いつの時代も恋に悩める男女は多いもの。ここでは、弊誌人気連載「理系のための恋愛論」の酒井冬雪先生が、皆さんの恋愛に関する悩みにお答えします。恋愛に悩んでいる人、まずは先生に相談してみましょう!



28歳会社員(女性)です。私は昔からオヤジ受けがよくて、自分自身もそれは分かっています。おじさんの転がし方というのも、別に頭をひねって考えているわけではなく、なんとなく自然にしていることがおじさんたちのツボであるという感じで、この能力は持って生まれた天性のものなのだと思います。

あと、結構口からでまかせみたいな感じで、お世辞の言葉がスラスラ出てくるんですよ、私。そのおかげで仕事もうまく行くし、この能力に感謝していたのですが、最近イラつくことが多いです。私は普通にしゃべっているだけなのに、相手が勘違いするんです。「○○ちゃん(私)は俺に気がある」と複数のオヤジが言っているらしく、聞くところによるとそんなオヤジたちの間で私の奪い合いまでしているそうです。

興ざめです。単なる社交辞令もわからないなんて。今までこんなことなかったのに、急にこんな厄介なことに巻き込まれるだなんて。どうすればこういうトラブルから抜け出せますか。



非常にうらやましい能力ですね。少し分けてもらいたいくらいです。これまでもきっと、社交辞令とわからなくて勘違いしていたおじさん達はいたのだと思いますよ。でも、相談者さんがあまりにも若すぎたりしたときは、おじさん達も「これはきっと勘違いだろうな」とか「お世辞だろうな」と考えてくれていたわけです。

ところが、相談者さんが大人の女性になり、おじさん達にとってのストライクゾーンな年齢になった途端に、一気に夢がふくらんでしまったのだと思います。「これはイケる」「オレもまだまだ捨てたもんじゃない」と、おじさん達としては社交辞令を自分に都合のよい方向に受け止めてしまっているような気がします。

このまま勝手に放っておいてもいいとは思いますが、勘違いされて面倒なのでしたら、おじさん達のそのやる気を仕事に向けてくれるようにうまく誘導してみてはどうでしょう。

相談者さんの天性のおじさん転がし能力を持ってすれば、おじさん同士を戦わせずに、協力させて仕事をスムーズに運ばせるのも不可能ではないと思います。例えば、Aおじさんには、「BおじさんがAおじさんのこと、アイツはすごいヤツだっておっしゃってましたけど、その通りですね」と言い、Bおじさんにはその逆を伝え……というふうに、ほとんどほめ合うことなどないおじさん同士をつないであげるのです。お互いにライバル心ではなく好意を持ってもらうようにすると、仕事にも協力的になってくれるかもしれません。

それでも、相談者さんにしつこく言い寄ってくるおじさんがいたら、「Cさんは、女性に人気があるから、私ひとりで独占したら、みんなに恨まれちゃうんですよ。仕事もやりづらくなっちゃう」とか何とか、「立場上困るわ」という気持ちをさりげなく伝えてみるといいと思います。いずれ、遠い未来におじさん達からも騒がれることがなくなる日が来るものですから、それまでの間はがんばって上手におじさん達からの攻撃をかわしていってほしいです。

ちょっと面倒だとは思いますが、面倒な今を楽しむくらいの気持ちで、現状を乗り切っていってください。健闘を祈ります。

イラスト: のでこ

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