戦う女性は美しい……総合格闘技『RIZIN』で活躍する“美女ファイター”。リングの上では、闘志をむき出しに真剣勝負を繰り広げる姿で魅了してくれるが、彼女たちはオフではどんな女性なのか。この連載「『RIZIN』美女ファイター図鑑」では、そんな選手たちのプライベートに迫り、新たな魅力を伝えていく。

第3回は、杉山しずか選手。一児の母としての顔も持ち、真剣な眼差し集中していた練習の合間のインタビューでも、話題が子供とのエピソードになると、笑顔がこぼれだす。そんな杉山選手が、他にもあふれる笑顔を見せたのは、あのアイドルの話をする時だった――。


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    杉山しずか選手(右)

寂しい思いをさせる子供のために試合へ

――早速ですが、プライベートが垣間見える「お気に入りの写真」を紹介してください。

子供との写真です。日曜日は保育園もないし、練習も休みにして、旦那は仕事だから、いつも子供と2人で公園に来てますね。最近は水遊びしたりしています。今2歳半なので、結構うるさいですけど(笑)

――格闘家の血を引き継いでいる片鱗はありますか?

ありますよ。何かと「パンチ!パンチ!」ってよく言うし、ボールをキックするおもちゃも好きですね。あと、旦那もファイター(中村K太郎選手)で「ケーケー」って呼んでるんですけど、海外遠征のときとか「しばらくお仕事でケーケーいないんだよ」って教えるじゃないですか。そうやって毎日言い聞かせると、ある時「ケーケーお仕事パンチパンチしてるからいないの」って言って、理解しているんですよね。そういう成長も感じて楽しいです。

――お子さんは試合を見に来てくれるんですか?

試合前になるとおじいちゃんとおばあちゃんに預かってもらって、大会当日に一緒に連れてきてもらいます。「パンチパンチしてた」とか言ったり、入場曲のももいろクローバーZさんの「走れ!」を歌ってあげると、お決まりのジャンプするタイミングが分かっていて飛び跳ねるんですよ。

――試合の前は、お子さんのことを忘れようとするんですか?

以前は自分のことに集中しようと思って、忘れるようにしていたんです。でも、実は思い出したほうが頑張れる気がして、逆に考えるようにしてますね。『The Ultimate Fighter』っていうアメリカの総合格闘技の番組で、試合のインターバル中に子供の写真を見てすごい頑張ってる姿を見たんです。私は写真を見るわけじゃないですけど、寂しい思いをさせている子供のためを思って、試合に臨んでます。

――お子さんも格闘家になってほしいという希望はありますか?

実は格闘技って楽しい時間が多いんですよ。練習でも試合で負けてたとしても楽しい(笑)。だからやるのは賛成ですね。

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まだまだ『Pokemon GO』にハマる

――プライベートで、なにかハマってるものはありますか?

恥ずかしいですけど、『Pokemon GO』をやっています(笑)。去年の秋くらいからジムで流行りだして、もうみんなやめているんですけど、私だけ続けている(笑)

――お子さんも一緒にやったりするんですか?

モンスターにビューンって投げるのを一緒にやったりしてますね。レアなモンスターがいるスポットには人が集まるじゃないですか。そこで知らないおじさんに「一緒にやろう!」って声かけたりします(笑)

――そういうところで「杉山選手ですよね?」って声かけられることないんですか?

全然ないです(笑)。でも、『RIZIN』に出るようになってから、街で声かけられることは増えましたね。恥ずかしながら(笑)

――女性としての「美」の部分は、結構気をつけていますか?

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すごいニキビ肌なので、最近はサラダボウルのお店巡りを1人でしてます。出産してから太りやすくなった気がするので、前よりラーメン屋にも行かなくなりましたね。

――トレーニングで汗をかいて体を動かすと、それだけでお肌に良さそうな気もしますが…。

でも、やっぱり化粧水は良いものを使いたいです(笑)。(アイドルグループ・仮面女子、総合格闘家の川村)虹花ちゃんとか、(空手家の藤田)翔子ちゃんとかと、「メイク落ちないね?」とか「どの化粧水を使ってんの?」とかいう話もします。

初めてファンになった人かもしれない

――完全に女子トークですね! 憧れていた有名人に会えたりしましたか?

