好きなタイプって、誰にでもあるものです。具体的な話をすると、知人の編集者Hちゃんは、「風が吹いたら飛んでいってしまいそうなほどガリガリにやせていて、白くてメガネで、笑顔がちょっとギコチない男子が好き」と言います。また、別の編集者Nちゃんは、「自分ではそういうつもりはないんだけれど、なぜか濃い顔で、目がパッチリしていて、たれ目で、髪が長くてサラサラで、なんでもいいよって言ってくれるようなNoと言わないタイプの男の人とばかり恋愛している」のだと言います。またまた、別の編集者Kちゃんは、「ポッチャリしていてクマみたいに大きくて、好き嫌いなくごはんをいっぱい食べる人。黙っていることが多くて、地味なんだけれど、意地悪を決してしなくて、気持ちがあったかそうな男の人が好き」と言います。短髪で、細目で、笑顔がとてもかわいくて、「細」にしろ「ゴリ」にしろマッチョな男子が好き……という私とは、大違いです。
このように、人の好きなタイプとは本当に十人十色で、よくよく考えてみると、誰もがそれぞれに違う好みを持っているものです。
ところが……男性の困った点は、この「自分の好み」の問題をいつまでたっても直視しないというか、自覚しないところです。その証拠に、たとえば、ここに1人のイケメンがいたとします。勉強もスポーツもできる、裏表のないやさしい性格、年上にかわいがられ、年下には慕われるような、さわやかな男子です。そんな男子の近くに、女性が20人いたとします。彼はさぞかしモテるんだろうなと思うでしょうが、女性は自分の好きなタイプの男子というものをしっかり自覚していますから、誰もがみんな彼を好きになったりはしません。
そりゃあ、中高生くらいの若いときだったら、20人中10人くらいが彼のことを好きになったりするかもしれません。しかし女性が20才を過ぎていたら、そんなステキな彼にほれる女性は20人中、2~3人くらいに減少するはずです。もちろん、彼を好きにならない20人中の17~8人だって、女の子自身の身近に性格のよいイケメンがいることはうれしいですから、「彼と友だちでよかった」とは思うでしょう。けれども、
「あーあ、私もこういうタイプを素直に好きになれる女だったら恋愛で苦労しないだろうに……。っていうか、向こうも絶対に私のことを好きにならないんだけどね」
「こういう顔も性格もいい男子って、意外にあんまりかわいくもないSっぽい女子につかまって、彼女のいいなりになってたりするんだよね」
などと自分と相手のことも冷静に見抜いてしまっているので、イケメンの人気者→だから好き、と単純には気持ちが動かないわけなのです。ところが、男性は違います。1人の女の子がいたとします。かわいくて、色白で、自分よりも身長が低くて、華奢なのに胸が大きくて、小さな声でささやくように話し、すぐに顔が赤くなる。そんな女の子の周りに、男子が20人いたら、20人中17~18人は、彼女のことを「好きだーっ」と思ってしまう。それが男子の特徴です。もちろん、「そんなことはない! オレはそんな女子がいても絶対に好きにはならないぞ」と思う2~3人の男性もいることでしょう。しかし、「もし彼女に、『…好き』と言われたら、付き合っちゃうだろうなぁ……」と鼻の下が伸びてしまう。そんなかわいいところがあるのが、男性というものなのです。
ですから、合コンや婚活パーティーなどに行くと、女性は好みがバラけて友だち同士それぞれかぶったりせず男子を選ぶのに、男性は1人の女の子に集中してしまって、結局一組もカップルが成立しないという結果になることが、よくあるわけなのです。
それでは、男性のみなさんはどうすれば、恋愛に対して目標がしぼれて、自分の好きなタイプの女性というものがわかるようになるのでしょう。まず、考えられるのは、これまでに数人、彼女がいたという人は、過去の恋愛を振り返ってみてください。前の彼女とは、ここが合わなかったなぁ、こういうところですれ違いがあったなぁといった点を挙げてみると、自分は意外に正反対のタイプの女性が好きで、性格的にも合っているのかも……と見えてくるものがあるはずです。
今のところ、彼女がいた経験がないという人は、身近なところで、母親や姉妹、親戚の女子がいましたら、彼女たちの顔を思い浮かべてみましょう。
「母はキライではないけれど、ああいう彼女はいやだ」
「妹とは気が合うなぁ。でも、あんなに体育会系ではなくて普通の子がいい」
「従姉妹の△△ちゃんはかわいいけど、女友だちとばかりつるんで、男を見る目が冷たい。ああいう子は、彼女になったら最初はよくてもだんだん冷たくなるんじゃないか」
「幼なじみの□□ちゃんは、そんなに美人ではないけれどオレにもいつも笑顔で挨拶をしてくれるし、親もいい子だとホメている。ああいう子がいいのだろうか」
などなど色々考えてみるといいと思います。そうすると、自分の好きなタイプが、うっすらとでもわかってくるはずです。友だちやカッコいい先輩、後輩男子と気になる女子がカブってばかりいたら、「もしかすると、オレって…自分の好きなタイプをまだ理解できていない? 」と疑ってみていいと思います。自分を疑うところから、好きなタイプ探しははじまるのです。
学校や職場の女の子、上司や後輩女性の性格もジーッとよく見て考えて、自分の好きなタイプ、自分と話や性格が合うタイプの女性を見極めていてほしいなと思います。そうすると、これまであなたが注目していなかったタイプの女の子が幸せになれますから、ぜひがんばってほしいです。
酒井冬雪です。それを言うなら、どんな女子だって、性格のいいイケメンに「好き」と告白されたら付き合ってしまうのではないか、と男性のみなさんは思うかもしれません。確かに女子だってヨロメキます。で、付き合っちゃったりするかもしれないです。ですが、付き合って数カ月で「ヤバッ、やっぱ違ってた」「しくじった」と気付き、すぐさまフェイドアウトする人が大多数だと思います。恋愛に関しては、女の子って意外にリアリストなのです。いや、もちろん、ロマンティストな女性もいると思いますけどね。では、またね。