京阪電気鉄道は今年3月、大津線(京津線・石山坂本線)全車両のカラーデザインを順次変更すると発表。その1編成目となる700形707-708編成の塗装変更が完了し、6月から営業運転を開始した。今後も石山坂本線600形(計20両)・700形(計10両)、京津線800系(計32両)において塗装変更を進め、京阪線の一般車両とのイメージ統一を図るとしている。

塗装変更が完了した700形707-708編成

方向幕の横に石山坂本線の路線識別マークがデザインされている

石山坂本線は大津市内の石山寺~坂本間を結び、2両編成の路面電車が各駅に停車。市民の"日常の足"であり、琵琶湖や比叡山延暦寺、近江神宮、石山寺といった沿線の観光アクセスを担う路線でもある。現在、石山坂本線で活躍する車両は600形・700形の2形式。1992(平成4)年から製造された700形は当初、600形の増備車として計画されたが、電車線電圧1,500V昇圧準備車としたため、新形式となった経緯があるという。

近年、人気アニメ・漫画作品のラッピング電車が続々登場したことも話題となった石山坂本線だが、現在は『ちはやふる』のラッピングを施した700形705-706編成「ちはやふる号」など一部を除き、多くの編成が従来の塗装である若草色(ライトグリーン)・青緑色(ダークグリーン)のツートンカラーに。700形701-702編成は往年の車両80型と同様の塗装が施され、2020年3月31日まで運行予定とされている。

往年の車両80型の塗装を施した700形701-702編成。「80型誕生55年」記念ヘッドマークが掲出されている

700形705-706編成はラッピング電車「ちはやふる号」として運行

今年度から始まる塗装変更の1編成目となった700形707-708編成は、車体上部を濃緑色(レストグリーン)、その下の帯線を黄緑色(フレッシュグリーン)、車体下部を白色(アトモスホワイト)の配色とし、京阪線(京阪本線・鴨東線など)で活躍中の5000系や2600系をはじめとする一般車両の現塗装に合わせたカラーリングとなった。

新たに路線識別マークも設定され、行先表示器と並べて表示された。石山坂本線の路線識別マークは琵琶湖のほとりを南北に走る2両編成の車両を抽象化したデザインに。今後は石山坂本線600形・700形に加え、京津線800系も塗装変更が行われる予定で、京津線の路線識別マークは山を越えて東西に走る4両編成の車両を抽象化したデザインとなる。大津線全車両の塗装変更完了は2021年3月を予定しているとのこと。

京津線の車両800系。京都市営地下鉄東西線へ直通運転を行い、京津線の急曲線・急勾配や浜大津駅付近の併用軌道区間にも対応。現在はパステルブルーと灰白色、刈安色(イエロー)を用いたカラーリングだが、今後は塗装変更が進められる

2018年3月には、大津線の4駅で駅名変更も予定されている。京津線・石山坂本線の接続駅である浜大津駅は、びわ湖大津観光の玄関口として一層の観光客誘致をめざすため、「びわ湖浜大津」に駅名変更。その他、大津市役所に隣接する別所駅は「大津市役所前」、JR湖西線大津京駅との連絡駅となっている皇子山駅は「京阪大津京」、比叡山観光の拠点となる坂本駅は「坂本比叡山口」に、それぞれ駅名が変更される。