ここ数回、さまざまな特徴のある子ども向けのプログラミングツールを分類して紹介してきました。ツール紹介(1)ではステージクリア型のアプリ、(2)ではクリエイティブ型のアプリ、(3)ではロボットキットを紹介しましたが、今回の(4)で紹介するのはマイコンボード。小さなコンピューターで、いろいろなものを発明できるワクワク度が高いツールです。
マイコンボードは小さなコンピューター
マイコンボードの見た目は、いかにも材料!という感じの小さな基板です。多くの家電には、マイコンが組み込まれていて、あらかじめ作られたプログラムによって、さまざまな部品の動きを制御しています。壊れた家電を分解してみると、たいてい小さな緑色の基板が中に入っているのですが、それがマイコンです。
プログラミング教育用のマイコンボードは、作りたい仕組みに応じて必要な部品をつなぎ、機能をプログラムして、工作などに組み込んで、オリジナルの道具や装置を作って楽しみます。
大人が本格的な電子工作に使うマイコンボードもありますが、それらは、部品を接続したりプログラミングしたりするために必要な専門知識が多く、初心者にはちょっと手を出しにくいところがあります。
その点、プログラミング教育用のマイコンボードは扱いやすい工夫があり、プログラミングもビジュアルプログラミング方式で初めてでも簡単にプログラムを作ることができます。
プログラミング教育用のmicro:bit
例えば、プログラミング教育向けのマイコンボードで有名なmicro:bitは、こんな見た目です。
パソコンにつないでウェブブラウザから手軽にプログラムができます。プログラムする画面はビジュアルプログラミング型で初心者向けです。
自由な発想で発明しよう!
micro:bitの場合、LEDやスイッチ、スピーカー、温度・明るさ・傾きと加速度の値を測るセンサーなどが組み込まれていて、micro:bit単体でもいろいろなしかけを作ることができます。さらに拡張パーツとしてサーボモーターを追加すれば、動く仕組みを作ることもできますし、他のセンサーなども追加できます。
micro:bitでは例えばこんなものが作れます。
上記の例のようにマイコンボード部分を見せるのではなく、演出を考えて工作部分を工夫すると、こんなに素敵で楽しい作品も作ることができます。
いずれもプログラムはそれほど難しくなく、初心者がチャレンジできるレベルのものばかりです。micro:bitの作例はこちらのページでたくさん紹介しているのでチェックしてみてください。
ものづくりの発想が刺激される!
同じくプログラミング教育用のマイコンボードSPACEBLOCKは、使いたいセンサーやサーボモーター、LEDパネルなどを適宜選んでマイコンボードに直接つなぎ、機能をプログラムしていろいろな装置を作ることができます。プログラミングはパソコンのウェブブラウザから行えて、初心者向けのビジュアルプログラミング型です。
SPACEBLOCKでは、例えばこんな装置が作れます。どこか発明品を作る感覚です。
これらの例も、プログラムは初心者が取り組めるものばかりです。発想と工夫とプログラム次第でいろいろなものが作れます。SPACEBLOCKの作例はこちらで紹介しているのでチェックしてみてください。
マイコンボードは材料っぽいのがいいところ!
実は、前回のツール紹介(3)で紹介したロボットキットも、箱型の頭脳部分にはこうしたマイコンが入っていて、モーターやセンサー類はコードを挿すように扱えて接続しやすくできています。一方、マイコンボードは、包み隠さずマイコンそのものですから、まさに材料感満点!! その分手の届きやすい価格で、使いたいセンサーやモーターなどを随時買い足していく面白さもあります。
装置もプログラムも作りますから、仕組みそのものを作っている感覚が強く持て、発明家気分間違いなしです。工作好きのお子さんは、ロボットキットよりもこうした材料テイストの強いマイコンボードを好きになる可能性が高いと思います。工作の材料のひとつという感覚で、センサーやモーターの働きや、プログラミングに興味を持てるでしょう。
見た目がフレンドリーではないので、いっけんハードルが高そうに見えるかもしれませんが、見本のプログラムを真似したりアレンジしたりすることから始めれば大丈夫。実際に手で触って目の前で動作するものを作るので、プログラミングの結果を実感しやすいというのもメリットです。ものづくりの楽しさやうれしさとともに、プログラミングを楽しんでください。