三井不動産レジデンシャルは、都心初となるシニアレジデンス「パークウェルステイト西麻布」(東京都・港区)を10月1日に開業する。

シリーズ最高峰と謳う本物件は、古くからの高級住宅街である西麻布に立地。日本最高クラスのサービスと居住空間を提供する、高齢者の新しいライフステージを快適に過ごすための住まいである。メディア向けの内覧会で、驚きのラグジュアリーな空間と設備を取材してきた。

  • パークウェルステイト西麻布・プライベートガーデンからの外観

パークウェルステイト西麻布は地下1階・地上36階、総居室数が400室の超高層大規模シニアレジデンス。一般的な居室のほかにダイニングフロアや、ジムをはじめとした運動施設が入るウェルネスフロア、介護が必要な入居者専用のフロアなどで構成されている。原則、入居時に自立している60歳以上の利用者が対象となる物件だ。

開業にあたり、三井不動産レジデンシャル シニアレジデンス事業部開発室の主管・米本厚氏は、物件のコンセプトを「正統と先進」と説明。三井不動産がこれまでに積み上げてきたシニアレジデンス事業のノウハウを生かし、ハードとソフトの両面から最高峰のサービスを提供する。

  • シニアレジデンス事業部開発室の主管・米本厚氏

今回取材した居室は、33階に位置するプレミアムフロアの部屋。すべての居室の玄関には、いわゆる有料老人ホームとしては初導入となる、顔認証システムを採用している。そのため鍵を持たずに入室でき、鍵を紛失する心配もない。

  • すべての部屋の玄関には顔認証システムを採用

130平米の空間は2LDKの間取りで、リビングダイニングとベッド付きの洋室が2部屋、手すり付きで立ち座りに便利なトイレや、ゆったりした浴室など、さながらホテルのような内装だ。入居を希望する声には、広い部屋を求めるものも多かったそうで、それを反映した広々とした空間に仕上がっている。

  • プレミアムフロア・リビング

  • プレミアムフロア・リビング

  • プレミアムフロア・洋室

  • プレミアムフロア・洋室

  • プレミアムフロア・トイレ

  • プレミアムフロア・脱衣所

  • プレミアムフロア・浴室

こちらのプレミアムフロアに入居するには、入居時の一時金が75歳の場合で5億4,096万円、82歳の場合で3億6,864万円(いずれも2人での入居、2人合計金額)。月額利用料は、2人合計で共益費(非課税)に基本サービス料(税込み)を合わせて53万6,900円となる試算。

建物の2階と3階に位置する介護居室では、プレミアムフロアの居室と比べて広さは半分以下となるものの、ナースコール付きのベッドに、手すりが完備されたトイレや大画面テレビなど内装・設備は充実したしつらえ。

要介護度が3までの受け入れが可能で、東京海上日動ベターライフサービスによる、24時間常駐の介護・看護サービスが受けられる。さらに施設内には、同社による介護保険事業所も併設。訪問看護から家事代行まで、入居者それぞれのニーズに合ったサービスを叶えてくれる。

  • 介護居室

  • 介護居室・ベッド

  • 介護居室・トイレ

特にラグジュアリーな空間だと筆者が感じたのは、ダイニングフロアやウェルネスフロアをはじめとする共用施設だ。

建物35階と36階には、ダイニングフロアを展開。35階のスカイダイニングは、カジュアルエリアとフォーマルエリアに分かれており、高層から西麻布エリアを見渡すことのできる開放的な空間で食事を楽しめる。

  • スカイダイニング・カジュアルエリア・一部区画

  • スカイダイニング・カジュアルエリア・一部区画

  • スカイダイニング・フォーマルエリア・一部区画

食事は、帝国ホテルの専属シェフによる、味と栄養バランスが考えられたメニューとなっており、予約不要で毎日食べられる。和洋中の3種類から入れ替え制で提供され、夕食は好きなメニューを組み合わせて食べられるプリフィックススタイルだ。

  • 食事メニューの一例

  • 食事メニューの一例

  • 帝国ホテルのフルコースメニュー(要予約)。左が和食、右が洋食

36階には、部屋によってコンセプトの違う3部屋のプライベートダイニングを用意。こちらも要予約で帝国ホテルのフルコースメニューを楽しめる。1部屋にはキッチンがついており、外部からシェフを呼んで食事を作ってもらうことも可能。

  • 36階プライベートダイニング「太陽」

  • 36階プライベートダイニング「星」

  • 36階からの景色

9階には健康促進のためのスパ・フィットネス設備を収容。泳がずに歩くことで水中運動を叶える「ウェルネス・プール」、スタジオや運動器具を備えた「フィットネスジム」、2室のスパ室がある「リラクゼーションラウンジ」、サウナ付きの「大浴場」という4つのエリアで構成されている。

  • ウェルネスプール

  • ウェルネスプール

  • ウェルネスプール

  • フィットネスジム

  • スパ室

  • マッサージチェアも完備

  • 大浴場

ほかにも、1階には六本木で話題の書店「文喫」が監修・入れ替えを行うライブラリーや、季節によって移ろう緑と水のせせらぎに癒されるプライベートガーデン、その内部に位置し、お茶や朝食を楽しめるティーパビリオンなど、多彩な共用施設が備わっていた。

  • ライブラリー

  • プライベートガーデン

  • 1階ロビー

  • ティーパビリオン

  • ティーパビリオン

今回取材した、パークウェルステイト西麻布の平均入居者年齢は78歳前後。2022年の10月から入居募集を開始し、4,000件を超える問い合わせと、居室数の約半数となる180件以上の申し込みがあったと発表された。入居者は都心住まいの人が多く、3割ほどが夫婦での入居となっている。本物件のような高級老人ホームの需要は、団塊の世代が高齢者になることをふまえて、将来的にさらなる開業を見据えているとのこと。

従来の老人ホームとはまるで別世界のような、パークウェルステイト西麻布。コスト面はともかく、各種のサービスが充実したこのような高級シニア住宅は、新たなライフステージへのひとつの選択肢として今後は増えていくかもしれない。

パークウェルステイト西麻布

  • 住所:東京都港区西麻布4丁目17-24
  • 構造・規模:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造・地上36階地下1階建
  • 居室数:400室
  • 住戸面積:一般居室:約39平米~約142平米/介護居室:約22平米~約35平米
  • 介護・看護パートナー:東京海上日動ベターライフサービス株式会社
  • 医療連携:医療法人社団慶永会
  • ダイニング運営:株式会社帝国ホテル