──ところで、「どんな人同士がうまくいくか」はわかるような気はしますが、そもそも出会いがなければ……。
酒井 そうですねえ。男子校出身で、大学の学部も、就職先も男子ばかりで、女子と知り合う機会が少ないという人は多いでしょう。そこのところは、勇気を出して、どこかに出て行くしかないと思う。
浅田 出て行く場所を考えればいいんですかね。
酒井 でも、学生時代のツテをたどって「合コンに行く」というのは間違っていると思う。向いているのは、ボランティアなどの社会貢献系で、まじめな人たちが集まるところ。自分が興味のある分野のボランティアに参加してみるのもアリだと思います。
浅田 まじめな人ほど、自分の性格に合わない無理なことをしがちですよね。勇気を出すことと、まったく真逆の無理をすることは違います。無理をするフィールドに行ってしまうと苦しくなって、「どうせ女なんて」「いいよ出会いなんて」と悪い方向へ転びがち。フィールド選びは大切ですよね。
酒井 私、よくサッカーを見に行くんですけど、ビラ配りや清掃などのボランティアの方をよく見かけるの。若い学生さんのような子とかね。"出会いの場"にもなっている感じで、女の子と楽しそうにやってる子もいれば、それを見ながら黙々とビラ配りをしている子もいる。こういう場って、モテちゃう子もいれば、うまく溶け込めない人もいると思うのね。でも、参加してみることで知り合いが増えて、気の合う女の子が出てくる可能性だってあるわけ。だから、「参加してるだけでもエライ!」なんて応援目線で男の子を見ちゃったり(笑)。
浅田 そうかもしれませんね。
酒井 まじめな人ほど、そこに入って行くのに勇気がいるというか、私もそうなんだけど、知らない人が集まるところって不安なんです。でもこの前、サッカースタジアムに行ったら、その場で「帰りに清掃ボランティアを手伝っていただける方、メインゲートに集まってください」というのがあって。
浅田 そういう感じのボランティアは参加しやすいかもしれないですね。
酒井 行ってみたところで、オバサンしかいかなったとしても、オバサンなら若いだけでかわいがってくれるし。オバサンに慣れれば、若い女の子はそこまでズケズケしてないから、それはそれで、ある意味、荒療治になるかも。
浅田 オバサンは、練習にいいかもしれないです。まじめな人ほど、練習は必要ですよね。下準備して本番に向かうタイプの人が多いから、自信をつけてから安心して挑む感じで。テストではたくさん模擬試験を受けてきたはずだから、それといっしょで、本命に向かって練習を重ねたほうがいい。
酒井 私が考えるに、ボランティアに来る女の子って、やっぱり一定のラインでまじめなんですよ。絶対に。ちょっとここで役に立ちたいと思っている。そういう子たちなら、たぶん気の合う人はいると思う。ボランティア活動ってたくさんあるんですよね。区とか市とか行政のボランティアに登録して連絡を待つのもあるけど、探せば色々あるはず。
浅田 まさに同質系、空気系の人がいると思うので、そこに行ったほうが見つかりやすいかもしれないですね。同じ目的があって、そこに集まっているわけじゃないですか。そういう場所にいたりすると、わりと意気投合しやすかったり。
酒井 とくに理系の人だと技能のある人が多いから、ボランティアに役立つことも多いと思う。それこそ講師役としてパソコン教室とか、自分の特技をいかせるフィールドに行くのもいいですよね。自分が特技と思ってなくても、他人から見れば特技になるものってたくさんありますし。
浅田 技能をいかすボランティアに参加するって、よさそうですね。
酒井 そのへん理系の人って謙虚なのよね。頭がよくてなんでもできちゃったりすると、「こんなことくらいできて当たり前だ」と思っていて、「世の中的にはすごいんだよ」ということに気づいていないというか。変に自信のない子が多い。「自信の持ちどころが違うでしょ!」と感じることがあります。
浅田 ひけらかさずに教えられたりしたら、「この人すごい」って思っちゃいますね。もっと自信を持っていいですよね。
──ボランティアって、社会人がそういうのに参加するのは大変かもしれません。練習する機会ってどう作れば……。
酒井 たとえば、職場でもお掃除してくれるオバサンとか、女の人は多少はいるはず。けっこうモテる人ってそういう人にも声をかけてるの。
浅田 そう、間違いないですよね。
酒井 「おはよう、○○さん」とか「息子さん元気?」なんて、ちゃんと知ってたりとかね。
浅田 モテる人って、いろんなタイプの女性に対して気配りとか声がけなんかをしていて、それが自然に練習になっているかもしれません。そういう評価って、女性の中で意外と広まっていたりしますよね。
酒井 女の人ってアンテナ張ってるから、「あの人、お礼も言わないんだ。やってもらったのに」なんて。
浅田 それをほかの女性に言っちゃったりしますからね。そういう小さな下評判みたいなものは、練習することでうまくいくかもしれない。たぶん自信にもなるし、練習して自信を付けるタイプの人だったら余計に。気を張らないで自然体で意外といける練習だと思えば。
酒井 職場にそういう掃除のオバサンもいませんよって言うなら、親でもいいのよね。お母さんとか。でも、そういう人に限って、同居してるお母さんに対して「ああ」とか「うう」とか、冷たく何も言わない感じじゃない? でも、お母さんでも話の練習相手になるし。女兄姉がいればもっとラッキーなんだけど。
──そういえば、草食系男子は母親と仲がいいとか。
酒井 そうそう、だからうまいのよ。オバサンのくだらない話だって聞いてあげてね。「となりの○○さんのゴミ捨てが気にくわないの。それで言ってやったのよ!」とかいう話にも、「大変だねー」って感じで聞けちゃうわけだから。聞いてなくてもいいのよ。右から左に素通りでも、適当に同調する受け答えができるかできないかがポイントなんです。
──でも、今から母親と仲良くするのはちょっと……。
酒井 職場以外での出会いの場なら、私の知り合いのオジサンは、職場の後輩に英会話教室に行けと言ってるみたい。「たとえ英語ができたとしても、できないフリしろ」なんて伝授しちゃってね(笑)。あと、料理教室もいいと思う。「一人暮らしを始めたので」って言ってね。女の子ばっかりいるお料理教室に行けと。
浅田 それは向いているかもしれないですよね。"女の子に教えてもらう"ということに対して、変なプライドを高く持たずに受け入れられたら、うまくいきそうな気がします。
酒井 私、若い頃に料理教室に行ってたんですけど、男の人が3人いて、おもしろいからいじってやろうと思ったのね。同じ班になろうと。商社マンがひとりいて、彼はけっこうおしゃべり好きで、あとはメーカーと公務員の方。ノリノリな男がひとりいたおかげで、ほかのふたりも輪に入ってこれて、いろんな子たちとしゃべるようになった。回を重ねて、女の子と話すことに自信がついてきなと思ったら、叩いてみたりしてね(笑)。「酒井さん」なんて呼んできたら、「下の名前で呼んでくれるかな?」なんて言ってみたりもした(笑)。でも、そのうちに言えるようになるのよね。
(後編につづく ※5月21日11時掲載予定)
(構成:編集部 写真:石森亨 撮影場所:オメガスイーツ 神保町プレスルーム)