前回、飲みに誘われたら気取らず出かけられる柔軟さと軽やかさを持ち、それでいて独自のブランド力を感じさせる女性「居酒屋系レイディ」について紹介しました。今回から筆者の身近な友人の成功例を紹介していきましょう。

「がんばった」デートに負担を感じた弓子さんの"作戦"とは?

高いレストランよりも「居酒屋デート」のほうが、彼との距離が縮まるかも(写真はイメージ)

弓子さん(仮名)は31歳の美容製品販売会社の事務員。旅行が趣味で、そのつながりで1つ年下の設計技師、勝一さん(仮名)と知り合いました。最初のデートは六本木ヒルズのカフェバーで食事、次に2人で会ったのは新宿のパークハイアット……と、絵に描いたような「がんばった」デートコースでした。

弓子さんにとって、高いお店に連れて行ってもらえること自体はうれしかったそうなのですが、遠慮が先に来てしまい、好きなものも頼めず、その上どうしても緊張してしまって勝一さんとの話が弾まなかったそうです。彼に対して好感を抱き始めてはいたものの、自立心の強い女性だけに、「おごられっぱなし」というシチュエーションも負担に感じていたみたい。

そんな状況を変えるべく、ある日、弓子さんはこんな提案をしたそうです。「今度は私がおごるから、私の好きな所へ行っていいですか?」

そして彼女が連れて行ったのは、以前、いわゆる「女子会」に使ってたいへん盛り上がった、新宿駅からすぐ近くの大手居酒屋チェーン。好きなものを頼めて、好きな話題に花を咲かせ……。過去2回のぎくしゃくしたデートがウソのように、フランクに接することができ、2人の関係は急激に接近していったそうです。

弓子さんの実例から学べることは大きく2つ。1つ目は、最初はかしこまったお店に行くのもいいですが、すました関係を続けるよりも、自分のフィールドに引き込んでしまったほうが良い展開を生み出す有効な作戦だということ。

2つ目は、彼女のように大手居酒屋チェーンのお店を利用する作戦が、意外に効果があるということです。この作戦のことを話し、実行に移した知人もけっこういますが、かなりの割合で良い展開に結びつくようで、おすすめですよ。「大手居酒屋チェーン」というと、デートには不向きな印象を持つ人も多いかもしれないけど、よく考えてみて。そこそこ信頼のある居酒屋チェーンだったら、大体どのお店でも全体的なクオリティは平均点以下にはならないでしょうし、駅前など立地条件が良いお店も多く、値段も安価。

いまの時代、有名な居酒屋チェーンなら人気テレビ番組でもたびたび取り上げられていますし、そこに行きたいと言っても唐突感はないでしょう。グループでも行きやすいので、必然的に新しい出会いのチャンスが多くなる、という利点もあるようです。

「居酒屋系レイディ」でくれぐれも気をつけてほしいことは…

というわけで、「居酒屋系レイディ」としてデビューするなら、居酒屋チェーンのお店はデートするにも申し分ない場所といえるのではないかと思います。ちなみに、異性と一緒にお店に行く前に、同性の友人と現地を下見し、リサーチするのがおすすめですよ。そのほうが「本番」でスムーズに立ち回れますから。

弓子さんが実際に行った"作戦"以外にも、「居酒屋系レイディ」になるための第1歩となる方法がいくつかあります。たとえば、周囲で飲み会の話があったら「私も興味あります」と関心を示してみたり、さりげなく好きなおつまみの話をしてみたりして、常日頃から誘いやすさをアピールするのもいいでしょう。有名居酒屋チェーン店の看板メニューをいくつか知っておくと、話が膨らみやすいかもしれません。

ただし、ここで重要な注意点がひとつ。飲みに誘ったり誘われたりのコミュニケーションの中で、ついつい陥ってしまいやすい「落とし穴」が存在します。

それは言うまでもなく、「ただの飲み友達」になってしまうこと。いったん相手から「友達認定」されてしまうと、もう女性とは見てもらえなくなるでしょう。「ただの飲み友達」でいることはお互い楽ですから、ついついぬるま湯の人間関係に甘えてしまい、ファッションもメイクも手抜きしてしまいがち。「自分との戦いに勝つ」というのもある意味、魅力的な女性であるための必須条件といえるでしょう。

※当連載における「レイディ」とは、「女子」「ガール」といった、どことなく少女をイメージさせる存在からもう1歩踏み込み、「若々しさ」だけでなく「歳相応の深み」も持つ"オンリーワンの魅力"を秘めた「淑女(レディ)」をさす。「レイディ」という表現は新井素子氏のSF小説『通りすがりのレイディ』の主人公が憧れる、魅力的な女性への呼び名にちなんだもの

執筆者プロフィール : 来栖 美憂(くるす みゆう)

文筆家(男性)。ジャンルを問わない媒体で執筆中。近代カルチャーに詳しく、自身でもメイド喫茶などのイベントを企画・参加するなど実践派でもある。『アキバ☆コンフィデンシャル』(長崎出版)など編・著書多数。TwitterID「@mewzou