• パナソニックが2025年2月に発売する、幅45cm/100Vでフロントオープンタイプのビルトイン食洗機「NP-45EF1W」

新しいキッチンを導入しよう――。そう思ったとき、気になる設備としてビルトイン食洗機が思い浮かばないだろうか。パナソニック くらしアプライアンス社によると、国内における食洗機の普及率は約3割。緩やかではあるが右肩上がりが続いている。同社は2030年に普及率50%を目標に掲げており、食洗機を使う人は今後も増えそうだ。

ビルトイン食洗機の導入は戸建て住宅も分譲マンションも新築需要が多いものの、リフォーム/リノベーション時の導入は約4割。これらのタイミングは実際の生活習慣や家族構成が明確になっているため、よりライフスタイル/ライフステージにあった食洗機を選びやすいだろう。

  • 食洗機の需要は高まっている

  • パナソニックは一人暮らしタイプからファミリータイプまで、さまざまな食洗機を用意している。上段は卓上タイプ、下段はビルトインタイプ

フルオープンタイプの人気、じわり広がる

ビルトイン食洗機の中でも、注目度が高まっているのはフロントオープンタイプだ。ビルトイン食洗機には、引き出しのように開閉するプルオープンタイプと、扉全体を手前に倒すように開くフロントオープンタイプがある。

  • 左の2つは引き出し式のプルオープンタイプ、右側がフロントオープンタイプ

プルオープンタイプの場合、引き出し内に収納するように食器をセットでき、それほどかがまなくてもよいので、腰に負担がかかりにくい。またキッチンの通路幅が狭い場合でも、引き出した分だけ入れられるというメリットがある。

一方のフロントオープンタイプは扉全体が開くため、大きな鍋や食器類も入れやすい。一般的にプルオープンタイプよりも庫内が広く、食器をたくさん収納してまとめて洗えるという魅力がある。

  • 一度に洗える食器点数を比較。同じ幅の食洗機でも、フロントオープンタイプのほうがたっぷり入る

  • フロントオープンタイプは、扉を全開するためのスペースが必要

フロントオープンタイプの食洗機は海外メーカー製品に多いのだが、パナソニックも2023年12月に幅60cmのフロントオープンタイプを発売。計画比の4倍以上売れているとのこと。

「大容量とデザイン性が選ばれている理由」と、パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部の宇佐さんは説明する。幅60cmのフロントオープンタイプは約12人分の食器を収納可能。まとめ洗いをしたい人に支持されているという。

一方、ビルトイン食洗機の出荷台数比率を見ると、幅45cmの製品が96.7%と圧倒的。日本の住宅事情もあって、幅60cmの食洗機を導入する例はそれほど多くない。

  • 左が幅45cm、右が幅60cmのフロントオープン食洗機

そうした背景から、パナソニックは幅45cm/100Vでフロントオープンタイプのビルトイン食洗機「NP-45EF1W」を2025年2月に発売する。メーカー希望小売価格は36万3,000円(税込・工事費別)、約9人分の食器を収納できるサイズだ。

システムキッチンとの同時導入が前提となり、単独での購入・導入工事には対応しないが、今後は市場のニーズしだいで単独導入や既存製品との入れ替え導入に対応することも検討していくという。

  • 「NP-45EF1W」の庫内最上段はカトラリー類やフライ返しなどをセットできる

  • 茶碗や丼なども収納しやすい中段。日本の食卓にのぼる食器の形状を考え、セットしやすいようにカゴを設計したそうだ

  • 下段には大きな鍋やフライパンなども入る

まとめて洗って節水、家事時間も短縮

今回、NP-45EF1Wのメディア向け体験会に出席。会場ではNP-45EF1Wの洗浄実演が行われ、ハンバーグを調理したあとの油がしっかり残ったフライパン、カレーやとんかつソースを付けた食器などを洗浄・乾燥。洗浄後は、油汚れがしっかり落ちていただけでなく、茶碗の糸底に水がたまらず乾いていた。

  • 洗浄テストに使った食器やフライパン

  • 洗浄後のフライパン。水滴の跡が残ったが、油汚れは落ちていた。コーティング加工されているフライパンは水滴の跡が残りやすいそうだが、衛生面や使用上の問題はない

  • 皿類もキレイに

  • 茶碗のごはん粒もきれいに落ちている

  • 高圧の水流と高い水温で汚れを落とす

  • 1回分の使用水量は手洗いの約7分の1。食洗機でまとめ洗いすると、かなりの節水につながるのだ

洗浄後はヒーター乾燥を行う。水気を含んだ庫内の空気は、本体のケコミ(足元)部分から低温(35℃)で排気。食洗機のドアを開けずに乾燥できるので、ホコリや虫などが入り込む心配がない。

乾燥後は、自動で庫内にナノイーXを放出する。ナノイーXとは、パナソニックが開発した独自のイオン物質。除菌、除臭、アレル物質の抑制といった効果が見込め、パナソニック製のさまざまな家電製品をはじめとして、各社のクルマ(一部車種)などにも搭載されている。

  • 独自のナノイーXを庫内に放出中する

「まとめ洗いで洗浄する前に、汚れた食器がそのまま入っていたとしてもナノイーXでニオイの抑制や除菌ができます」(宇佐さん)とのこと。

例えば、朝食で使った食器を食洗機に入れ、次は昼食で使った食器、そして夕食で使った食器を入れて、1日の終わりにまとめて洗うといったとき、朝食と昼食で使った食器は割と長く食洗機に入れっぱなしになるが、ナノイーXの効果によって食洗機の庫内にきついニオイが充満したり、雑菌が繁殖したりすることを抑制できる。ただしある程度の臭いは残り、無臭にはならない。

  • 中の風路を通って足元から約35℃の風で排気する

  • フィルター部分には「自動洗浄システム」を備え、フィルターのお手入れ頻度を減らした。週1回程度でよいという

直感的に食器をセットできて、家族で家事シェアがしやすい

筆者は、自宅で卓上食洗機を使ったことがある。慣れないと食器のセットが難しいようで、筆者が食器をセットしたときはキレイに洗えていても、家族がセットするとうまく洗えないことがあった。今回はフロントオープンタイプの食洗機で実際に食器をセットしてみたが、庫内スペースが広く、食器を置くカゴもピン配置が工夫されていたりといったアシストがあるおかげで、シャワーの当たる角度を考えなくてもセットできると感じた。言い換えると、深く考えずに食器を並べてもキレイに洗い上がる(ぎちぎちに詰め込んだらダメだろうが)。

庫内容量が大きいフロントオープンタイプは、食器や調理器具、鍋などがたくさん入るため、お菓子作りに使う複数の道具や、小鉢をたくさん使い分ける食事も、後片付けを考えずに使えそうだ。調理やテーブルセッティングの楽しみをサポートしてくれるだろう。

使い勝手のよいフロントオープンタイプだが、下段に食器をセットするときはかがんだりしゃがんだりする必要があるため、足腰に負担をかけたくない場合はプルオープンタイプがよさそう。食洗機は本当に便利な家電で、使い慣れると食洗機のない環境には戻りたくなくなる。製品の選択肢も広がってきており、ライフスタイルに合った食洗機は毎日の家事をラクに、快適にしてくれるはずだ。