「ああーっ、彼女がほしい!」と、思いはするけれど、どうもがんばる気がおきない、何か具体的に行動しているわけではない。

そんな男子のひとり、某製薬メーカー研究所勤務のEくん(26才)に、

「どうして彼女はほしいと思うけど、何もしないの?」と聞いてみると、こんな答えが返ってきました。

「いやー。彼女ができたら、やさしくしてほしいなぁと思うんですけど、そういうわけにもいかないじゃないですか。やっぱり、女の子にはこっちがやさしくしないといけないし……」

しかし、こういったことを言うのは彼一人ではありません。同じようなことを考えてしまう男性はけっこうたくさんいるのです。

「一方的にやさしくしてくれるような、そういう相手がいるなら彼女がほしいと思う」なんてつけたす男子もいるくらいです。

もちろん、こんなことを言う本人達も、わかってはいるのです。Eくんは言います。

「やっぱり、彼女がいる友だちを見ているとすごくやさしいんです。男友だちに送信してくるメールもちゃんとしてる。なんというか、男同士でケンカのようなことがあったときも、感情の行き違いの理由をを説明してあやまってくれたりするんです。モテる男って、女の子は、こういうことされるとうれしいだろうな、と思うことが普段からちゃんとできてるんですよね」

なるほど、たしかに、男性のメールって「了解です」「OK」「待ち合わせの件です。○月△日、○○時、◇×★△で!(以下サイトのアドレス)」みたいな、用件のみしか書かないものが多いです。さらに、Eくんはつづけます。

「自分にそれができるかな、と考えると……たぶん、ムリ。長文メールとか書けないですし。最初のうちはムリしてがんばったとしても、いずれボロがでるし、面倒になってやらなくなると思う。ああ、面倒だなと思うと、やっぱり彼女はできないだろうな、男同士でツルんでるほうが楽しいや、となってしまうんです」

たしかに、はじめのうちだけがんばって、マメになってみたり、一生懸命にメールを書いても、日ごろからそういうことをやり慣れているわけではないから、いずれはやらなくなってしまう……というのは言えているかもしれません。

よく、女の子が、男の子と付き合ってしばらくすると、

「マンネリ化のせいか、彼が外出しなくなって、デートはいつも彼の部屋」とか、「最初のころは、こまめに電話やメールをくれたのに、だんだんそういうことも少なくなってきて、最近は態度が素っ気ない」とか、「付き合うか付き合わないか、微妙な状態だったころはやさしかったのに、今ではすっかり冷たい。釣った魚にエサはやらないって、こういうことだったのね」というような悩みを持ち始めます。

男の子の立場からすると、最初のころはマメじゃない自分にムチ打ってがんばっていた。

だけれども、ふたりの仲も確実になってきたし、そろそろいつもの自分、本来の自分を小出しになら見せてもいいかな、と思うようになる。

こうして、彼女から「やさしくない」「前はやさしかったのに」「もっと出かけたい」「メールに返信くれない」と言われるようになってしまっても、本来の自分はそもそもメールにもマメではないし、出不精で面倒くさがりやなので、困ってしまうのです。

そして、恋愛したいけど、彼女がほしいけど、付き合うと「やさしくない」といつかは言われてしまう自分がいるんだろうな……と思うと、面倒になってしまう。

どうせ、女の子が思う「やさしさ」をあげることはできないのだから、だったらやさしくしてくれるのが好きな女の子がいれば、そういう子となら付き合えるかもしれないのに……。と、ちょっと夢のような話を想像してしまうのだと思います。

けれども、賢い男性のみなさんは、一方的にやさしくしてもらう、女の子に甘えて、やさしくしてもらうだけの恋愛が成立するわけはない。そんな都合のいい話が実際にあるわけがないことを知っていますから、やっぱり、

「彼女はほしいけど、ムリ」

というところで、話が落ち着いてしまうのかもしれません。

それでは、そんなふうに、マメでもなく出不精で面倒くさがりな男性は、どうすればいいのかというと、これはもうやっぱり、似たもの同士の恋愛を目指すしかない! と思います。

メールにマメでもなく、面倒くさがりで、家にいるのがいちばんと思っている女の子。

そういう女の子でしたら、電話をくれない、メールに返信をくれない、ということで、あまり目くじらを立てたりはしないはずです。似たもの同士、ふたりで、家でのんびりしたり、同じ部屋にいながら、それぞれ別のことをして過ごし、ごはんを作るなどの生活に必要なことは、ふたりで協力して分担すればいいと思います。

というようなことを、前述のEくんに言ってみたところ、

「…‥いやぁ、なんていうか、自分と似たタイプの、そういう女の子って、あまり好きなタイプではないんですよね。やっぱり、彼女はかわいくてマメな子がいいっていうか」

「……………‥」

好き or 相性がいい、どちらを選ぶかはお任せしますが、やっぱり心の奥のどこかに、彼女がほしいという気持ちがあるのでしたら、これまで付き合ったことのあるタイプとは違う人と仲良くなってみる、面倒くさがりなあなたは、そんなところからはじめてみてほしいと思います。

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酒井冬雪です。恋愛に奥手で、面倒くさがりな者同士の恋愛って、それでも最初はどちらかがちょっとがんばって押さないといけないのがつらいところですよね。でも、スタートだけがんばってしまえば、後はふたりでのほほんと付き合えて楽なんですけど。では、またね。