チャンネル ミステリチャンネル
この番組がスゴイ! 奇術探偵ジョナサン・クリーク

英国発の犯人当てパズラー

周到に仕組まれた謎に奇想天外な仕掛け。それをマジックの知識を用いて解き明かす奇術探偵。最近なら『TRICK』シリーズの仲間由紀恵、ミステリマニアなら泡坂妻夫の曾我佳城を思い浮かべるだろうか。そうしたマジックを武器とする探偵は海外ドラマでも活躍中だ。今回、紹介するミステリチャンネルの『奇術探偵ジョナサン・クリーク』の主人公、ジョナサン・クリークである。しかし、彼は前述の2人とは違ってマジシャンとして表舞台に立っているわけではない。トリックの仕掛けを考案することを生業としている裏方だ。

ゆるい雰囲気と本格的な犯人当て要素がミステリマニアにはたまらない! 『奇術探偵ジョナサン・クリーク』をチェックすべし

ワトソン役となる女性ジャーナリストのマデリンが、謎めいた事件をジョナサンに持ち込むのが毎回のお約束となる推理モノ。あのジェレミー・ブレッドのホームズ以来、ミステリは得意中の得意の英国発のドラマである。それだけにさすがというべきか、作中のトリックが実に凝っているのが驚くところ。動機主体で話を作るアメリカ系ドラマとは異なり、アリバイ崩しや人間消失、密室の謎等々……。しっかり"本格"している。ご都合主義的な謎解きもないわけではないが、思わぬどんでん返しを仕込んでいたり、脚本家は相当に頑張っているのである。

ただし、全体的な雰囲気はゆるめだ。幕開けは英国ならではのどんより曇りがちな映像と優雅な音楽から始まり、いかにも古色蒼然とした正統派のストーリーが展開しそうなのだが、ゆるい。その理由はコミカルな要素がやけに組み込まれているため。しかも、それがモンティ・パイソンばりのナンセンスギャグだったりするから、ずっこけてしまう。

これはアンドレ・ザ・ジャイアントをヲタク風にした見た目のジョナサンがスタンダップコメディ出身の俳優、どことなく渡辺えり子をほうふつとさせるポッチャリ系の相棒のマデリンもコメディエンヌだからなのか。多少、彼と彼女の恋愛要素も絡んでくるが、こちらも「あまり見たくない」とツッコミが入ることだろう。

いわゆるパズラーとして犯人当てが楽しめるが、このように手に汗握る展開とは程遠いので「家政婦は見た!」風に気楽に視聴するのも良し。ミステリマニア、特にバカミス好きなら間違いなくオススメだ。

コラム『多チャンネル? どれ観りゃいいのよ』

ブロードバンドの普及によって、多チャンネル放送やVODサービスが身近になってきています。ユーザは、パソコンやインターネット対応TVなどを通じて、手軽に膨大なコンテンツを視聴することが可能です。でも、番組が多すぎると、どんなものを観ればいいのか迷うことも……。本コラムでは、国内外を問わず、番組鑑賞な日々を送っているライターからオススメのコンテンツを紹介していきます。