こんにちは、リカレント教育コンサルタントの津田です。暑さ寒さも彼岸まで、ようやく暑さも和らいできました。皆さんも期初に目標設定をしていると思いますが、達成具合はいかがでしょうか。半期の振返りをしながら、新しく学ぶ内容を検討してもいいですね。
本日は「副業とリスキリング」がテーマです。ここ数年、大手企業においても副業解禁の流れがあり、自身のキャリアを広げるために、副業先を探している方もいらっしゃると思います。また、すでに副業をスタートしてみたものの、しっくりこない、お小遣い程度の収入にしかならず、上手くいっていない方もいらっしゃるかもしれません。今回は、リスキリングの視点からおすすめの副業や、その副業の探し方を考えてみます。
■副業とは
副業は、主要な職業とは別に、追加の収入を得るために行う仕事や活動を言います。活動の中にはボランティアで行い金銭的な収入が伴わないものもあります。自分の持っている、スキル、専門知識、アイデア、趣味を活用しながら活動をすることになります。従来は、労働時間の管理や、機密情報の漏洩リスクから、副業を禁止する会社が多かったのですが、今は、キャリアオーナーシップを持つことが国からも推奨されており、規制も緩和されています。ヤフーが2020年から募集しているギグパートナーはこれまで4,500名の応募に上り、多くの話題を呼びました。
三井住友海上火災保険は将来の課長昇格要件に他社での副業を含む外部での経験を挙げていますし、ライオン株式会社は副業を人事が斡旋する仕組みを持っているなど、もはや副業は働く私たちにとって当たり前で身近なものになったと言えます。私自身も、これまで多くの副業希望者と面談をしてきましたが、安定した大手企業でずっと勤め続けている方が、転職までは考えていないが外の環境を経験したい、と副業を希望するケースも多かったです。
■副業とリスキリングの相互補完性
それでは、リスキリングの視点で、副業をどのようにとらえるとよいでしょうか。新しい領域でリスキリングをして、副業で力試しをしたい、でも即戦力じゃないのにそんなことができるのだろうか、とお考えになる方もいるかもしれません。
パーソルイノベーション株式会社の調査によると、「あなたはこれまで、リスキリングを目的として副業を行ったことはありますか? 」と尋ねたところ、「ある」と回答した方は27.0%となり、全体で約3割の方がリスキリング目的で副業を実施していることが分かりました。また、年収レンジ別では、年収800万円以上の方は、約半数以上がリスキリング目的での副業経験があるという結果となりました。
「副業を行うことでどのようなスキル・能力が身につきましたか?」と尋ねると、「情報収集」が最も多い結果となり、32.0%でした。次いで、「プロジェクトマネジメント」が27.2%、その次に、「資料作成」と「コミュニケーション」が並び、26.0%となりました。「特に能力は身につかなかった」の回答は2.4%と低く、副業を行った方は、何らかのスキル習得を実感している方が多いようです。
単なる情報収集? と思う方もいらっしゃるかもしれません。異なる業界の仕事や、同じ仕事でも会社が変わると、現状の知識だけでは対応ができず、資料作成1つにしても、様々な角度からリサーチをすることになるのだと思います。また、プロジェクトマネジメントは、まさに本業のプロジェクトと副業のプロジェクトが並行し、自身がリーダークラスでなかったとしても、マネジメントスキルが必要になるのではないかと考えます。
■リスキリングで副業収入、本業収入もアップ
株式会社クラウドワークスの調査によると、副業者のうち54.5%がリスキリングで副業収入アップ、うち半数以上が年間10万円以上増加していることが分かりました。また、副業者のうち55.6%はリスキリングで本業収入もアップしていることが判明し、本業と副業の両方に良い効果が出ていることが分かります。リスキリングが収入アップに繋がっており、本来の目的を果たしていると言えます。
■おすすめな副業の探し方
まず、社外でのリスキリング領域としておすすめなのは、第2回でもご紹介した通り、「今の職種×デジタル」です。業務に関する知識をすでに持っている領域で、デジタルに関する新しいリスキリングをしていくと効率的です。例えば、マーケティングの方であれば、マーケティング×デジタル、MA(マーケティングオートメーション)、アンケート時のテキストマイニング。人事の方なら、人事×データ分析、ピープルアナリティクス。営業の方でしたら、セールス×デジタル、セールステックといったところになります。
次に、副業マッチングサイトでその領域の仕事がどのように募集されているかを探しましょう。スタートアップやベンチャー企業が数多く、副業案件を掲載していることが分かります。「セールス」「マーケティング」「人事」「広報」「ライティング」「コンサルティング」などのカテゴリーに分かれており、自ら手を動かして資料作成などをする案件や企業担当者との壁打ち(テーマの相談相手)として稼働する案件もあります。自身が持っている業界知識そのものが活きる仕事もありますので、まずは応募してみて下さい。また、私の経験上、副業マッチングサイトは自身の持っているスキルによる相性があり、決まりやすいところとそうでないところがあります。私の場合も、1つ決まると次も決まるという流れがありました。
また、SNSでリスキリングをしていることを表明しておくと、そこから知人経由で声がかかることもあります。facebook、リンクトイン、Xなど、外と繋がる可能性があるSNSは自身のメディアでもあります。プロフィール欄をしっかりと作成し、興味がある副業についても記載しておくのがおススメです。
次回は、「リスキリング実践者の声」をご紹介します。
<参考>
■異能人財とのライブなセッションを通して、イノベーションを起こす ──ギグパートナー制度はヤフーの何を変えるのか
■「出世したくば副業せよ」 三井住友海上、社外経験促す
■ライオン、人事部が副業紹介 本業での貢献を期待