研究活動の棚卸しが終わったら、研究概要書の下書きを進めましょう。この記事では、研究概要書の書き方のポイントを整理して解説します。

研究概要書の一例

研究概要書には、研究の背景、研究の目的と課題、活動概要、具体的な研究内容などを記述していこう。

Check Point1.現在の活動状況や今後の予定を書く

学部生の場合も院生の場合も、就活をスタートするタイミングによっては、本格的な研究活動をスタートする前に、研究概要書の作成をすることが想定されます。

「実際には、まだ研究活動に入ってないのにどうしたらいいの?」と疑問に思われるのも無理はありません。そんな場合は、希望の研究テーマや今後の予定、また、論文の下調べなど、活動開始に向けて準備していることを整理しましょう。

Check Point2.自分の研究活動の説明を中心に書く

研究概要書は、所属する研究室の研究内容ではなく、自分自身が取り組んでいる研究活動について詳しく記述していきます。

企業側から特に指定がなければ、たいていの場合は、研究の背景、研究の目的と課題、活動概要、具体的な研究内容などを、A4用紙1~2枚で整理します。研究の結果、現在の残存課題と課題解決の方向性についても書き添えるといいでしょう。

Check Point3.マーケットインの視点で書く

工学系の技術は、プロダクトアウトではなくマーケットインの発想が重要視されます。開発者側の発想で新技術や新工法を生み出すのではなく、市場のニーズに合わせて新技術や新工法を提供することが大切です。

研究活動についても、その研究の成果が世の中にどう役立つのか、研究を通して生み出した新しい技術はどう活用できるのかという視点で表現しましょう。

Check Point4.他者の判断と自分の判断を区別して書く

具体的な研究内容に関して、研究室の方針であったり、指導教授によりあらかじめ決められていたことは、前提条件として整理します。先輩の研究を引き継いだ場合も、すでに得られていた成果と自分自身が研究に取り組んだことによって得られた成果は、明確に区別して表現します。

自分がどう考え、どう判断し、具体的にどう研究を進めたのか、第三者が理解しやすいように整理しましょう。

Check Point5.新規性がわかるように書く

勉強であれば今まであった技術に対する理解が深まったということが一つの成果になりますが、研究の成果は、今まで誰もやっていなかったことが実現したり、できなかったことができるようになったりすることで評価が定まります。

ただし、それは華々しい成果でなくてもかまいません。新たな実験のやり方、分析方法など、自分の研究活動の中で、どこに新規性があるのかを説明しましょう。

Check Point6.簡潔に定量的に書く

文章をまとめる際は次の点に注意しましょう。一つは、簡潔な文章を書くこと。例えば、「A、B、Cを有するD」と言いたい場合は、冗長にならないように「Dです。A、B、Cを有します」などのように2文に分けて記述しましょう。

もう一つは、定量的に表現することです。実験の目標値や条件の種類数、結果値などは、定性的な表現ではなく、具体的な数値を使って記述していきましょう。

Check Point7.専門用語は補足説明を加える

説明文では、専門用語をなるべく使わないようにしたいものです。しかし、専門的な名詞など、どうしても使用せざるを得ない場合は、必ず補足説明を加えましょう。

また、形容詞や動詞の専門用語は、日常的に使用する言葉に置き換えられないか考えてみましょう。たとえば、建設関係の用語で「普請する」という用語がありますが、「建設および修繕、維持する」と言い換えると理解しやすくなります。

イラスト作成:内山弘隆