小学校でプログラミング教育が始まっていると聞くと、プログラミングなんて子ども達に難しくないの? と不安になる方もいるかもしれません。一般的なプログラミング言語は英数字や記号の文字をタイプして記述していくので、確かに小さな子ども達がいきなり挑戦するのは難しいものです。ですが、子ども向けには簡単な操作で直感的にプログラミングができるように工夫されたツールが用意されています。どんな工夫がされているのか、タイプ別にご紹介しましょう。
一番簡単!文字が読めなくてもできるアイコンを並べるだけのツール
最も簡単に始められるのが、アイコンのついたブロックを並べるプログラミングツールです。文字が読めなくても直感的に操作できて未就学児でも挑戦できるものもあります。プログラミングに大切な考え方の一部を感覚的に体験できる入門的なものです。
コードモンキーJr.
コードモンキーJr.は、サルのキャラクターをプログラミングで動かすゲーム感覚のアプリです。バナナをとって宝箱まで行けるように、矢印アイコンを並べてプログラムします。手順を考え命令を順に並べる練習になります。
キュベット
キュベットは、タブレットもパソコンも使わない知育玩具のようなツールです。コントロールボードに矢印型のパーツを並べて動きをプログラムし、キューブ型のロボットを動かします。ひとつの矢印でマップ1マス分進むので、無事ゴールに到着できるプログラムを考えて実際に走らせて遊びます。
文字で命令が書かれたブロックを並べるタイプのツール
小学校やプログラミング教室などで使われることが多いのが、文字で命令が書かれたブロックを画面上で組み合わせるタイプです。多様なプログラムブロックが用意されていて、シンプルなプログラムから複雑なプログラムまで作成することができます。文字で記述する一般的なプログラミング言語と同じ様な考え方でプログラムを作成するように設計されています。
Scratch(スクラッチ)
Scratchは、画面内のキャラクターを動かしたり、クリックに反応させたり様々なプログラムをして、アニメーション、クイズ、ゲームなどの作品を作ることができるツールです。子ども向けのプログラミング環境としての歴史が長く、プログラミング教室や学校でもよく利用されています。無料でウェブブラウザから利用できます。
micro:bit(マイクロビット)
micro:bitは手のひらに乗る小さなコンピューターで、プログラミングで様々な機能を持たせることができます。例えば、動きに反応して音や光が出るプログラムを作って手につけて遊んだり、工作に組み込んだりして楽しく使えます。
micro:bitのプログラミングはブロックのスタイルだけでなく、文字で記述するプログラミング言語と切り替えることもできます。次の図の通り並べてみると、文字で記述するのとブロックを並べるのが同じような構造になっているということが少しイメージできるのではないでしょうか?
フローチャートを組み合わせる方法も!
他に、フローチャートのように命令を線でつないでプログラムをしていくスタイルもあります。処理の流れが感覚的にわかりやすいのが特徴です。
embot(エムボット)
embotはダンボール製のプログラミング学習用ロボットで、シンプルな構造なので改造も気軽に楽しめます。プログラミング画面では、フローチャートで大きいプログラムの流れを作ってから、ブロックをつないで細かい手順をプログラムします。
いろいろな方法でプログラミング手段をビジュアル化
以上のように、子ども向けのツールでは、文字を記述する代わりに、画面上でパーツを組み合わせてプログラムを作成できるようにさまざまな工夫がされています。
アイコンやブロックの形にビジュアル化されているので、これらのスタイルをまとめて「ビジュアルプログラミング」と呼びます。それぞれスタイルは違いますが、文字で記述するプログラムの発想と大きくずれることなく直観的に操作できるように作られているのです。
子ども向けのプログラミング教育の世界では、たいてい初めはビジュアルプログラミングのツールを使うので、子どもには難しすぎるのでは? と心配することはありません。中学校くらいまでは学校でもビジュアルプログラミングのツールを使う割合がとても多く、高校で初めて文字で記述するプログラミング言語に触れるというお子さんも多いでしょう。一方、プログラミング教室では小学校高学年くらいから文字で記述するプログラミング言語を学び始める子ども達もいます。
まずは、プログラミングでいろいろな仕組みを自分が生み出せるという楽しさや手応えを経験することが大切。ビジュアルプログラミングを入り口にどんどん挑戦し、もっと作りたいものがはっきりしてきたら、ここからステップアップして一般的な文字で記述するプログラミング言語の学習に進むと良いでしょう。