これまで見たことのない彼女の意外な一面を見てしまった……。意外な一面がいいことだったらよかったのだが、それがあまりよくない事柄だったために、彼女を見る目が変わってしまった経験のある男性はけっこう多いかもしれません。

「お酒あんまり飲めないし、弱いの」と言っていたのに、実はものすごくお酒に強かった。

タバコを吸わないと思っていたのに、女友だちの前では吸っていた。

ことば使いが丁寧でやさしい話し方をすると思っていたのに、女同士の電話では、「知らねーよ」「めっちゃ、やばくね?」「何それ、くそじゃん」などというようなことばをフツウに口にしていた。

オレの前では、控えめにおとなしい感じでいたのに、仕事の飲み会の席でお酒をついで他の男といちゃいちゃ、男友だちを紹介したらやたらとボディータッチをして上目づかいで友人を見ていた。オレには言ったことのない下ネタをオレの男友だちには、ガンガン言っていた。

オレとデートするときは、地味でおとなしめな服装をしているのに、女友だちと一緒に旅行した写真を見せてもらったところ、今まで見たことのないような露出度の高いハデな服装をしていた。

オレといるときは、物腰もやわらかくかわいらしいのに、職場の清掃をしてくれるおばちゃんや飲食店の店員さんに横柄な態度を取っていた。

というように、彼女や好きな女の子の意外な一面、知られざる一面を知ってしまって、好きな気持ちが減った気がしたり、それ以来、彼女を減点法で見るようになったりしてしまった。本当はそんなことをしたくはないのに……。

今日はいったいぜんたい、どうしてこんなことになってしまうのか? 女の子はどうして男性に素の自分を隠してしまうのか? という問題について考えてみたいと思います。

これは、女の子だけに限ったことではなく男性にも共通して言えることですが、誰もがきっと、好きな人や気になる人の前では、いいところを見せたいと思うものです。出会いの印象は大事だから、好きな人には最初によい印象をもってもらいたいものなのです。男の子との出会いというスタート地点に立ったとき、緊張しすぎたり、気を使いすぎたりする女の子もいますし、その場に目上の人も同席していたら、敬語を使い、さらに控えめながらも気のきく行動を取ることでしょう。

というわけで、自分の酒量は控えたり、実はふだんは元気がいいのにおとなしく控えめにふるまったりするのは、女子として当然のこと、マナーであるともいえます。たいていの女の子はTPOをわきまえているものですから、会社に通勤するときは周りにあわせたファッションをして、メイクもおさえぎみにしているだけかもしれません。

でも、本来は元気になる色や、動きやすい服装が好きで、会社でのイメージとプライベート好きなものに大きなへだたりがある可能性もありますし……。今では変わったのだけれど、若いときはちょっとやんちゃだったときがあって、地元の友だちと話すときは、少しことば使いが乱暴になってしまう女の子もいるかもしれません。

お酒に強いのも、タバコを吸うのも、元彼にイヤがられたせいで、男子の前ではその姿を見せないようにしたほうがいいと思ったのかもしれないし、雑誌やなにかの恋愛特集で、最初は酒量を控え、タバコも相手の男子がイヤがるようだったらやめておいたほうがいいという記事を読んだのかもしれません。

お店の店員さんに素っ気ない態度を取ったのも、たまたま体調がすぐれなくてつっけんどんになってしまっただけかもしれないし、あなたの男友だちに対して、いちゃついてみせたのもヤキモチを焼いてほしかっただけかもしれないのです。

ですから、思っていた彼女と違う……、意外で、ショッキングで受け入れがたい彼女の一面を見てしまったときに、男性のあなたにしてもらいたいのは、(うわ、オレうそをつかれてたのか?)(オレに隠し事してたんだ)と考えるのではなく、(どうしてこんなことが……)とふたりの言動に行き違いがあった瞬間を思い出すことです。

知らず知らずの間に、彼女に対して、「そういう服好きじゃない」「女の子なんだから、そういうことしちゃだめでしょ」「仕事入っちゃったから、明日の約束ムリだ」というようなことを言ってしまったことはなかったか? 自分の考えを一方的に押し付けたり、自分の都合でふたりの約束を決めたりしていなかったか、振り返ってみてほしいのです。

そして、そのせいで彼女がありのままの自分を隠すようになってしまった。彼に本来の自分の姿を見せにくくなってしまったのだと思ったら、彼女に対する接し方をちょっとかえてみるといいと思います。まず、いちばんに考えてみてほしいのは、受け入れがたい意外な事実が判明したから、それで彼女のことを嫌いになったのかどうか? という点です。

たしかに、思っていたのと違ったけれど、それで彼女を嫌いになるわけがない。自分の思っていたような女の子ではなかったけれど、彼女のあらたな一面も好ましいと思った……というのであれば、恋愛ってイロイロなサプライズにみちあふれているのだなぁと思ってしまえば、それでいいような気がします。

とはいえもちろん、彼女のカラダや健康や幸せを心配して、できればそれはやめてほしいというような事柄もあることでしょう。たとえば、彼女が露出の激しい服を着ていて、それでハラハラしてしまうのであれば、アタマごなしに彼女のファッションセンスを非難したりせずに、「そんなえりもとあいてたら、男はみんなじろじろ見ちゃうよ。心配だから、もうひとつだけシャツのボタンしめて」とか、「オレとふたりでいるときは、どんな格好してもいいけど、Bちゃんがひとりのときは危ないから気をつけてね。もう、真夏でも130デニールのレギンスはいていいよ」というような言い方をすれば、女の子も悪い気はしないというものです。

ちょっといけないことば遣いをしている彼女を発見してしまったら、「めっ」と冗談めかして怒ってみたり、「Cちゃんはかわいいんだから、そんな悪いことば使わないの」「オレも、そういう言い方しないように気を付けるからね」と言ってみたりすると、言われた女の子もスナオな気持ちで受け入れられるはずです。

意外な一面を知ってしまったから、それで彼女のことがイヤになったというのでしたら、残念ながら、それはあなたがそこまでしか相手を好きでなったということかもしれません。

しかし、あれこれ考えてみた結果、そんなところもひっくるめて彼女のことが好き! というのでしたら、減点法で彼女を見たり、だまされたというような気持ちになったりせず、ありのままの彼女を受け入れてあげてほしいところです。そしてもちろん、彼女が感じているあなたの意外な一面についても話を聞いてあげて、改善してほしいと彼女が言うなら努力してみるという姿勢が必要にもなってきます。

どちらか一方が、相手の好みに合わせてムリをするというのではなく、相手のためにゆずりあう、折り合いをつける気持ちを持つことが大切なのです。たいへんな作業ですが、ぜひがんばってみてほしいところです。

酒井冬雪です。恋愛するときは、できれば相手の欠点もひっくるめて大好きという気持ちになってほしいと思う今日このごろです。女子はけっこう、男子特有のウカツさや察しのよくないところを愛しく思うものなのですけれど……。では、またねー。