男性はあまりグループで行動することが少なく、ひとりであちこちへ行く……ことも多いかと思います(もちろん、5~6名のグループで行動するのが好きそうな人たちもいる)。 しかし、女性の場合、ツレション(すみません)という有名な言葉もあり……トイレにもひとりではいかないというくらい、グループで行動する人たちが多いものです。

こんなふうに、あまりにもグループで行動する人たちの比率が高いものですから、女子がひとりで行動することは、とてつもない勇気と孤独を背負って……ということになります。ですから、女性はササッと素早く、もしくはなんとかして頑張って、女子グループのどこかに所属しよう(グループ発足者やリーダーにはなれない人がほとんどですから)とするのです。

グループに所属していないと、お弁当やランチをひとりで食べたり、更衣室でひとりで着替えをしたり、日常生活のさまざまな場面でけっこうしんどい思いをすることになってしまうのです。

とにかく、女子にとってグループに所属するというのは、とても重要なことです。そして、もちろんグループの中でケンカやもめごとを起こさず、上手に長く友だちと付き合っていく……自分の居場所を確保する、というのはもっと大切なことなのです。

ところが、そんな女の子同士の仲良しグループ関係もひとりの男子のせいでぎこちないものになってしまうことがあるのです。


某プロバイダーで働くTちゃん(27才)は、最近異動をして、職場で人気のあるE先輩(35才)のグループに入れてもらうことになりました。

E先輩のグループは、流行りの店でのランチ会やみんなで持ち寄ってさまざまなブランドの化粧品をお試しするコスメ会など、たくさんの集まりを企画していました。E先輩のところには、取引先やさまざまな企業からも、

「あのお店に行ってみては」
「うちの新作化粧品をぜひ今度、試してみてください」

と声がかかるほど有名な、男子禁制……女子だけの集まりなのです。ところが、同じ部署で働いていても一度もランチ会やコスメ会に呼ばれたことがなく、「なぜ? 私は誘ってもらえないの?」と密かに涙をのむ女の子も後を絶たないのでした。

そんなグループに入ることができて、Tちゃんはホッとしました。E先輩にかわいがられるということは、この部署で仕事がやりやすくなることを意味しているな、と直感的に考えたからです。

思っていたとおり、TちゃんはE先輩達と一緒に、新しい企画を手がけたり、有名人に会ったりと楽しくスムーズに仕事ができるようになっていったのでした。

そんなある日、ランチ会の席で、E先輩がこんなことを言い出しました。

「ねぇ、うちの会社で結婚するとしたら誰を選ぶ?」

すると、すかざずE先輩と同僚の女性が、「うちの会社っていうと、みんなが知らない人の名前もあがっちゃうわよ。同じ部署で……っていうことにしない?」

と言い、E先輩も、

「そうね……。ちょっと狭いけど、うちの部署でなら、ってことにしようか。それじゃ、せいのでみんな名前を言うのよ。……せいの」

「Hさん」
「Hくん」

E先輩をふくめ、もちろんTちゃんも、その場にいた全員がいっせいに同じ名前を口にし、キャーッと大歓声があがりました。

「やだー、全員同じ人? なんで~。TちゃんはどうしてHくんにしたの?」
「うーん、そうですねぇ。外見は地味だし、背もそんなに高いわけじゃないけど……」
「外見だけならKくんがいるしね」
「でも、あの穏やかな雰囲気というか、そういうのですかね」
「浮気しなさそう」
「誠実さが顔に出てる感じ?」

とみなが口々に、ふだんは目立たないHくん(29才)の美点を取り上げました。大笑いしながら、その日のランチは終わったのですが、同じ日の夕方遅い時間に……Tちゃんには、ドキリとするような事件が起こったのです。 それは、Tくんからの一通のメール。

>今日、時間があったら、仕事帰りに一杯付き合ってくれませんか? 話したいことがあります。

という内容でした。パソコンのモニター越しに、Hさんのデスクをチラッと見ると、そこには誠実で穏やかだけど、芯の一本通った男性が自分を見つめ返す、真摯な瞳が待っていました。

(やばい…。どうしよう)

と思いはしましたが、憧れのHさんからの誘いを断ることもできず、TちゃんはOKの返信をしました。

そして、その夜、ふたりで食事に行ったのですが、彼の話というのは、やっぱり彼女への告白だったのです。

Hさんと付き合いだして2週間ほど経ったある日のことです。洗面所で、E先輩の同僚の女性と一緒になったTちゃんは、こんなことを聞かれました。

「ねぇ、もしかしてHくんと付き合ってる?」

正直者のTちゃんの顔はサーッと赤くなりました。

「……やっぱり、Eがね、あのふたりは絶対付き合ってるって言うから。ねぇ、Hくんと付き合い出したのって、あのランチ会の後だよね。Eの気持ちはうすうす察してたよね? そりゃ、HくんはEよりちょっと年下だけど……。Tちゃん、もしかしたら、もう私たちの集まりには呼べないかも」

「……わかりました」

案の定、それからプッツリとE先輩のグループからは声がかからなくなり、E先輩からはずーっとムシされるハメになったTちゃん。部署内の女子の最新情報や、おもしろい話が一切入らなくなり、仕事にも少し影響がありましたが、だからといって好きな人をあきらめるわけにもいかないし、しばらく落ち込んでしまいました。

恋も女の友情も仕事も、どれも手に入れたいけれど、なかなか自分ひとりではうまくいかないなぁと実感したTちゃんだったのでした。


このように、女性の仲良しグループ関係に、状況がわかっていなかった(わかっていたからといってどうすることもできませんが)男性が介入(介入したわけでもないでしょうか)することで、女性が困ったハメに陥ったり、グループからのけ者にされたりするということはよくあることです。

こんなとき、男性は女性の間を取り持ったり、「そんなことはよくない」と注意したりすることもできないと思います(注意すると、余計に状況が悪化したりする)。

ですから、彼女のさみしい気持ちや、困った状況をよく理解してあげて、ただひたすら話を聞いてあげる。自分だけは側にいてあげる、という思いをアピールする……というふうに、女性を見守ってあげてほしいと思います。そんなことしかできない、と思うかもしれませんが、とにかくやさしく自分だけは味方、ということを彼女にわかってもらえるよう、努力してみてほしいものです。


酒井冬雪です。暑い日がつづいております。妹から「エコにならないと」と注意され、チームマイナス6%のHPを見て「なるほど」とできることからやってみることにしました。Myバッグひとつ探すだけでも楽しかったです。では、またね。