ここ数回、さまざまな特徴のある子ども向けのプログラミングツールを分類して紹介してきました。ツール紹介(1)ではステージクリア型のアプリツール紹介(2)ではクリエイティブ型のアプリで、どちらも画面上で取り組むものでした。今回の(3)では、ロボットを自分で組み立てて、機能をプログラムできるツールをご紹介しましょう。

ロボットを組み立てるところから

プログラミング教育用のロボット教材は、形や動く仕組みを自由に考えてロボット組み立てるところから始めます。パーツが充実していて組み合わせ次第でいろいろなロボットを作ることができます。組み立てただけでは動きませんから、機能はパソコンやタブレットの専用アプリからプログラミング。ロボット本体もプログラムも何度でも作り替えられる自由度の高いツールです。

どのツールにも小さなコンピューターが入った箱型の頭脳部分があり、そこにモーターやライトやセンサーなどのパーツをつなぎます。それぞれのパーツをどう働かせるのかをプログラムしてロボットの機能を作るのです。プログラミングをするためのアプリは、ビジュアルプログラミングのスタイルで簡単な操作で使えるようになっています。

カラフルなブロックでいろいろなロボットに組み替えられる

例えば「KOOV」は、透明感のある独特の形状のブロックとすっきりしたデザインが特徴のプログラミング学習用ロボットキット。あらかじめ決めた動きをさせるだけでなく、手を近づけたら動くとか、ボタンを押したら何かが起きるなどの仕組みをもつロボットを作ることできます。独自のプログラミングアプリには、ロボットの作例や楽しく学べるコンテンツなどの工夫がさまざまに用意されています。

歴史が長いレゴエデュケーションのロボットキット

プログラミング学習用ロボットキットとして歴史が長いレゴエデュケーションの「レゴ エデュケーション SPIKE プライム」は、高度なセンサーパーツが豊富で、作る仕組みの幅がとても広いのが特徴。距離、明るさや色、傾き、圧力などさまざまな条件に応じて反応する仕組みをもつロボットを作ることができます。独特のポップな色づかいで、パーツのひとつひとつまでていねいにデザインされています。ブロック部分の種類も豊富で、モーターと連動させて動く仕組みを作るのに便利です。

レゴエデュケーションは、「教育版レゴマインドストームEV3」が有名ですが、2021年7月に販売終了しているので、新たに購入する場合は、2020年1月に販売がスタートしたSPIKEプライムを選ぶことをお勧めします。

手が届きやすい価格でクラフト感満点

これらのロボット教材は、同様の製品を含め製品やセット内容によりますが、2万円台から5万円以上に至るまでなかなかの高価格帯です。そんな中、ロボット教材としては1万円以下で手が届きやすいものも。「embot」は6600円と安価で、とてもシンプルな構成で仕組みを理解しやすく、ボディ部分は段ボールでクラフト感にあふれ、気軽に工作感覚で改造することができます。

ブロックや豊富なパーツ類を組み替えるロボットキットとはちょっと違い、限られたパーツをどう工夫したら面白いものに変身させられるかを考えたり、プログラムの工夫でいろいろな機能に変えたりして楽しめます。

ハードもソフトも学べる

これらの組み立てロボット教材は、ロボットそのものの仕組みを意識しながら手を動かして作るというハード部分、プログラミングで機能を作るというソフト部分の両方を体感できることが一番のメリットです。

まずは作例を真似して作ることから始め、見た目やプログラムを少しアレンジしているうちに、自由な発想でオリジナルのロボットを作りたくなるはずです。ブロック遊びが好きなお子さんや乗り物の動く仕組みや機械の仕組みに興味があるお子さんは、ロボット教材に興味を示す可能性がとても高いと思います。

プログラミング教室には、こうしたロボット教材を使ってプログラミングを学ぶ教室も多いので、気になるツールがあったら体験で触れるところを見つけてお子さんの反応を見てみるのも良いでしょう。また、少しずつ対面の体験会やワークショップなども復活してきていますから、夏休みにプログラミング体験などのイベントでロボット教材を体験できる機会を見つけるのもいいですね。

なお、ロボットキットを購入しても、プログラミングを行うパソコンやタブレットなどのデバイスはついてきません。ロボットキットによってプログラミングに使用できるデバイスやプログラミング用アプリが違いますので、お持ちのデバイスでプログラミングできるのかどうかを、購入前に必ず確認するようにしてください。

また、プログラミングができるロボットの中には、完成形のロボットを購入して、そのロボットの機能をプログラムするというタイプのものもあります。この完成形タイプは、今回紹介したロボットキットとは違い、自分で組み立てたり作り変えたりする工程は経験できません。ツールを選ぶときは、ロボットキットなのか完成形のロボットなのかを意識してチェックしましょう。