さまざまなブランド品が値上がりを続ける中、選ばれた人だけが買えるエルメス・バーキンの中古価格も上昇中。アイテムによっては定価の2倍で買い取られることもあるといいます。エルメスが改めて脚光を浴びている背景について、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士である木村健一さんに聞きました。

定価の2倍で買い取られるアイテムも

――エルメスのバーキンの中古相場が上昇しているそうですね。近年の相場の推移を教えてください。

キャッシュレス時代ということもあり、特に25や30の小さめサイズのバーキンの値上がりが顕著です。10年前は定価が約80万円、5年前は約100万円でしたが、現在は定価が150~170万円程度に上がっており、新品の買取価格は定価を上回っています。

バーキンは以前から買取価格が定価を超えるアイテムでしたが、最近は買取価格の上昇が目立っており、アイテムによって定価の120~200%の買取価格が付くようになっています。新品なら、定価180万円のアイテムが200~250万円程度で買い取られるイメージですね。

――買取価格が定価を上回っているのは、バーキンが誰もが買える商品ではないからでしょうか。

その通りです。ブティックに行っても、一見ではバーキンは絶対に手に入りません。お店に足繁く通って、さまざまなエルメスの商品を買い続けて、固定客と認められてはじめて、バーキンが手に入る可能性が出てきます。

バーキンだけが欲しい人にしてみれば、店舗に通い詰めてあれこれ購入するよりも、多少金額が上乗せされていても、二次流通の新品を買ったほうが手っ取り早いですし、総額で見れば安上がりなのです。

基本的にエルメスのバッグはプレミアムが付いている状況で、バーキンに限らず、ケリーやピコタンも非常に人気が高いため、値上がりしています。ただ、定価との差額が圧倒的に大きいのはバーキンとケリーですね。ケリーも人気の素材・カラーであれば新古品の買取価格が定価を上回ることもあります。素材はトゴ、色はベーシックカラーもしくはブルーなどの鮮やかなカラーが人気です。

海外セレブのSNSで若年層にも人気に

――エルメスのバッグの相場が上がっているのはなぜなのでしょうか?

海外セレブをはじめ、有名人がInstagramやYouTubeなどのSNSで紹介している影響が大きいです。芸能人をはじめ、バーキンを10点以上集めているコレクターもいます。

エルメスといえば、以前は年配の方が持つイメージでしたが、近年は海外セレブのInstagramなどでデニムやTシャツにバーキンを組み合わせるコーディネートが紹介されていて「あえてカジュアルな服装でバーキンを持つのが抜け感があってかっこいい」という風潮が生まれています。こうしたファッショントレンドもあり、いまは若い方もバーキンを持つようになりました。

エルメスを持つ男性が増えているというのも相場上昇の一因かもしれません。一昔前はメンズとレディースの区別がはっきりしていましたが、最近は高級ブランドのバッグがジェンダーレスに使われるようになってきています。年代と性別の両方でエルメスを持ちたい人の層が広がった結果、エルメスのバッグに対する需要がさらに高まっているのです。

――バーキンの中でも、特に買取価格が高くなるアイテムはありますか?

サイズは、小さめの25や30が需要が高いことから買取価格が高くなる傾向になります。素材は柔らかく、シボのあるトリヨンクレマンスやトゴが人気です。光沢のあるボックスカーフはフォーマルな印象が強くなってしまいますが、トリヨンクレマンスやトゴはほどよいカジュアル感が出るため、カジュアルな服装にも合わせやすいからです。

製造年が新しいほど評価が高いバーキン

――もしバーキンを持っていたら、いまは売りどきでしょうか?

売りどきだと思います。バーキンはエルメスでの購入実績がある、限られた方しか買えない商品なので、いつ売却してもそれなりの値が付くと考えられますが、最新のものに高い値が付くため、売却するなら早いほうがいいからです。

バーキンはベルトの裏側の刻印で製造年がわかるようになっていて、状態が同じでも、年数が経てば経つほど評価が下がってしまいます。時間が経つと買取価格が下がってしまうため、バーキンを売りたいと考えているなら、早いうちに売却したほうがいいのではないでしょうか。