男性からみると、じゅうぶん「いいヤツ」で、彼女がいてもおかしくないと思うのに、なぜか彼女がいない男性がいる。その逆で、同性から見て信頼できない感じ、なんだかいい加減で不誠実に思える男性がモテている。こんなふうに感じたことのある方は、意外に多いと思います。

今回は女性が「いい」と思う相手と男性(同性同士)が「いいヤツ」と思う男子の違いについて考えてみることにします。


某飲料メーカーで働くKくん(27才)は、学生時代の友だちHちゃん(27才)から、

「会社にだれか、いい男の子がいたら紹介してよ」

と頼まれました。Hちゃんとは長い付き合いですが、これまでKくんにそんなことを言ってきたことがないのでビックリして、

「どうしたの?」

と聞いてみると、

「うーん、なんかねぇ。ちょっとあまりにも痛い失恋しちゃって。自分の男を見る目に自信がなくなったのかなぁ。だから、Kくんが『おススメ』と思う人を紹介してほしいっていうか…」

なんて、いつもと違って弱気なことをいうのです。思い起こせば、学生だったころも、Hちゃんの連れてくる「彼氏」には、首をかしげずにはいられなかったKくんです。

「…(たしかHって、1、2年の頃は、BMWに乗った、いやらしそうなおっさんと付き合っていたような気がする…。その後は、就職セミナーで講師をしていた、ヘンなスーツを着たうさんくさいオヤジと付き合ってたし。年上好きなのだろうか?)」

おそるおそる、

「やっぱりあれかな…、年上のほうがいいとか、そういうのあるの?」 「…できるなら年上がいいけど、10コ上とか、15コ上とか、あんまり年が離れてる人じゃないほうがいいかな。同世代とか、2~3コ上とか…」

本当にめずらしくしゅんとしているHちゃんの姿を見て、Kくんは仕方がない、そういうのはぜんぜん好きではないし、したこともないけれど、だれか彼女に紹介しよう……と心に決めたのでした。

というわけで2週間後、Kくんは職場の先輩で彼女いない歴7年のTくん(30才)をHちゃんに紹介することにしたのです。

自分としてはセッティングをするだけで、わざわざそんな会合に立ち会いたくもないし「二人で会ってみれば…」と言いたいところだったのですが、T先輩もHちゃんも「いっしょについてきて」というので、仕方なく3人で会うことにしたのでした。

Hちゃんはかわいいワンピースを着て、気合いじゅうぶんです。KくんはHちゃんを「女性」として見たことがなかったのですが、よくよく考えてみると、彼女はわりと「かわいい」顔をしています。

その証拠に、いつもはわりと無口なT先輩が、額に汗を浮かべ、顔を赤らめながら、ペラペラと仕事の話をしているのです。T先輩にとっては、なかなか好感触らしい……よかったとKくんは、満足な気持ちでいっぱいになったのでした。

ところが、その翌日、さっそくHちゃんがKくんのアパートへやってきて、ブツブツ文句をいうではありませんか。

「いい人だとは思うけど、男としての魅力を感じないっていうか」とか、「あまりにも安全パイって感じ? 友だちとしか思えない気がする」とか、失礼なことをいうのです。

大好きな信頼する先輩のことをそんなふうに言われて、少しムッとしてしまったKくんは、「じゃあ、これまで自分が付き合ってきた男とうまくいかなった理由を考えてみたら?」とキツい口調でいってしまいました。

Hちゃんは、顔を赤くして、

「…ごめん、そうだよね。Tさんともう1回会ってみるね」

とスナオに言うのでした。


女性はどうしても「悪い男」に心を惹かれてしまうものです。同性である男子から人気がないけれど、たしかに話がうまく、服装のセンスもいいし、女の子ウケはいいんだろうなと思う。

そういう男が男同士の会話となると、女性に関する自慢話をし、女の子をバカにした話をしている。そういう事実を知らないで、女の子たちは、ああいう男に引っかかっている……と思うと、男性としては同情の余地もないし、女の子を信じられない気持ちになってしまうこともあるでしょう。

ですが、男性も同じように、女の子から見ると「あの子って性格悪いよね」と思う女性に心を惹かれ、コロリとだまされたりしているフシもある。

男性も女性も、恋愛となると、冷静さを失い、自分にない魅力を求めたり、悪さに心を奪われたりしてしまうものなのです。

ですから、男性と女性も、そういう経験を重ね「もうこういうタイプはこりごり」と学習する以外に、道はないような気もいたします。女の子が、同性である男子から見て「よくないなぁ」と思う男に心をひかれるのは、恋愛の特別感のなせるワザなのかもしれません。

男性は、同性を見るときに「この人はこういうところがすぐれている」とやさしい目で見守ることができる生き物です。たとえば、鉄道に詳しいとか、ウソをつかないとか、彼にたったひとつでもよいところがあれば、相手のその長所を「すばらしい」と思ってあげられる。それが男性のいいところだと思います。

しかし、女性は男性を見るときにどうしても「トータル」で見てしまうというか、総合点をつけたくなってしまう傾向が強いようです。外見、性格、話のおもしろさ、服装のセンス、周囲の評判、社交性、恋愛経験……こういった要素をチェックして、総合点をつけてしまう。ですから、どこか一点が突出していても、他が平均点に達していないと「ダメ」と思ってしまう部分があるのです。

その違いを知った上で、女の子に「男のよさ」はそれだけじゃないんだ、ということを伝えられる男子になってほしい。さらに、欲をいえば、女の子の見るポイントで平均点を出すずるさも身につけてほしいと願わずにいられない私です。


こんにちは、酒井冬雪です。ここのところ、風邪を引いてばかりいます。運動もしているし、ごはんも一日三食、健康には気を遣っているつもりですが……みなさまも、健康にはくれぐれもご注意ください。では、またね。