星の数ほどある英語教材から私が選んだ英語学習ソフト『ロゼッタストーン』について、本連載では特徴や実際の効果についてご紹介してきた。使い始めて1年が経過しようとしていることにふと気づいたので、最終回ではこれまでをじっくりと振り返ってみたいと思う。いつもは、テンション高めだが最終回ということもあるので、しんみりお届けすることをご容赦願いたい。

最初のインパクトは衝撃だった。「MILK」を英語で発音できない……。まったくの平地で転んでしまったかのような、「これは楽勝じゃないか」と、根拠のない慢心がいきなり出鼻をくじかれた。何度繰り返し発音してもダメ。レベル1で脱落かと思った時、ふと押したボタンが連載終了の危機を救ってくれた。自分の発音をグラフとして視覚化できる『ロゼッタストーン』の機能。これは、目でネイティブと自分の発音をそれぞれグラフ化するというもので、目で見ることによってどこが違うのかが一目瞭然。これまで、ネイティブと自分の発音の差がどこにあるのかなんて、皆目検討もつかなかった私にとって、まさに目からウロコの出来事だった。

それから3カ月の間、グラフで比較しながら、発音できなかった英単語を少しずつ自分のものにしていく日々が続いた。目先の忙しさにかまけて、2週間ほど『ロゼッタストーン』を使えないこともあったが、自分で目標設定をすることで問題をクリア。最初は、家族が寝静まった頃にPCを開き、マイク付ヘッドホンを装着し、夜な夜な英語の発音に励んでいたが、そのうち家族のいる居間で堂々と英語を発音できるまでになった。

記事ではご紹介できなかったが、名詞だけではなく動詞、形容詞、前置詞とイメージが脳に焼き付いていくことで、脳内にバラバラと浮かんでいた英単語が、少しずつ結びついていき、文章化され、英会話として言葉が出てきたのも、始めて3カ月ごろのことだった。

そうなってくると話は早く、英語を話してみたい、という気持ちは高まるばかり。これまで英語が苦手で、海外に出かけるのも億劫だった私が、どんどん海外旅行に出かけてみようという気持ちになっていく様は、これまで何故英語が苦手だったのかと自分で疑問に思うほどだった。連載ではイギリス、マレーシアと行ったが、今年の秋にはオーストラリアにも行く予定であるのだから、今も「英語を話したい熱」は高まるばかりだ。

マレーシアでは擬似恋愛で英語力を磨き……

イギリスでは現地の人の優しさに触れながら、英語を話す喜びを知りました

こぼれ話だが、同時期に友人も別の英語学習ソフトを利用していた。彼女に失礼にもとられかねないが、話を聞く限り、私の方が英語を「話せて」いたように思えた。それは、彼女の購入したソフトが「聞く」に特化したソフトで、『ロゼッタストーン』は「話す」に特化したソフトだったことが明暗を分けたといっても過言ではないだろう。

彼女は「英語を聞く」ことにかけてはかなりの上達をみせていたのだが、「やっぱり英語は話せた方がうれしい」と言っていたので、私はここぞとばかりに『ロゼッタストーン』のよさについて語ってしまった。彼女は私よりも頭がいいので、『ロゼッタストーン』を同時期に使っていればきっと、私よりも英会話が上達していたに違いない、と私は信じて疑わないのである。

ここまでくると、若干『ロゼッタストーン』信者のように思われるかもしれない。だが、あえて私は「そこまで信じなければ学習はなりたたない」と言いたい。学校の先生をバカにしていれば、授業もおろそかになるし、そんな気持ちで学習が身につくことはないだろう。英語が苦手でなんとしてでも英語を話したかった、そんなときに出会った『ロゼッタストーン』を信じて勉強することで、英語への苦手意識が払拭できた。信じるものは救われる、とはこういうことを言うのだと思います。

これから、『ロゼッタストーン』を使ってみようと思った読者の皆様に、私の経験則から申し上げると、「まずは信じて、恥をかきすて、英語をガンガン発音してみてください」。ソフトの使い方はとても簡単なので、あとは日本人特有の恥をとりはらって、英語を発音するのみ。英語を話せるという喜びを是非味わってほしいものである。