サーキットやガレージを飛び出し、街の施設やイベントへやって来たマシンに会いに行く、シリーズ「街なかの競技車」。今回は、静岡市・タミヤ本社ビルの前庭で出会えた、パリ・ダカールラリー出場車「チームACP トヨタ ランドクルーザー」のお話です。
パリダカのゴール地点はセネガルの首都だった
FIFAワールドカップ2018ロシア大会で、グループリーグ突破をかけ、日本と戦ったセネガル。そんなセネガルの首都ダカールは、世界一過酷なラリーと言われる「パリ・ダカールラリー」のゴール地点として有名です。かつてはフランス・パリからダカールまでを走る競技でしたが、通過国の政情不安を理由に、現在は南米にて「ダカールラリー」の名で開催されています。
1月に行われたダカールラリー2018では、「トヨタ車体 チームランドクルーザー」の「ランドクルーザー200(VDJ200型)」が市販車無改造・ディーゼル車部門でクラス優勝。チームとして5連覇を達成しました。その約30年前、同様のクラスに日本から参戦していた「ランドクルーザー70(BJ74型)」が、今回ご紹介する「チームACP トヨタ ランドクルーザー」です。
日本人として初めてパリダカに挑んだ「チームACP」
1979年に始まったパリダカですが、1981年には早くもマスコミ関係者による「チームACP」が日本からの参戦を開始。同年にはトヨタ「スターレット」で完走、翌年にはトヨタ「カリーナ」でクラス優勝するなど、2WD車での活躍で話題をさらいました。また、2WD車のサポート役も兼ね、当初からランドクルーザーでもエントリー。チーム最後の挑戦となった1993年まで、ずっとランドクルーザーで戦い続けたのです。
1985年に俳優・夏木陽介が「チーム子連れ狼」から出場すると、パリダカの日本での注目度は一気に上昇。1987年には人気テレビ番組「なるほど! ザ・ワールド」がチームACPに密着したり、別のプライベートチームの応援に歌手・松任谷由実が駆けつけるなどして、幅広いメディアに取り上げられるように。日本からの参戦チームや、スポンサーとなる日本企業も増えていきます。
1989年と1990年には、チームACPを世界的模型メーカーのタミヤがスポンサードしました。そんなご縁で、タミヤ本社ビルに展示されたわけです。写真は1989年仕様車ですが、1990年仕様車はおなじみタミヤの人気ホビー「ミニ四駆」化もされています。
1万kmを超えるコースを走破、クラス2位の大健闘
この「チームACP トヨタ ランドクルーザー」は、1989年の第11回大会に出場。パリ~チュニス(チュニジアの首都)~ダカールという1万km以上に及ぶルートを20日間かけて走行し、市販車無改造・ディーゼル車部門でクラス2位に輝きました。
競技用のシートベルトや、横転時などに乗員を守るためのロールケージをはじめとした安全装備は追加されていますが、エンジンやトランスミッションなど、主要部品は市販のランドクルーザーと同じ。パリダカでの活躍は、市販車の信頼性の証ともなります。
チームACPがパリダカから離れたあとも、多くのチームに選ばれ、現在も活躍を続ける「トヨタ ランドクルーザー」。「トヨタ車体 チームランドクルーザー」は、ダカールラリー2019に向けて、早くも5月からテスト走行に臨んでいます。市販車部門6連覇に期待です!
【チームACP トヨタ ランドクルーザー(1989年仕様)】
全長×全幅×全高 | 4,265mm×1,690mm×1,905mm |
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ホイールベース | 2,600mm |
エンジン | 13B-T型直列4気筒ディーゼルターボ |
排気量 | 3,431cc |
最高出力 | 120ps / 3,400rpm |
最大トルク | 29.0kgf-m/2,000rpm |
【タミヤ本社について】
静岡市にあるタミヤ本社には、ショールームとともに実車展示コーナーがあり、見学が可能(要予約)。毎年、静岡ホビーショーの一般公開日に合わせてオープンハウス(予約不要の一般見学会)も開催され、今年は前庭にてこの「ランドクルーザー」に出迎えられました。