彼女いない歴が自分の年齢と同じ……という人、最近では結構増えてきています。恋人がいなくても、勉強や趣味や友だち付き合いやスポーツを楽しくしてきたし、特に困ったこともなかった、それはそれで充実しているし……というタイプの男性、個人的には好きです。いいと思います。
とはいうものの、自分の年齢が上になればなるほど、「これまで誰とも付き合ったことがない」という事実が恋愛のハードルを上げてしまう要因の1つになってしまうこともあるものです。特に理系男子はマジメで正直なので、女の子と知り合ってすぐに、自分のことを何でも素直に話してしまったり、隠し事をしてはいけないのではないかと悩んだりするらしいのです。初対面の女の子にいきなり、「彼女いない歴が年齢といっしょです」と打ち明けて、相手の女の子の顔色がちょっと変わってしまうと、それでキズついてまた恋愛に臆病になるという悪循環にもなりかねません。
余計なこと、言わなくてもいいことは最初は黙っていていい。最初から何もかもさらけだしてしまうと、ミステリアスな部分がなくなっちゃうから――というのは、女の子なら誰でも知っている恋の駆け引きのファーストステップです。ところが、マジメで正直な男性は、恋でも何でも「駆け引き」というものができない、しようとも思わない。そんなことをする人がいるのか? とビックリしてしまう男性も少なくないわけです。
合コンや友人の紹介、同じ趣味の場面などで、女の子(異性)と知り合ったとき、まずは自分のことをわかってもらおう、相手のことを知りたいと思って話をするものです。そのとき、自分には兄弟が何人いて、親や兄弟はこういう仕事をしていて、今までこういうタイプの人と付き合ったことがあって、こういう失恋をして。自分の仕事は○○で、趣味は××で、休みの日は△△をしていることが多い。というように、自分のことを何でも話してしまう人は結構いたりします。
話を聞いただけで、その人の本質がわかるわけでもないし、本人の話と実際が違っている(見解の相違で)こともあるわけですが、それでもここまでいろいろな話を聞いてしまうと、たいていの人は相手のすべてを知ってしまったような気持ちになるものです。本当は、わかっていなかったとしても、です。
すると、次ももう一度会ってみようという好奇心がわかない。相手にあまり興味が持てなくなってしまう。そんなふうに感じる人(特に男性)がほとんどのはずです。知らない部分、一緒にいても見えてこないところ、奥行きを感じると、「もっと会いたい」と思うのだけれど、それが感じられないと相手への興味が薄れてしまう。恋愛に発展する最初のきっかけは、相手に興味関心を持つところからはじまるものなのです。
たいていの女の子はこの法則をよく知っていますから、最初から男性に何でも話したりしません。たとえ彼氏いない歴が年齢と一緒だったとしても、自分の恋愛経験を聞かれたら、「うーん。○○さんは、どうなの? 」と質問で切り返し、自分の返事を濁して、相手の話を聞くようにします。相手の話を聞いて、彼がそんなに恋愛経験豊富でなさそうだとわかり、ホッとする場面があったら、自分のことも小出しに正直に打ち明けてみる。相手が恋愛経験豊富そうだなと思ったら、「ふうん」とけだるい感じで受け答えをして、自分の話はあまりしないようにしてみる(内心は「どうしよう~」と心臓がバクバクしていても)わけです。
女の子は、そんなふうに様子を見ながら、相手に合わせて会話する能力に長けているのです。これは、自分のことを隠しているとか、正直でないとか、ウソをついているとかいうわけではなく、相手に感応する力が強いのだ、と受け止めてもらいたいところ。
もちろん、友人としてにしろ、恋人候補としてにしろ、相手の男性と親しくなり、仲良くなってきたら、徐々に本当のことを打ち明ける(言う前になんとなくわかられてバレてしまう可能性も大)のですから、やさしい男性はたいてい見逃してあげる部分かと思います。
このように、「恋の駆け引き=言わなくていい部分は黙っている」は、恋愛をスタートさせるためには、大切な要素です。「恋愛をはじめるかもしれない場合、これは黙っていたほうがいいんじゃないか」――男性として、そう思う要素があるのでしたら、あえてわざわざはじめからそこを話さなくてもいい。機会があれば、様子を見ながら、徐々にありのままの自分を出していけばいいのです。ありのままの自分で勝負するのと、ありのまますべてを最初からさらけだすのは違うこと…そう思ってもらうとわかりやすいかもしれません。
マジメな男性こそ、そんな風に肩の力を抜いて、少し謎めいたところのある男子を演出してみてもらいたいところです。秘密や謎は、恋愛のよいスパイスになるものなのですから。「言いづらいことは、言えるときにタイミングで言ってしまえればいい! 」。それくらいの気持ちで、気負わずまずは女の子と知り合い、仲良くなるところからはじめてみてください。彼女いない歴と自分の年齢があまりにも長くなってしまわない段階で、できるだけ早いうちからはじめてほしい、そんな気持ちでいっぱいです。
酒井冬雪です。異性には言いづらい趣味も、最初は黙っていてもいいと思います。女の子だって、男子に言いづらいこと、言えないことはあるものですし、知らなくていいことだってあるかもしれません。知ってしまっても知らないふりをしてほしい部分だってあるものです。そのあたりの機微が男性にわかってもらえると、うれしいですね。では、またね。