先日、知人の編集者さん(男性、30才)が「日本とアメリカ、フランスの20代後半から30代前半の男女(働いている人)に『恋愛』ということばから、どんなイメージを抱きますか? っていうアンケートを取りました」と私に教えてくれました。
「ふうん。それで、どういう結果が出たの?」と聞いてみると、
「フランスの男性は『恋愛は人生そのもの』みたいな回答をする人が多く(絵に描いたような答えです)、女性は『人生を彩るもの』というような答えが多かったですね。アメリカ人の場合、男女とも『生きていく上で欠かせないもの』だとか『人生を楽しくするもの』というような内容が多かったんです」
「…‥それで、日本人はどうだったの?」
「それが、ボクはすごく驚いたんですけど、男性も女性も圧倒的に多い回答が、恋愛は『怖いもの』だったんです。びっくりしますよね」
と、彼は言うのでした。彼はモテるタイプの男性だと思います。自分から努力しなくても、女性が寄ってくる(特に年上)、そんなタイプのような気がします。女性に話しかけて、素っ気ない態度を取られるとか、冷たくムシされるなんていうことは、ほとんど経験していない気がしました。だから、「恋愛=怖い」という回答に、とても驚いたと思うのです。
「でも、私はビックリしないよ。だって、恋愛は怖いもん。男の人は怖いもの」
「えええ!!サカイさん…男の人が怖いんですか?」
「怖いよぉ。力ではかなわないでしょう。怒らせたらどうなっちゃうんだろうとか、自分の気持ち(愛)を利用されたらどうしようとか、あれこれ心配すると怖さが先にきちゃうんだよね」
「あああ、女の人だと、そういう意味の『怖い』もあるんですね」
というような話をして、それでは? と考えました。男性が恋愛を「怖い」というときに、いったいどういったことを、何を「怖い」と感じるのでしょう。
たとえば、長くフランスで生活している友人(男性、34才)は、恋愛の怖さについて、こんなふうに言います。
「ボクは特にモテるわけでもなく、さえない感じのフツウに地味な男です。だから、日本で働いていたときは、初対面の女性に話しかけても警戒心をむきだしにされるか、あからさまに『眼中にない』っていう態度を取られることが多かった。仕事上の付き合いではなく、気になる女性に声をかけるとロコツにイヤな顔をされて冷たくされたり、ときにはムシされることだってあったんです。そうなると、女性に声をかけることが怖くなる。また、冷たい態度を取られ、何度も何度も断られるのはイヤだし、悪循環でどんどん臆病に、怖がりになります」
たしかに、若いころの私も、男性には警戒心をむきだしにする、もしくは冷たく対応する、年下だったらキツいことを言うという――そんなあまりよろしくない対応をしたことが多かったような……。
「ところが、フランスの女性は、断るにしてもやさしいんですよ。話をうんうんとうなずいて聞いてくれて、それから『ごめんなさいね、今日は家族と約束があるから、また声をかけて』と、その気がない相手にもキチンとコミュニケーションを取ってくれる。そうなると、男のプライドもキズつかないし、よし、自分も女の人とちゃんと話ができたと自信がでたりもする。たまに日本に帰ると、男の友だちから『どうしてそんなに、口が達者でナンパな男になったんだ?』と言われます。『No』を言うにしてもやさしく言われると、男も女性にうまく話しかけられるように育っていくのかもしれません」
彼はそんなふうに言うのでした。
男性も女性も「恋愛=怖い」と感じる。私自身、そういう気持ちが強いので、それが悪いこととは思いませんが、けれども何となくさみしい気持ちもいたします。
できることなら、恋愛は楽しいもの。異性とコミュニケーションをもつのは人生の彩り、一部である――というふうに考えてみたいものです。
しかし、そうなるためには、女性と男性、双方の努力が必要となります。私が思うに、男性に必要なのは、場を間違えない、タイミングを間違えずに女性に話しかける努力。
たとえば、女性が大勢いて、みんなの見ている前でひとりの女性にだけ熱心に話しかけるとか。自分の考えを言うのに精一杯で、相手への気遣いをすっかり忘れてしまうとか。いくらひとりきりとはいえ、明らかに、トイレのある方に向かって急いでいる女性に声をかけ、肝心のことを言わずに長々と関係のない話をしつづけるとか。
ちょっとむずかしいかもしれないですけれど、そういった点に気をつけるだけでも、女性の対応はだいぶかわってくると思います。
女性に必要なのは、マジメで一生懸命で、決死の思いで声をかけてきたに違いない男性に冷たい態度を取ったり、ムシしたりしないようにする努力です。
自分は彼のことが好みのタイプでない、お断りをするにしても、彼と合うタイプの女の子はどこかに必ずいるはず。
ですから、次の女の子へバトンタッチするためにも、今、自分は彼がへこまないような対応をしようと考える「ゆとり」をもってあげてほしいのです。
「ごめんね、私、学生時代から付き合っている彼氏がいるんだ」と、申し訳なさそうな表情で自分の事情を説明する。「今日は友だちと先約があるから、また今度…。友だちも誘っていい?」
と、いうような断り方をしてあげるなど、ちょっと男の子にやさしさを見せてあげてほしいのです。
やさしい断り方をすると、「男の子にヘンに期待を持たせてしまう」「勘違いさせてしまう…」と思う女の子もいるでしょうが、ムシする、冷たくするというコミュニケーションより、何度かのやりとりで「ごめんね」という気持ちをさとってもらうほうが、男の子の今後の役に立つように思います。
「恋愛は怖い…」にならないように、まずは異性と話をするのはなかなか楽しくて興味深いところがある、お互いにそんなふうに思える関係が生まれるといいなあという気持ちでいっぱいです。
こんにちは、サカイです。人間関係ってむずかしいものです。晴れがつづいていたのに、突然雨になったり。しかし、考えてみると「人間関係=むずかしい」も「恋愛=怖い」とツナがっているような……。私はどこまでも人見知りなのね……ということで、そんな自分でいいかな。でも、男子のみなさんには、ぜひとも「女の子と仲良くなる=おもしろい」と思える殿方になってほしいです。私も今日から、なるべく男子に(さらに)やさしくしようと思います。では、またね。