このバイクを最初にチェックしたときから、ずっと気になっていたパーツがマフラー。今回はそのマフラーの修復について紹介したい。残念ながらまるごと交換となってしまい、問題も発生して四苦八苦だった。
過去のずさんな修理が発覚!
このバイクのマフラーには、ビニールのようなやわらかいものが張り付いていて、最初はそれが何なのかまったくわからなかった。いずれにしても剥がれかかっているので、マフラーを取り外し、ビニール状のものを剥がしていくことにした。出てきたのは耐熱パテと大量のさび、そしてずさんな溶接跡だった。
2ストエンジンのマフラーは、オイルの燃えカスであるスラッジがたまり、次第に詰まっていく。どうやらこのマフラーも、過去に詰まってしまい、本体を切り開いて修理しようとしたようだ。切り開いてスラッジを取り除くところまではできたものの、その後の作業で失敗したのだろうか。
切り開いたところを溶接でふさごうとした形跡が見られるものの、非常に汚い溶接で隙間だらけ。これでは排気ガスが漏れ放題になってしまう。このマフラーはスチールではなく上等なステンレスでできており、ステンレスの溶接はスチールより格段に難しいことが、修理した人の誤算だったのかもしれない。最終的に、大量のパテなどでマフラーの大半を包み込むという強引な手段を取ったようだ。
このマフラーは修復するのもかなり大変だし、修復できたとしても新品同様の外観とはならない。修理した人がなぜ表側を切り開いたのか、非常に不思議だった。裏側であれば、修理跡が残ってもかまわないのに……。
結局、マフラーの修復を諦め、同じものをネットオークションで購入することにした。驚いたことに4~5個も出品されており、落札したマフラーの価格はなんと91円! とはいえ、喜んでばかりもいられない。届いたマフラーは詰まっていた。
走行もしていないのになぜわかるかというと、口で息を吹き込んでみたから。このタイプのマフラーは、排出口のパイプが全体の中で一番細くなっているのだ。たとえば、パイプの内径が15mmであれば、内径15mmの単なるパイプをくわえて息を吹き込んだのと同じ感覚になる。だが実際には、もっと細いストローをくわえているかのような抵抗を感じた。
最低限のダメージでマフラーを修復
マフラーを購入して完了のつもりが、マフラーの修復まで行うことになってしまった。マフラーを切り開いてスラッジを取り除くしかないのだが、当てずっぽうで開けるわけにもいかない。しかたないので、修復を断念して不要になったマフラーを大きく切り開き、内部の構造を調べてみた。このマフラーは多段膨張式と呼ばれるタイプで、詰まりが生じる場所は1カ所だけ。その場所を正確に知りたかった。
不要なマフラーのおかげで内部の構造がわかったので、修復するほうを最低限に切り開き、詰まりを解消することができた。あとはアルミの板をあてがい、耐熱パテとリベットでふさぐだけ。こうしておけば、また詰まったときでも簡単に修理できる。最後に耐熱塗料で塗装すれば、マフラーの修復は完了となる。
今回はステンレス板をディスクグラインダーで切り開いたり、それをふさぐのにリベットを使ったりと、難易度の高い作業になってしまった。ここまでやる自信がなければ、少々高くても程度の良いマフラーを購入したほうがいいかもしれない。
レストア必須アイテムを紹介! 「食品用容器」
前回、パーツをコンテナボックスに分類して収納しておくことを紹介したが、ねじ類などの小さなパーツは、写真のようなトレイに入れておくと便利。金属製の専用トレイも販売されているのだが、食品を小分けして収納するための容器でも十分だろう。100円ショップに行けば、3個セットで108円で買える。ちなみに100円ショップで買える台所用品の中には、レストアに使えるものもたくさんあるので、これからも紹介していきたい。
ここまでのレストアに費やした金額
金額 | |
---|---|
車両購入(スズキ「ジェンマ50」) | 1万100円 |
中古マフラー(送料1,404円込) | 1,495円 |
合計 | 1万1,595円 |