ここ数年の株高などにより、資産が増加したケースも多いためか、旅行に意欲的な富裕層の方は増えているようです。富裕層は旅行でどこへ行き、何を楽しみたいと考えているのでしょうか。今回はマリオット インターナショナルが発表した調査結果をもとに、富裕層の旅行の現状を解説します。
68%の富裕層が旅行の費用を増加させている
米国のマリオット インターナショナルは、2024年7月に「ラグジュアリー・トラベルに対する意識調査」の結果を公表しました。アジア・パシフィック地域の、以下6つの国の富裕層を対象に調査したものです。
- 日本
- オーストラリア
- シンガポール
- 韓国
- インドネシア
- インド
レポートによると、調査対象の富裕層のうち68%が、今後12か月以内にトラベル支出を増加させると回答しました。回答者の74%はアジアパシフィック地域内の旅行を計画しており、旅行の主な目的は88%がグルメです。
アジア大洋兵地域の富裕層は旅行に対して意欲が増しており、同じアジア太平洋地域の外国グルメを楽しみたいと考えていることがわかります。
人気の旅行先ランキング
同レポートによると、富裕層に人気の旅行先のランキングは、1位 アジア太平洋地域(74%)、2位 ヨーロッパ(53%)、3位 北アメリカ(38%)、4位 中東(25%)、5位 南アメリカ(19%)となりました。
自分の住んでいる国と近い、アジア太平洋地域の人気が高いことがわかります。アジアからは比較的距離のあるヨーロッパも人気を集めています。
アジア太平洋地域で人気の旅行先は以下のとおりです。1位はオーストラリア、2位は日本、3位は香港という結果になりました。
1位:オーストラリア
アジア太平洋地域の富裕層が、旅行先としてもっとも選んだのはオーストラリアです。オーストラリアでは2つ以上の都市を移動する方が多く、シドニーやメルボルンだけでなく、キャンベラやブリスベン、パースを旅行先に含めるケースも見られます。
2位:日本
オーストラリアと同様、日本でも2つ以上の都市を行き来する富裕層が多く見られます。主要都市の東京・大阪に加え、長崎や福岡も人気を集めています。
何度か日本に来ている富裕層は、主要な観光スポットを体験したため、違う体験を求めて他の地域に行っている可能性も考えられます。
富裕層の旅行の傾向
ここからは、富裕層がどのように旅行を楽しむのか、同レポートの結果を解説します。
計画性
富裕層が衝動的に旅行に出かけることはほとんどありません。旅行は綿密に計画され、富裕層は平均して3か月前に予約を済ませます。
富裕層の旅行先は、Web検索(40%)と家族・友人のすすめ(34%)の2つで決まります。
滞在期間
短期の場合は3泊、長期の場合は2週間半程度です。オーストラリアでは最長4週間の休暇が認められており、73%が2週間以上の休暇を計画します。
同伴者
富裕層が1人で旅行することは少ない傾向で、友人や家族などを同伴するケースが多いです。主に、以下のようなシチュエーションが代表的です。
- 家族旅行
- 友人グループとの休暇
- 結婚式などお祝いで計画された旅行
ショッピング
ショッピングは富裕層にとって旅行の大きなモチベーションの1つです。アンケート対象者の85%は地元で作られた製品の購入を重視すると回答しました。
さらに、75%は地元で作られたアンティーク製品・ヴィンテージ製品の購入を非常に重視しています。
安全性
91%の回答者が、贅沢な体験をするには安心と安全な環境が重要と回答しました。この数字は優れたサービス(88%)や特別な体験(87%)より高くなっています。
サステナビリティ
アンケート対象者の多くは、ホテルなどの宿泊施設が環境に与える影響を考慮しています。80%の回答者は滞在先の選択で、持続可能性や環境への取り組みを重視すると回答しました。