家や会社の近所、電車の中でよく見かけるんだけど、話したことがない、どこの誰ともわからないあの人……を好きになったことがある。そんな経験のある方は、少なからずいらっしゃるのではないかと思われます。

正直、私はそういう経験がありませんが、高校生のころに友人(女性)が、電車でよく会う男の子に手紙を渡すのに付き合わされたことがありました(今だと「メールアドレス教えて」になるのでしょう)。

そのときは他人事だったので、手紙を渡す友人と、それを受け取る名前も知らない男の子とのやりとりを客観的に見ていましたが、男の子の目がうひょっとして、すごくうれしそうだったなぁという気がしました。

また、その後ふたりは何度もデートをしたりするようになっていたと記憶しています。こういっちゃなんなんですけど、シチュエーションがどんなふうであっても、男性というものは案外、女の子から告白されるのをそんなに悪くは思わない、むしろヨロコぶ傾向が強いようにみえます。

会社の近くや近所で、電車の中で、

「よくいっしょになって、あこがれていて」

と、打ち明けられたら、男子としてはそんなに悪い気はしない(よっぽど自分の苦手なタイプの女の子でない限り)と思うのです。

(オレもまんざらでもないな)
(そんなに好みの子でもないけど、自分を好きと言ってくれるのだからかわいい)
と、よい方向に受け止める人が多いようにみえるのです。

しかし、女の子はどうでしょう。見知らぬ男の子から声をかけられたとき、どのように感じるのでしょう。


某商社に勤務するCちゃん(25才)は、あるとき、会社の近くのイタリア料理店でひとり、ランチを食べていました。

すると、トマトソースのスパゲティを口に入れている最中に、突然、

「いつも会いますね」

と、トナリの席に座っていた男性から声をかけられたのです。自分と同じぐらいの年齢に見える、イヤな感じもしない、どこにでもいそうなフツウの外見の男の子でした。

しかし、彼を見たことがある記憶、よく会う人だなと覚えていた感じもしません。けれど、彼としては、勇気をふりしぼって話しかけてきてくれたのだろうし、そんなに冷たくもできない……。

そう考えた心やさしいCちゃんは、あいまいな笑顔でうなずいたそうです。その笑顔にほっとしたのか、相手の男の子は自己紹介をはじめました。

「ボクは、あそこの×××(家電メーカー)で働いているんですけど、よかったら今度いっしょに映画でも見に行きませんか? たしか△△△が今週末から公開されますよね。ボクが車を出しますんで。家まで迎えに行きますよ。お住まいはどの辺なんですか?」

一気に、デートの誘いから車でお出かけ、住所まで聞かれてしまって、どうしようと動揺したCちゃんは、今度もあいまいな笑顔……でも、ちょっと迷惑という目付きもつけて、彼の顔をジッと見たそうです。

幸い、その男の子は察しがいい子だったらしく、
「あっ、すみません。急にこんなこと言って。迷惑ですよね」
というと、そそくさと立ち上がってお店を出ていってしまったのでした。

Cちゃんは言います。

「というわけで、そこのイタリア料理屋には最近行ってないんだ。気に入ってるお店なんだけど、あの人に会っちゃうと気まずいし。でもね、後から考えてみると、けっこういい人そうだったし、時間をかけて話をして、だんだん仲良くなっていければよかったと思うの。でも、いきなり家まで迎えに行くって言われると、とっさにどうしていいかわかんないっていうか。知らない人と仲良くなるときは、まずは、友だちになってからとか、じょじょに時間をかけるものでしょう。よく知らない人に車でうちに迎えに来られちゃったら戸惑うよね」


このように、女の子は知らない男の子と知り合いになるとき、えっ、困る……と思うか、もしくは一気に仲良くなるのではなく、時間をかければなんとかなるかな……と思うものです。いきなり告白されて、好みのタイプではないけどうれしい! ということはメッタにないといっても過言ではありません。

女の子はやはり、男の子には力でかなわないところがありますので、とりあえず知らない男の子に出会ったら「危険」ではないかどうか十分に注意しなくては、という気持ちが働いてしまう。それは、どうしても避けられない、ゆずれない部分でもあります。

ですから、知らない男の子と仲良くなるときはなるべく時間をかけて、じっくりと彼の人柄を見極めたいと思ってしまうわけなのです。このあたりの、女の子の気持ちをよく知って、あせって一度のチャンスにガツッと飛びついたりせず、最初は、

「よく会いますね」

ニコリ、でその後は知らん顔……をする。というふうにして、その後はじょじょにアイサツを交わす仲に、少しは話をする仲になる。話ができるようになったら、共通の話題をみつけて、そこに食いついてあげるといいかもしれません。

知らない相手には、あせらずに時間をかけて近づいてあげると、女の子も見知らぬ男性を警戒せずに打ち解けてくれる確率が少しずつ高くなっていくはずです。

見知らぬあの子を好き、という男性は、時間をかけて相手を見ているだけにするのではなく、時間をかけて、顔見知り→名前は知らないけどアイサツする仲→きっかけがあればしゃべるようになる、と段階を追って親しくなっていけるようになるといいと思います。


酒井冬雪です。私は、近所でよく会う人と2~3年ほどアイサツだけをする仲できましたが、最近、向こうの自転車とぶつかりそうになったことをきっかけに一気に親しくなりました。相手は10才下の女の子なんですけど。では、またね。