福岡県・大分県を中心に被害をもたらした「平成29年7月九州北部豪雨」から2カ月が経過した。鉄道においてはJR九州の久大本線・日田彦山線などが被災し、現在も一部区間で列車の運転見合わせが続く。久大本線経由の特急「ゆふいんの森」「ゆふ」も従来の列車は運休とされ、区間を変更しての臨時運行が実施されている。

北九州市内を走るキハ70・71形の特急「ゆふいんの森91号」

特急「ゆふいんの森」の臨時運行は鹿児島本線・日豊本線・久大本線経由の博多~由布院間で行われ、1日2往復設定されている。従来の「ゆふいんの森」が通らない北九州市内も走り、特急「ソニック」と同様、小倉駅で進行方向を変えての運転となる。博多発由布院行の下り「ゆふいんの森91・93号」は日中時間帯に北九州市内を通過する。

博多駅8時45分発「ゆふいんの森91号」は、同列車がデビューした1989(平成元)年から使用されるキハ70・71形で運行。国鉄時代に活躍した急行形気動車キハ58形・キハ65形を改造した車両で、デビュー当初は3両編成だったが後に1両増結され、4両編成となった。2003年に内装リニューアルとエンジン更新を行い、2016年には「可変減衰上下動ダンパーによる制振制御システム」を搭載。上下振動が低減され、乗り心地が向上したという。

「ゆふいんの森91号」は小倉駅を10時30分に発車。続く「ゆふいんの森93号」は博多駅を11時0分に発車(土休日は11時8分に発車)し、鹿児島本線を走行して小倉駅を12時17分に発車する。使用車両は1999年デビューのキハ72系で、キハ70・71形のデザインを継承しつつ新製された車両だ。2015年7月には中間車が1両増結され、5両編成となった。

キハ72系の特急「ゆふいんの森93号」が小倉駅へ

キハ72系は2015年7月から中間車が1両増結され、5両編成に

下り「ゆふいんの森91・93号」の博多~由布院間の所要時間は4時間45~50分。上り「ゆふいんの森92号」は5時間以上、「ゆふいんの森94号」も約4時間30分かけて由布院駅から博多駅まで走行する。従来の倍以上という所要時間の長さも影響したのか、8月末には「ゆふいんの森」の乗車率が37%に落ち込んだとの報道もあった。なお、特急「ゆふいんの森」の臨時運行は9月も行われているが、「ゆふいんの森91・92号」は9月19~21日、「ゆふいんの森93・94号」は9月25~29日に運休を予定している。

久大本線は7月の九州北部豪雨で光岡~日田間の花月川橋梁が流失しており、同区間でバス代行輸送を実施中。この影響で、特急「ゆふ」も日田~大分・別府間で臨時運行となり、クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」も大幅なルート変更を余儀なくされた。同区間の復旧時期に関して、JR九州は関係者らの協力も得ながら「平成30(2018)年夏を目途に早期復旧に取り組んでまいります」と発表している。

一方、日田彦山線は添田~夜明間で63カ所の被害が確認されるなど「復旧には相当の期間を要する見込み」とのこと。現在は添田~日田間でバス代行輸送を実施している。