付き合っている彼女の親御さんとはじめて会うことになったとき、心配というか不安というか、フクザツな気持ちにならない男性はいないと思います。「向こうに急用ができて、今回のご対面がつぶれてしまえばいい……」とか、「誰が聞いても納得のいく理由ができてドタキャンが許されれば……」とか、そんなことを考えてしまった男性も少なくないはずです。

ある一定の年齢以上の方は、若いころに携帯電話やメールが普及していませんでしたから、女の子に連絡する際は、自宅の電話にかけるしか方法がありませんでした。そうすると、運がよければお母さん、運が悪いとお父さん、兄弟構成によっては手強いお兄さんが電話を取ることになり、

「あの、A子さんを……」 と恐る恐る切り出した時点で、 「誰だ? 」 と怒られたり、場合によっては電話をガチャンと切られてしまうようこともあったはずです。携帯電話世代の男子は「へぇ~、タイヘンそう」と思うかもしれません。しかし、中高生のころからそういった場数を踏んで鍛えていると、いざ彼女の親御さんの元へ挨拶に行くといっても、「お父さんには電話を切られたこともあるけれど、このごろはこんにちはと言えば、挨拶を返してくれるし」と微妙ながらも関係が成立していたりして、初対面の緊張というハードルもずいぶん低くなったりするものなのです。

ところが、携帯やメールで直接彼女と連絡が取れてしまっていた人が、いきなり「親御さんに会う」のはかなりの緊張とドキドキを伴うはず。ある意味……ものすごく高く設定されたハードルを助走なしでいきなり飛ぶ感じに似ているかもしれません。

こういった事態を避けるためには、日ごろから携帯やメールだけでなく、彼女の自宅の電話にも電話をかけるようにして、電話でだけでも彼女の親御さんと会話をしておく……という準備運動をしておくのがいちばんです。

とはいえ、最近は女子のほうも携帯電話とメールの便利さを知り尽くしていますから、「お父さんが厳しいから、うちに電話しないで! 」とか、「うちは門限とかもあってうるさい家だから、まだあなたのことをなかなか話せないの。ごめんね、家に電話はかけないで……」とかいう場合だってあるはずです。

ただでさえ緊張しているのに、お父さんが厳しいなんていう事前情報を聞いたら、男性のあなたはますます緊張してしまうことでしょう。けれども、これまで、彼女の親御さんと話すこともなく、ある意味で楽をしてきた分、いきなり「会う」という苦労を背負うのも仕方がないこととも考えられます。そこで、彼女の親御さんに会う前に気をつけておきたい点を考えてみましょう。

身だしなみ

特に、新しく服を新調する必要はありませんが、髪を切ってヒゲはそり、会う場所などTPOを考えて、スーツにネクタイなのか、カジュアルでもいいのかと、彼女の意見を聞いておくといいと思います。結婚の許しを得るために、彼女の家に行くというのであれば、スーツにネクタイであらたまっておいて損はないはずです。

しかし、とりあえずの挨拶で、彼女が「ラフでいいよ」というのでしたら、清潔感を重視した襟のあるシャツにパンツで十分かと思います。ただし、夏でも短パンや七分丈のパンツで裸足はやめておいたほうが無難です。また、彼女の家で、万が一和室に通された場合、ジーンズだと足がしびれる確率がUPしますので、ジーンズ以外のパンツをおすすめしたいところです。

注意点

彼女の親御さんからどんなに冷たくあしらわれても、変にどぎまぎしたり、目を泳がせてしまったりしてはいけません。できる限り正々堂々とした態度で(やましい気持ちがなければできるはず)、まっすぐに親御さん(たぶん父親)の目を見て話をするようにがんばってみましょう。

ちょっと考えてもみてください。親御さんは、彼女がまだオムツをつけている赤ちゃんのころから、かわいがり慈しみ、時には心配をしながら何十年も育ててきたのです。その大事な娘がですよ、「あたち、大きくなったりゃ、パパと結婚ちゅるの」と言っていた娘が、どこの馬の骨だかわからない男を連れてきて、その男にやさしい愛情いっぱいの目を向けていたら……。お父さんは、どんなにつらい気持ちでしょう。あなたには、多少のイライラや冷たさ、尋問をガマンする義務があるのです。

それに、彼女のお父さんの態度があんまりでしたら、きっと彼女のお母さんやご兄弟があなたをかばってくれるはず。つらく、いたたまれない気持ちをグッと耐えて、誠意をこめて親御さんの話を聞いておきましょう。くれぐれも、彼女とばかり話をしたり、すすめられたお酒を飲みすぎたりしないようにしてほしいところです。

もしも、彼女のお父さんよりも、お母さんのほうが手強いタイプだった場合は、冷静にあるがままを受け入れ、動揺をみせないようにしたいところ。後は、女同士、彼女のほうからお母さんを説得してもらうようにしたほうが無難です。

とまあ、こんなことを言っていると、ますます不安になってしまうかもしれませんが、とにかく親御さんというものは、普通は経験値の高い大人ですから、人を見る目は十分に持っているものです。あなたが誠実でやさしい人なら、どんなに厳しい態度を取っていたとしても、心の中ではその点をきちんと見抜いて、「いい人を連れてきた。よかった」とホッとしているはずです。

初対面のときはぎこちなく冷たかった人も、2度3度と会ううちに打ち解けてくれるかもしれません。初対面で緊張してうまくいかなかったと落ち込んだりせず、時間をかけて彼女の親御さんにあなたのことをわかってもらえるよう、地道に努力してみてほしいなぁと思います。女の子だって、大好きな彼の親御さんに会うときは、とっても緊張するのですからお互いさまです。

どちらも、相手を思いやる気持ちを発揮できたらいいんじゃないかなと思います。ぜひ、チャレンジしてみてください。

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酒井冬雪です。ふだんから、会社や学校で、年長者の方と話す機会をたくさん持っておくと、いざ彼女の親御さんと会うときも、おじさん、おばさん慣れしていていいんじゃないかと思います。うまくいかなかったときは、相談もできるし。

暑い日がつづいております。みなさま、くれぐれもご自愛ください。