女の子と話をする……何を話せばいいんだろう、どうすればいいんだーっ! と考えてしまう、困ってしまう男性はけっこう多いかもしれません。
友人S(女性、28才。某アパレルメーカー勤務)は、そんな男性と同じような悩みを持っています。
「女の子同士だとリラックスして気軽に話せるけど、男の人を前にすると本当に緊張して、いつもの自分になれない」
彼女は、とてもギャグセンスが高く、かなりおもしろい女の子です。ところが、男性の前では緊張してコチコチになってしまい、超無口になります。
たぶん、中学からずっと女子校で、彼氏いない歴と自分の年齢がいっしょなのが主な原因ではないかと、Sちゃんは自分で自分を分析しているそうです。
男性に慣れていない、というのも、うまく話せない理由のひとつかもしれません。
Sちゃんの外見は、とてもかわいらしく、たよりなげな風情です。彼女と初対面の人は、そんなかわいすぎる外見と、けっこう強くておもしろすぎる中身とのギャップに、きっと驚くと思います。
Sちゃん自身、男性から何度も、
「見かけと性格がだいぶ違うね」
と、残念そうに言われてきたので、そのことを気にしてしまうのかもしれません。自分の外見と中身のギャップを、どのように表現すればいいのか、おとしどころがなかなかみつけられないせいで、男性の前ではますます話ができなくなってしまう。Sちゃんが男性とうまく話せない理由に、そういった要素もあるような気がしてならないのでした。
このように、女の子だって「男性とうまく話せない」と悩んでいたりするのです。
異性だからよくわからない。どう接していいか困ってしまう。そういう気持ちは、女の子も男性と同じように持っているのだと思います。
それでは、自分自身を振り返ってみると、(どうしよう〜、男の子と何を話せばいいの???)と困ったり悩んだりしたことが……ない……自分がいました。理由をじっくり考えてみました。
男性はやさしく、心が広い人が多いせいか、多少の失言や「言いすぎ」も、きちんと「ごめんね」とあやまれば、根に持たずにゆるしてくれることがわりと多い。ときには、こちらの失敗を忘れてくれたりもする(しかし、そういう人は自分の失敗も忘れる)。
というわけで、男性とはあまりプレッシャーなく、最初からリラックスして素の自分で話せるような気がします。
そんな自分に気が付いたところで、男女関係なく、誰とでも気軽に話ができる知人のSE、Tくん(34才、男性)に、
「どうして、知らない女性とでもすぐに話ができるの?」
と聞いてみました。すると、
「うーん。あまり理由を考えたことがないですけど、そうですね……。女の人って、わからないことが多いし、男とは違うことに興味を持っていたり、趣味が違ったりするじゃないですか。自分がわからないことは知りたくなるけど、直接話しかけて教えてもらうほうが手っ取り早いんで、すぐ聞いちゃうんですよね。そうか、好奇心に負けて、話しかけちゃうんですかね」
そう言えば、Tくんが、電車の中で立っている自分の前に座っていた女性にいきなり話しかけるところを見たこともありました。
「その携帯、どこのですか? へえー、そうなんだ。いいですね。ボクも次はそれを使ってみたいです」
というように。Tくんのそばにいた私もギョッとしましたが、話しかけられた女の子も、最初(なに? ナンパなの?)と、本当にビックリした顔をしていました。
しかし、彼の淡々とした口調、自分の聞きたいことを聞いたら後は「ありがとうございます」と言って、それ以後はまた、自分の読んでいた文庫本に戻るようすを見て、女の子も(あ、こういうふうに話をする人なんだ)と納得したようすでした。
また、彼はつづけてこう言いました。
「あとは、そうですね。ボクは兄とふたり兄弟なんですけど、兄と父があまりにぶっきらぼうで、母とほとんど会話がなかったんです。それで、母がボクにグチを言うことが多くて、女の人のグチを聞いたりするのにはそれで慣れたかもしれません」
自分の知りたいことを教えてもらうために、女の子に話しかける。女の子への好奇心ではなく、彼女の趣味や特技に好奇心を持って、そこに注目して話をしてみる。また、家族の女性と話をする。そんなスタンスで話を聞いてあげるのも、女の子慣れする上で、いいことかもしれません。
人はなぜか「相手に好かれたい」「いい印象を持ってほしい」と思うと、緊張したり、知らず知らずふだんとは違う自分を演出したりしてしまうものです。
女子と話すときに、必要以上に気を遣っていて、必要以上に礼儀正しく、あたりさわりのない態度しか取れなくなってしまう。ふだんの自分、男同士だとけっこうおもしろい自分……無口でもやさしい自分が出せていない。そのことに気付いたら、そんなにすぐに人のことを理解できないさ、誤解されても仕方ない、と肩の力を抜いて女の子を話をしてみてほしいものです。
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酒井冬雪です。ジーンズ好きの私ですが、さすがに夏は暑苦しい。しかし、気が付けば、最近また501に戻っていて、あついだけでなく、ボタンの開け閉めもタイヘンという。けっこうタイヘンなのが好きなのかもしれません。では、またね。