夏に彼女がいると、なんだか楽しそう……な気がします。海、プール、キャンプ、バーベキュー(アウトドアな活動)、花火大会、デートに出かける場所も口実もたくさんありそうで、考えるだけでもじゅうぶんに期待に胸がはじけそうです。

とはいえ、夏の恋が似合う人、第1位は、やっぱりなんといっても体育会系……、というような気がしてならないインドア派の私です。海でもプールでも、日ごろの大半を室内で過ごしていて、日焼けもしていなければ筋肉もないわが身にとってみれば、若いころから海やプールは、なんとなくいたたまれない、そぐわない、友人に言わせると「似合わない」場所でした。ビキニも着ても「がんばっちゃったんだね」という感じで痛いし、そもそもカナヅチだし、ところどころ日焼けすると赤くなって終わるだけだし。

それじゃあ、浴衣を着て……花火大会、と言われても、暑いのも人ごみも苦手だし、お酒も飲めないから 、 「暑いね~、くーっ」

とおいしそうにビールを飲む人を、いいなぁ、暑いときのビールっておいしいんだろうなぁと指をくわえてみているだけ。

それでは、バーベキュー? ……3年ほど前の夏に、久しぶりにバーベキューに行きました。組み立て式のテーブルの、

「そっち側を持って」
と友人(女子)に言われ、
「せーの」
で組み立てようとしましたが、私の持っている側が一向にバタンと開かない。

友「ちょっと、本気で持ってる?」
私「うん、本気で……持ってる(顔、汗ダク)」
友「あ、そうだった、ごめん。こういうときは超使えないんだった。ごめんね。○○ちゃーん、こっち持ってくれるー!」

というわけで、何もすることがなく、飲み物を持ってウロウロ。やっぱりBBQも似合わない、と再認識した次第です。

というわけで、この夏も、図書館と本屋さんとレコード店通いで楽しい毎日を送っています。

まあ、私ほどではなくても、インドア派な人の恋愛はやはり、寒い時季、秋と冬にこそあるべきです。

寒い季節に、こたつで(私は持っていないけど)お鍋を囲み、家でのんびりしながら、こっちで読書をする私、PCに向かっている彼……。たまにイチャイチャする。外の空気を吸いたくなったら、歩いて近くの書店へ行き、お茶を飲んで帰ってくる。

これが、インドア派の理想の恋愛といっても過言ではないと思います。

というわけで、インドア派の方は、秋に向かうこれからの季節が恋愛のチャンスです。私は先日、インドア派のおじさま、Y氏(40代後半、モテることに生きがいを感じる酒造メーカーの宣伝部勤務)から、女の子と親しくなる方法を聞いてきました。

「ボクの場合、最近、文庫をつくったんだよね。会社の自分のデスクの後ろに」

どういうことなのか、詳しく聞いてみますと、まず、同じ部署で働く男女に、読まなくなった本、自分はすでに読み終わったおすすめの本があったら、会社に持ってきて……と頼んだそうです。

そして、会社の自分のデスクの後ろに小さめのタナを置き、本を並べて、私設図書館をはじめたというわけ。

もちろん、本の持ち主と目録、貸し出しリストも作成して、管理はバッチリです。

「女の子って早いから。しばらくするとさ、口コミで『私の本も置いてもらえますか』『通勤中に読む本を貸してください』って、他の部署の知らない子もどんどん集まってきたんだよ。中でも『最近、何がおもしろかったですか?』って相談してくる女の子は、あれこれやりとりするから、より仲良くなれるかな。基本的に、読書好きで、もっと自分の読んだことのないジャンルの本も知りたいと思う子ほど、内向的でマジメないい子だったりするからね。話をしてみるとおもしろいし、本の話題なら、おとなしめの子でも食いついてくれるんだよね。いいでしょ、私設文庫。貸すほうも借りるほうもお互いにお金もかからないし。本を置きにくるヤツと借りにくる女の子の、いい出会いの場にもなってるよ」

たしかに、会社にそういう人がいてくれたら、私もどんな本があるのか「こんにちは~」と、見に行ってしまうだろうなと思います。私と一緒に話を聞いていた友人(広告代理店勤務、29才)も、

「いいですね、それ。私も絶対いっちゃいますよ」

と私設文庫案に盛り上がっていました。

モテたい男性って、いつもイロイロなことを考えて、こうやって実行しているようです。秋冬の楽しい恋愛に向けて、出会いを広げるためにも、ぜひ、イロイロなことにチャレンジしてみてほしいと思う私です。

*  *  *

酒井冬雪です。最近、浴衣で来店するとドリンクをサービス、というようなお店がけっこう多いです。でも、女の子の場合、ゆかたの帯をふつうにかわいく文庫で結ぶと、イスに座るときにけっこう不便……。貝の口(男の人の帯のポピュラーな結び方)なら、イスに座るときも楽チンよ、と思わずにいられない下町育ちの私でした。地味だけど「粋」になると思います。ちなみに、おすすめはヤの字(貝の口の変型バージョン)です。では、またね。