10~11月の日経平均は38,000円付近と40,000円の間でレンジ相場となりました。しかし米株式市場は上昇しており、また為替市場では円安が進み、日経平均は他市場に比べると出遅れた状態です。日経平均は年末に向けて、出遅れを解消するための上昇を見せるのか注目されます。

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38,000円付近と40,000円の間でレンジが続く日経平均

2024年もいよいよ年末が迫ってきました。2024年の日経平均は、11月後半時点で年足を見ると上下にヒゲのある陽線を形成しています。2023年の長い陽線に比べ上昇は限定的ですが、2024年も日経平均は上昇を果たしています。

日経平均は日銀の利上げ前の7月に42,000円台まで上昇したものの、利上げ後に30,300円台まで急落しました。しかしその後上昇して、10月以降は38,000円付近と40,000円の間でレンジ相場が継続中です。3月から節目価格40,000円が意識された取引が続いており、40,000円を前に10月~11月は約2カ月値動きが停滞しています。

10月以降も上昇が続く米国市場

国内株式市場は米国株式市場と連動することが多いと言えます。レンジ相場となっている日経平均と、米国株の各指数を比較してみましょう。

10月以降のダウ平均は、11月に大きな上昇を見せて高値を更新。S&P500も同様の状態です。ナスダック指数は先の2指数に比べ上昇は緩やかですが、こちらも11月に高値を更新しています。

日経平均の値動きが横ばいで推移する一方、米国株価指数は3指数ともに上昇中です。日経平均は米株式市場に比べ、出遅れていると言えるでしょう。

日経平均が連動しやすいナスダック指数が足踏み

日経平均は、米株価指数の中ではナスダック指数と連動しやすい傾向にあります。ナスダック指数=急上昇、とのイメージもありますが、足元のナスダック指数はダウ平均やS&P500に比べ上昇は緩やかです。米国市場の上昇もNvidiaなど一部銘柄が牽引する状態であり、特にグロース株全体で見ると大きな上昇には至っていません。

米グロース株の伸び悩みがナスダック指数の伸び悩みとなり、日経平均のレンジ相場にも繋がっていると考えることができます。

注目のNvidia第3四半期は市場予想通りの決算に

AIブームによる株価上昇で世界最大の時価総額に至ったNvidiaは、四半期毎の決算が大きな注目を集めるようになりました。注目された11月20日発表(現地時間)の第3四半期(8~11月)決算は、市場予想通りの数字となり、無事に決算を通過しました。

NvidiaがQ3決算を発表した翌日21日そして22日のダウ平均はいずれも上昇しており、20日の上昇と合わせて3連騰で高値更新目前となりました。年内最後のNvidiaの四半期決算は無事に通過しており、年末相場に向けた準備ができた状態と言えるでしょう。

為替市場で10~11月は円安が進む

為替市場では10月から11月にかけて円安が進みました。10月に入った時点で143円台にあったドル円は、その後上昇が続き11月半ばには156円台に到達しました。値幅としては10円以上の円安が進みました。11月後半は若干円高が進んだものの、150円台半ばの水準は維持しています。

円安とともに日経平均は上昇する傾向がありますが、10~11月の日経平均は横ばいであり、日経平均は米株式市場のみならず、円安からも出遅れている状態です。

ドル円は7月の161円台が年初来高値です。9月に一時140円割れまで下落が進みましたが、10~11月に再度高値に向けて大きな上昇を見せたと言えるでしょう。

出遅れ状態の日経平均は年末の上昇相場を見せるのか?

11月のNvidiaのQ3決算発表後も、日経平均は方向感のない取引が続きました。ただし、11月最終週の25日(月)の終値は+496円高の38,780円となり、年末の上昇相場の期待を抱かせる上昇を見せました。

相場はレンジを形成した後に大きな値動きを見せるケースが多い中で、日経平均は特にその傾向が強いと言えます。2024年も5~6月のレンジを経て7月に急騰しました。その観点では、10月からレンジ相場で停滞した日経平均は、年末を前に米国市場の上昇や円安もあり、上昇に向け準備ができた状態です。

2020年以降で見ると12月は、2020年上昇、2021年上昇、2022年下落、2023年横ばいとなっており、目立った傾向は出ていません。その中で2024年の日経平均は、年末相場で米株式市場や円安に追いつく上昇を見せるのか、12月の日経平均の行方が注目されます。