チャンネル FOX
この番組がスゴイ! マイネーム・イズ・アール

ダメ人間、カルマを正す道へ

カルマ、という言葉をご存じだろうか。少し前のスピリチュアルブームに多少は乗っかった人なら耳にしたことはあるだろう。筆者はカウンセラーではないし、霊が見えるわけでもないので、詳しいことを突っ込まれたら困るが、簡単に説明すると「原因があって、結果がある」といった考え方だ。つまりは良いことをすれば、良いことが自分に返ってくる。悪いことをすれば悪いことが返ってくるということである。今回、オススメする番組『マイネーム・イズ・アール』(FOX)は、そのカルマの法則をベースにしたドラマ。とはいえ近年、猛威をふるっている超常現象系ではない。コメディだ。

なんとかなってしまうお約束ストーリーだが、毎回おもしろすぎる『マイネーム・イズ・アール』(「FOX」Webサイトより)

主人公のアール・ヒッキーは、どうしようもないダメ人間。まったくの無教養で、昼間から酒を飲み、仕事はしないで、金がなくなれば仲間を誘って盗みを働き、ダラダラと毎日を過ごしいる。そんなある日、盗んだ金で買った宝くじで10万ドルの大当たりを引く。しかし、喜び勇んだのもつかの間、通りに出た瞬間に走ってきた車に轢かれてしまう。手にしていた宝くじもどこかへ。病院送りとなってしまったアール。自身の運を呪ったところで天啓が与えられた。病院のテレビから「カルマ」の話が流れていたのである。

感化されたアールは入院中にこれまでの悪事をリストアップ。今後の人生を良い方向へと導くために、ひとつずつ償っていくことを決意する。小悪党が心機一転、罪滅ぼしに奔走するわけである。当然、その身から出たサビを落とすことは一筋縄ではいかない。なにしろ悪事は数々の盗みを中心に、子どもの頃のイジメや、友人の母親と寝たことなど、とにかく膨大な数。一応、アールを手助けしてくれる人物もいるにはいるが、それはメキシコから密入国してきたカタリーナや、某漫画の主人公とは正反対の"体は大人、頭は子ども"という弟のランディらだから、余計に話が複雑になったりする。

しかし、良いことをしようとする心がカルマに伝わるのか、結果的になんとかなってしまうのが毎回のお約束だ。差別にドラッグに犯罪に、ブラックなネタばかりだが、意外にも「あ〜いい話だったなぁ」とほっこりさせてくれるという癒し系の魅力もあり。また、なによりまさにアメリカの低所得者層の濃い部分だけを抽出したかような、これでもかと登場する一癖も二癖もあるバカたちには笑うことは間違いないだろう。

コラム『多チャンネル? どれ観りゃいいのよ』

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