卵子凍結について正しく知ってもらうため、情報メディア「卵子凍結UPDATES」の担当者が5回にわたって卵子凍結のリアルをご紹介します。
前回は、実際に卵子凍結を経験した3人の方から伺った「働きながら行う卵子凍結のリアル」についてご紹介しました。今回は、福利厚生の導入を進める企業に焦点を当てて、その背景を深掘りしていきます。
■世界で見る卵子凍結の福利厚生
米国のFacebook(現:Meta)とAppleが2014年に初めて導入し、先進的な取り組みとして話題になりました。その後も大手企業を中心に導入が拡大してきています。2020年には社員数2万人以上の企業の約2割が導入しています(※1)。
さらに、近年では日本企業でも導入の動きが広がっています。
■企業の福利厚生導入が進む背景
女性の活躍を後押しできる新しい取り組み
"仕事か子どもか"という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。これは20代〜30代にかけて、女性がキャリアを積む時期と、結婚や妊娠・出産についての適齢期が重なることが大きく影響していると言えます。
働く女性に向けた福利厚生として、子育て世帯に向けたものは多く存在していますが、子どもを持たない女性に向けたものはあまり多くありません。
晩婚化や少子高齢化という社会問題がある中、それらに対する選択肢の一つとして、福利厚生としての卵子凍結が、女性の活躍を後押しする新しい取り組みとして注目されているのです。
もちろん、働く女性にとって、妊娠や出産という選択は強制されるものではなく、自由に選ぶべきものということが前提としてあります。
その上で、企業が福利厚生に卵子凍結を導入することは、働く女性にとって「キャリアを築く人生」と「子どもを持つ人生」のどちらも選択できることにつながり、これからさらに重要性も高まってくるのではないでしょうか。
そういった女性の活躍を応援する企業の理念や価値観が、福利厚生に反映されているとも考えられます。このようなサポートを取り入れることで企業が期待できることは、優秀な人材の離職を抑制できるという点や、人材採用においても魅力的なアピールポイントとなり得る点と言えます。
■まとめ
卵子凍結の福利厚生を導入する企業がなぜ増えてきているのかをお伝えしました。
晩婚化や少子高齢化という社会問題が取り沙汰されている中、ライフプランを自由にコントロールすることがニーズとして高まっているのですね。
女性が働きやすい社会を目指す取り組みは、今後さらにさまざまな視点で制度が充実していくとともに、その広がりが今以上に加速していくことが期待されています。
次回は、実際に福利厚生制度を導入している企業についてご紹介します。
(※1)New survey finds employers adding fertility benefits to promote DEI - Erin Dowling - 2021