男性を見ていると「不器用だなぁ」と苦笑してしまうことがよくあります。手先が器用、不器用というのではありません。思っていることが、ぜんぶ……ぜんぶ、ぜんぶ顔に出てしまうので「不器用だな」と思うのです。
たとえば、友人の既婚男性が妻に隠れて浮気をしていたとします。そこで、こちらが、「浮気してるよね?」と何気ない会話の途中で(彼が予期せぬカタチで)ボソッと質問を投げかけてみようものならもう、彼の顔には「(Yes!!)」の答えが書かれてしまう……。
そして、
「そんなことするわけない」とムキになって怒るか、または、
「…(のどをつまらせる音)、なんでわかったの?」とスナオすぎる反応をしてしまうわけです。
それから、
「え、でも、なんでわかったの? どうしてわかるの?」
「うーん、目?」
「目って、目がどうなってるんだよ?」
「目の奥に邪悪な光がきらめいてるっていうか」
「だーっ、それじゃわかんない。なんでだー、どうしてバレるんだよー」と、おさだまりのバレた原因究明会話へと発展していくわけなのです。ですから、悪いことはしないほうがいい、男性の不器用なウソは、女性にはすぐバレるから……と私はいつも思います。
Dくん(23才)は、昨年の春、新入社員として某医療機器メーカーに就職しました。同期入社のメンバーに、とても人なつこくて、女の子ともすぐに仲良くなってしまう男、Yくんがいたため、入社後すぐに同期で飲み会をすることになりました。
居酒屋では、Yくんが右隣に座ってくれたので、女の子と話をすると緊張してしまうDくんも、何とか会話についていくことができていました。
すると、同期入社の女の子たちの中でも「かわいい」と評判のMちゃんが突然、
「彼女とかいるんですか?」
とDくんとYくんのふたりに聞いてきました。実はDくん、彼女いない歴が自分の年齢と同じだったため、その質問をされると「…(この場は正直に言っていいのだろうか? ドン引きされるだろうか?)」といつも悩んでしまいます。
幸い、Yくんがすかさず、
「彼女? いないんだよねー」
と返事をしてくれたため、
「えー、ウソでしょう?」
「ホント、ホント、今はいないんだよ」
「あやしくない?」
と場が盛り上がって、Dくんの存在は忘れられたかに見えました。
ところが、彼の左隣に座っていたMちゃんが、小声で、
「で、Dくんは彼女いるの?」
と聞いてきたのです。
「いや、え、あの、まあ、一応、それっぽい人はいるっていうか…」
ちょっとカッコつけてみたDくん。
「そうなんだー、なんだぁ…残念」
「…(残念って、どういう意味だ? もしかして、ボクのことをけっこう「いい」と思ってくれているのか?)」
「彼女って、どういう人なの?」
「いや、ええと、彼女っていうか、自分がそう思ってるだけで、彼女じゃないかもしれないし。うん、よくわからないんだ」
「ええ。彼女かどうかわからないって、どういうことなの」とMちゃんは笑い出し、それ以上、話はすすまなかったそうです。
しかし、居酒屋から駅までの帰り道で、MちゃんはさりげなくYくんを囲んでいるみんなから離れて、ひっそりとDくんの横を歩きはじめました。そして、
「あのね、さっきの彼女っぽい人の話なんだけど」
「えっ? (なんでだー、この見栄張り話からは解放してくれー)」
「彼女っぽい人って、ホントなの?」
「あー、いや、わかんない。たぶん、彼女じゃないと思う。うん、1回映画観に行っただけだから(大学のゼミの後輩の女の子と映画を観に行ったのはウソじゃないぞ)」
「そうなんだ、よかった。じゃ、Dくんはフリーだよね」
そういうと、Mちゃんはみんなのいるほうへと歩いていってしまったのでした。
それから、半年後、Mちゃんの積極的な行動のおかげで、めでたく彼女と付き合うことになったDくん。付き合いはじめて親しくなったある日、Mちゃんがこんなことを言いました。
「ねぇ、最初に同期のみんなで飲み会に行ったとき、私が『彼女いるの?』って言ったら『いる』って言ったけど、あれウソだったんでしょ?」
「えっ? (冷や汗)でも、どうしてわかったの?」
「だって、目がすっごく泳いでたし、その後、私の顔をぜんぜん見なくなっちゃったんだもん」
とまあ、このように、男子の不器用な態度から、たいていのことは女性にバレてしまうものです。ただ、女の子はやさしいので、黙っていることが多い。そのため、世界は平和に保たれているのです。
この不器用ぶりは、どうすれば改善されるのか? といわれても、(たぶん)器用な私には何ともいえない部分があります。
しかし、親しい男性から、
「なんでウソがバレたんだ?」
と聞かれたときは、
「まあ、とりあえず、今の目が泳いでいる状態を見てみたらどう?」とコンパクトを手渡して、自分で目が泳ぐ状態を確認してもらったりはしています(オニ)。そうすると、誰もが、
「うわ、顔がこんなに赤くなってる」
「目が泳ぐってこういうことなんだ」
「…ダメだ、こりゃ」
と自分の不器用ぶりに気づきます。
そして、「こんなにバレバレだったら、ウソはつかないほうがいいね…」と悲しげにつぶやく。ですから、私としては、女性にウソをつかなくてはならないようなうしろめたいこと、悪事は働かないほうがいいよね、と言いたい気持ちでいっぱいです。
しかし、社会人ともなれば、自分の思惑とはウラハラに、相手をキズつけないため、会社のために、ウソをつかなくてはならない場面も出てくるかもしれません。
そんなときは
- 必要以上に目をそらさない
- 必要以上に相手の目を見過ぎない
- ムキになって怒るより、悲しそうな顔をする
というあたりに注意すると、不器用すぎて、たとえ相手にウソだとバレたとしても、「…(いたしかたない事情があったんだろうな)」「…(かわいそうだから、知らんぷりしてあげよう)」と思ってもらえるはずです。
不器用なのは、なかなかなおらないので、不器用さを「かわいさ」に変えられるような方向へもっていけるとよいと思います。がんばってください。
こんにちは、酒井冬雪です。なんだかんだいって、男子の不器用ぶりというか、ウカツさ……みたいなものを「かわいい」と思ってくれる女子はけっこう多いです。そんな愛とやさしさに報いるためにも、女子にはあんまりウソはつかないほうがいいですよね。では、またね。