スメルハラスメント、通称「スメハラ」という言葉をここ数年よく耳にします。そして、これからの時期こそ、臭い対策が最も必要な季節です。汗による体臭だけではありません。雨の日が増えることで、部屋干しによる服の生乾き臭も気を付けたいところです。
臭い問題はセンシティブだからこそ、よほどではない限り、同僚から指摘されないことでしょう。だからこそ、人間関係を円滑にするために自分自身で気づく必要があります。今回は「サラリーマンの臭い対策」をお伝えします。
臭いの原因を理解する重要性
「汗くさい」という言葉がありますが、汗自体が臭うのではありません。皮膚に常駐している雑菌に汗が反応したとき「臭いが生じる」と言われています。なかでも、脇汗が雑菌に分解されたときに生じる臭いこそ、我々が認知する主要な体臭になるそうです。
汗を分泌する汗腺は人体に2種類あって、それぞれエクリン腺・アポクリン腺と呼ばれています。そのうち、アポクリン腺から分泌されている汗は動物におけるフェロモン同様の役割を果たすと言われていますが、現代人にとってはこの臭いこそ「わきが」として敬遠されるものです。そして、アポクリン腺は、脇の下に集中しています。
つまり、体臭を考えたとき、脇汗の対策は最も重要なパートなのです。
絶対的効果がある臭い対策とは?
そういう意味では、絶対的効果がある臭い対策は、分泌した汗を放置せず、雑菌に分解される前にこまめに拭き取ることです。ごく当たり前のことですが、脇汗を拭くことが大切です。
このとき、ただのタオルハンカチではなく、使い捨てを前提としたデオドラントタイプのウェットティッシュを推奨しています。制汗成分が含まれたタイプならば、汗の抑止につながるからです。
汗を乾かす速乾テクノロジー
とはいえ、人前で脇汗を頻繁に拭く動きは目立ってしまい、なかなかできません。だからこそ、かいた汗が雑菌に分解される前に乾かすことができれば最高です。そういう意味では、ワイシャツ・Tシャツの下にあえて肌着を着ることが重要です。
肌着の生地が汗を吸収し、雑菌に分解されることを防いでくれると私は数年前まで考えていました。だからこそ、肌着は綿100%という天然繊維にこだわっていました。ですが、この考えを大きく変えてくれた肌着がユニクロのエアリズムです。
私はユニクロのエアリズムを5年以上愛用しています。当初は化学繊維の肌着に抵抗がありましたが、実際、着ていると汗が乾くのです。これは個人的な感覚ですが、多少の汗はさらっと乾くよう速乾機能を考えアップデートされているようです。
雑菌を減らす方法は?
それでも汗はかきますし、脇に汗は染み込みます。そこで、皮膚に常駐する雑菌を減らす自助努力も実践しています。「そこまでやるの?」とよく言われますが、数年前からカミソリで脇毛を定期的に処理しています。
頭皮の臭いが生じる原因に通じますが、毛は周囲の臭いを吸収・凝縮しやすいそうです。「毛を剃ることで、脇の雑菌が減っているか?」は謎ですが、汗を拭き取りやすくなりました。
ですが、ここまで臭い対策をしても、服の生乾き臭があっては残念な印象です。どんなに身体をキレイに洗っても、着ている服からイヤな臭いが出ていれば元も子もありません。
臭わない部屋干し!?
部屋干しの洗濯物が臭くなる理由は、洗濯物に付着した雑菌が原因だと言われています。太陽光による殺菌効果もありません。しかも、部屋干しでは乾くまでに時間がかかるため、水分を含んだまま時間が経過することで雑菌が繁殖しやすいのです。
では、部屋干しの生乾き臭を防ぐためにはどういう対策が効果あるのでしょうか。ポイントは雑菌を洗濯の段階で完全除菌すること。「部屋干し用の洗剤」を使えば簡単に対処できます。部屋干し用とあっても、お日様の下で干しても問題ありません。ただし、部屋干し用の洗剤には漂白材を含んでいることが多いので常用すると服の色落ちが早まるかもしれません。
また、部屋干しをする段階では、洗濯物同士の間隔を空けて干すことが重要です。当たり前ですが、洗濯物同士の距離が近くては乾くまで時間がかかります。干す場所が限られる室内だからこそ、1回に洗濯する分量を減らすことも部屋干し対策のひとつです。
著者プロフィール: 森井良行(もりい・よしゆき)
エレガントカジュアル 代表取締役
20代後半から40代の男性のファッションを「エレガントカジュアル」でワンランクアップさせる「服のコンサルタント」。 街のセレクトショップを歩き、顧客に試着を繰り返してもらいながら、その人に最も似合う服を探していく独自の「買い物同行」は9割以上の高い満足度を誇る。著書『毎朝、迷わない! ユニクロ&ツープライススーツの上手な使い方』 (WAVE出版)