「カラオケレイディ」について紹介するシリーズも今回が最後。前回はカラオケでのコミュニケーションに関して、「その場でそつなく振る舞える人」「企画力を鍛えて、自分がコントロールできる場を作った人」の実例を示しました。
2人に共通して言えることは、歌を歌うことやパフォーマンスに気を取られず、他の部分に「気づき」を見つけ、自分なりの戦略を練っていった、ということになるでしょう。2人の実例の中では語りきれなかった、他に大事なことをここでまとめましう。
「歌がうまい」人ほどひんしゅくを買うことがある
たとえば、同じカラオケの場に、あなたのことが気になっている人がいるとしましょう。
その人が気にしているのは、「歌がうまいか?」よりも、「どんなふうに歌うか?」であることが多いように思います。あなたが歌うことによって、趣味が合っていると感じさせたり、内容や歌い方に共感させられたり、楽しそうな気持ちが伝わってきたり、寂しそうな様子に心を揺さぶられたり……、そういったことのほうが相手にとって重要になるものですよね。そもそも、歌が人の心をとらえるのは、単に「技量=歌のうまさ」ではなく、歌っている人から感じられる心とか人間性によるもののほうが大きいはずです。
たしかに美声の持ち主なら、あなたの存在を周りに強く印象づけられるでしょう。でも、みんながあなたの歌を聴きに来ているわけではありません。むしろ歌に自信がある人ほど、「十八番を熱唱すればいい」と勘違いしていて、歌を聴かせることばかりに気が行ってしまいがち。場合によってはひんしゅくを買ってしまうケースもありえます。そうなると、歌がうまいことがマイナス要素にさえなってしまいます。
「気を遣っている」アピールはNG! でも「自分も楽しむ」姿勢は忘れずに
もちろん周囲への気配りは大事ですが、「気配りをしている自分」に陶酔してしまうのも良くありません。これもありがちなことなのですが、周りの人のことを自分だけが考えているつもりになって、「私はこんなに気が利いています」と、無言ながらオーラで主張している状態も、確実に周囲の反発を招いてしまいます。
ですから自然に、「周りのことを考えている」と思われる状態になることが大事です。そのためにはどうすればいいのでしょう? 一言で言うのは難しいのですが、筆者が「気配りの達人」と呼べるような人を見るたびに思うのは、「無理はしない」が意外に大事なポイントではないかということです。自分自身に負担がかからない程度に気を遣うのが、最もバランスの取れた状態だと思うのです。
……と、ここまで散々、「周りを、周りを」と言ってきましたが、周りを見ること以上に、絶対に忘れてはいけないことがあります。「自分も楽しむ」ということです。
人を楽しませる上に自分も楽しむことができる。その両方を満たさなければいけないというのは難しいところでしょうが、それをできるのが「カラオケレイディ」の理想です、「楽しんでいる」オーラを出すことが、あなたを魅力的な人にするのですから。
要は周りとのバランスを考えて、みんなで楽しむことが大切なのです。
「ヒトカラ」も楽しいものですが、他の人と一緒にカラオケ行くとき、まして意中の人と一緒であるなら、「ヒトカラ」と同じフィーリングで臨んでも良い結果が出ないのは当然です。ひとりでの楽しさとみんなでの楽しさは違うものですよね。カラオケもそうで、ひとりでいる楽しさもある一方、みんなと行った時には別の楽しさが発生すると思うのです。その楽しさをしっかり感じることで、おのずと良い結果を招くのではないかと思います。
カラオケは日常の中に存在する、素敵な「レイディ」になるための大きなチャンス。その場を有効に使える「カラオケレイディ」をめざした途端、いまあなたを取り巻く世界が急に良い方向に変わり始めるかもしれませんよ。
「たかがカラオケ」「カラオケは遊びのひとつ」と考える人もいるかもしれませんが、みんなで参加すれば確実に人とのつながりが生まれます。自分自身も楽しみつつ、その場にいる人たちに共感を与えるための大事な要素が、いっぱい存在していると思いますよ。