格闘技を始めてからはミノワマン選手が一番の憧れで、あの独特なワールドに引き込まれたんですよ。1回エレベーターで一緒になったんですけど、あんなに存在が大きいのに、意外と小さいのがまた良くて(笑)。あと、ももクロの玉井詩織ちゃんが好きで、彼女が出る舞台のゲネプロにお願いして行かせてもらいました(笑)。そしたらすごく近くで見れて、キラキラしてて、「人間とは思えないっ!」って感動しました。

――お話もされたんですか?

いやいや。でも、同じ空気を吸っていたと思うし、しおりん目当てじゃない人ばかりだと思うので、誰よりも応援できたと思います(笑)。自分だけのヒーローみたいで、年齢は年下なのに元気づけられるっていうのは、すごく不思議な気持ちです。初めてファンになった人かもしれないです。

――小さい頃に、そういう憧れの人はいなかったんですか?

目立ちたがりじゃないですけど、応援されることが多くて、応援することに慣れてなかったんですよ。そんな自分がハマったのことにビックリしましたね。

――幼少時代はリーダーシップのある子だったんですね。

そうですね。学級委員も結構やっていたんですけど、結局みんなに助けられる感じでした。勉強もテストで1位とったりして得意だったかな。模試でも偏差値60以上とったことあって、体育の教員を目指していたんです。

――そこから何がきっかけで格闘家の道に進むことになったのでしょうか?

体育教師を目指すために柔道を習っていたんですが、私が通っていた東海大学には昨年末に『RIZIN』で対戦して負けちゃった渡辺華奈ちゃんがいたり、バレーボールの清水邦広さんがいたりして、そういう環境の中で生活していて、なにか“選手”としてやりたいという思いが芽生えてきたんです。

出産後2カ月で『RIZIN』を目標に

――ママさんファイターとしてご活躍されていますが、お子さんを出産されたときにそのまま引退というのはよぎらなかったですか?

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ちょっと心が落ち込んだりはしました。でも、もうちょっとやりたかったところで、子供を授かったので、やっぱり心残りがあった分、どうやって続けていこうかと考えましたね。

――どれくらいのタイミングで、トレーニングを再開したんですか?

出産してからもしばらくは動けなかったんですけど、2カ月くらいたったら『RIZIN』が始まって、なぜか「やらなきゃ!」って気持ちがすごく高まったんですね。その時は出場するなんて夢の夢だったんですけど(笑)。でもそれを目標に、村田夏南子ちゃんとも一緒にトレーニングを始めました。

――母親と格闘家という両立は大変ではないですか?

でも、普通の母親と同じように、仕事として考えて練習をしていますね。山本美憂さんなんて、3人もお子さんがいらっしゃるじゃないですか。そんな中で、自分の体のメンテナンスや、待ってくれる子供のためにどんな風に遊んであげるのかとか、生活を覗いてみたいですね。

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――どこまで現役を続けたいという目標はありますか?

美憂選手(43歳)がどこまでも続けてくれるので、今は何歳までっていう目標がなくなりましたね。以前は30歳までと決めていたんですけど、30歳なんてすぐだったから(笑)

――いろいろお話を聞かせていただきありがとうございました。7月29日に行われる『RIZIN.11』(フジテレビ系、19:57~)では中井りん選手との対決ですが、意気込みをお願いします。

絶対勝つ自信はありますけど、それ以上に出しきれなくてヒョッと勝っちゃったじゃなくて、体力的にも集中力的にも全部出しきった状態で終わらせたいですね。

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    杉山しずか
    1987年生まれ、米・ニューヨーク出身。東海大学体育学部在籍中にJEWELSでプロデビューし、14年同年大みそかのDEEP DREAM IMPACTで元女子ボクシング世界王者のライカに一本勝ちして以降は、出産と育児で女子格闘技界から離れる。その後、17年2月のDEEP JEWELSで約2年ぶりに復帰。7月29日の『RIZIN.11』では、“アジア最強女子”の呼び声高い中井りん選手と対戦する。

※7月28日、中井りん選手に「熱中症に伴う、急性の腎不全で安静・静養を要する」という診断が下り、ドクターストップのため、29日の『RIZIN.11』の杉山選手との試合は中止となったことが発表された。