女の人(男の人)を見る目がない……という言い方があります。恋愛経験が豊富だったり、外見や性格のおかげで女性とすぐに仲良くできたり、家族やきょうだいに女性がいたり(多かったり)すると、女の人を見る目が肥えるのではないか? と思っている人は多いことでしょう。

もちろん、そういった要素も女の人を見る目が肥えさせることでしょう。

しかし、私は、いちばん大切なのは、自分自身の目線がどちらに向いているか? ということではないか……と思います。

たとえ、姉がふたりに妹がふたりいて、イロイロなタイプの女性に囲まれて育ったおかげで、女性というのはどういった行動特性を持っていて、どのようにウソをつくものなのか? そういったことを身を持って体験していたとします。

けれど、当の本人は、小さいときから野球チームに入って朝から晩までチームメイトの男同士で楽しく過ごし、友だちのことで悩んだり、友人と一緒に楽しんだりすることで一喜一憂している。小うるさい姉や妹、クラスのおせっかいな女子にキャアキャア文句を言われても、

(うるさいなぁ)としか思わない。という場合、彼の心は女性よりも同性である男性のほうに向いている可能性が高いはずです。野球……のところを他のスポーツ、塾や学校、趣味にかえて、自分をあてはめて考えてみるといいと思います。

何をするにしても、男同士で仲良くしているときが幸せ……という人は、きっと目線が恋愛や女の子よりも同性同士でうまく付き合っていくことに向いていると考えられます。

もちろん、だからといって恋愛にまったく興味がないというわけではないのですが、気の合う男同士で平和にツルんでいることに幸せを感じる傾向があるという感じです。

たとえば、

  • 女性(家族や職場、学校で知り合いの女性)に「だらしないわね」と言われても屁とも思わないけれど、親しい男友だちから「だらしねぇな」と言われると、ちょっと部屋を片付けたりしようかなと思う。
  • 学校や仕事以外の男同士の集まり(サッカーでもアイドルのファンクラブでも何でも)の場を持っている。しかも、一つではなく、二つ以上の集まりに名前を連ねている。
  • 男友だちにはやさしく、何かあったら最優先で駆けつける。彼女がいるときは、彼女との用事を後回しにしたり、男同士でケンカしていたりすると彼女にヤツアタリしている自分に気づいたことがある。

こういったことに思い当たるフシのある方は、目線が男子向き……。男同士の付き合いに重きを置いて生活しているタイプといってもいいかと思います。

別に、それがいい、悪いというのではありません。ただ、やはり、女性を見る目に何らかの影響が出てしまうような気がします。

たとえば、男性同士でうまく付き合うことに気を回している人は、いつも同性の動向をしっかり観察しています。男性上司の機嫌、男性の同僚の気持ちの変化、後輩男子の悩み、そういったことに気を配り、

「大丈夫か?」

と声をかけたりフォローをすることが、きっと自然にできているはずです。

(○○は気が強いけど、案外ナイーブなところがあるから、こういうときは飲みに誘って気分転換したほうがいいな)
(上司の△△さんは、最近、奥さんが病気になって家のこともしているみたいだから疲れている。残業をかわろう)
(後輩の◇◇は、ボーッとしているようにみえてもクレバーだから、この企画書をまかせてみよう)

というように、同性の状況や長所、短所をよく知っています。そして、人のフリみてわがフリをなおしたりもできるので、ますます友情が深まったり、男から人気の高い男になっていったりできるわけなのです。

ところが、同性である男性の心配をしてばかりいるせいで、女性のことはどうしてもおろそかになってしまいがち。いくらきょうだいにたくさん、さまざまなタイプの姉や妹がいようとも、そもそも目線がそちらに向いていないので、女性を見るときの参考や勉強にはあまりなっていなかったりするのです。

それどころか、家族に女性が多いせいで、ヘンに女性に手厳しいところが出てきたりして、

「ほんっと、女ってずるいよ」「平気でウソつくし」「寝てばっかいるし」「家ではバクバク食うし」

と女性に対して夢や希望をなくしてしまっている人もいるかもしれません(そのくせ、自分が恋愛するときになると、そういった欠点をうまく隠しているだけの女の子に引っかかったりするんですけど)。

そういった意味でいうと、男きょうだいに囲まれて、男同士仲良くやっている……という人のほうが、まだ恋愛に対してロマンティストでいられるかもしれませんが、やはり自分の目線が「男性」に向いている限りは、女性を見る目がなかなか肥えない……。

というか、そもそもふだんから女性をよく見てもいないんだから、肥えるわけがないといっても過言ではないと思います。

というわけで、女性を見る目がない……は、見ていない。見る気がない。女性よりも、男同士で仲良くしていることに気持ちのほとんどがいってしまっている、というところに大きな原因があるような気がしています。

恋愛してから、好きな人ができてから、いきなり女性を見る目が肥える……というものでもないと思いますので、

(そういわれてみると、オレはどうも男同士で楽しく付き合ってばかりいて、友だちにもみんな彼女がいない)

と思い当たるフシのある方は、ぜひ、もう少し意識的にまんべんなくイロイロな女性の気持ちや考え方、行動特性をみるようにしておくと、女性を見る目、を向上させるのに、役立つのではないかなと思います。


酒井冬雪です。そういう私も、女子同士で楽しく過ごすことに目線がいっているので、あまり男子のことで思い悩んだり気にかけたりすることがありません。意識して、男心を学んで生きたいと思います。ここで、宣伝。マイコミ新書から『理系のための恋愛論 理系脳VS.女子脳』が好評発売中です。よろしくお願いします! では、またね。