総選挙の際は株式市場が上昇する、という話を耳にした方も多いのではないでしょうか? 2000年以降8回の衆院選において、解散日に投資して選挙日目前に売却した場合、特に日経平均の売買では利益が出やすいと言えます。今回の衆院選も株式市場は上昇に向かうのでしょうか? その行方が注目されます。
石破内閣発足、そして10月27日に総選挙へ
自民党総裁選への出馬を見送った岸田前総理の後継は、自民党内での選挙の結果、石破茂氏となりました。9人の候補者で争われた選挙戦でしたが、終わってみれば大きな波乱はなく、優位と言われていた石破氏が当選しています。
そして、当初から自民党総裁選後の年内の解散総選挙が見込まれていましたが、石破総理は予想より早い10月末の総選挙を決断。10月9日に衆議院は解散し、10月27日に投開票が行われます。
総選挙が終わるまでは株式市場が上昇する?
政権与党としては、選挙期間中の株式市場の下落は当然好みません。選挙期間中の株式市場は上昇する、という話を耳にした方も多いでしょう。実際はどうなのか、衆院選におけるTOPIXと日経平均で確認してみます。
2000年から8回の衆院選でTOPIX及び日経平均について、解散日の終値で投資して、投票日前の最終営業日で売却した場合の損益を調べてみました。
TOPIXは6勝2敗
2000年から8回行われた衆院選における、TOPIXの勝敗は6勝2敗です。1敗も2014年は▲0.04%であり引き分けと考えることもできるため、アノマリー投資(理論的な根拠はないものの、規則性が認められる値動きを活用する投資方法)としては悪くありません。
日経平均は7勝1敗
2000年から8回行われた衆院選における日経平均の勝敗は、7勝1敗です。TOPIXが負けた2014年も+0.08%で勝ちとなりました。アノマリー投資としては申し分ない成績です。
衆院選アノマリー投資はTOPIXより日経平均に優位性あり
衆議院議員の解散日に投資して投票時前の最終営業日に売却した場合、TOPIXは6勝2敗で日経平均が7勝1敗です。
また最大の負け幅はTOPIX▲2.68%に対し、日経平均▲1.46%であり、日経平均は負けのダメージも少なくなっています。
そして勝ちの最大上昇幅もTOPIX+8.51%に比べ日経平均+9.14%であり、こちらも日経平均が勝っています。
衆院選の期間は株式市場の上昇が見られるというアノマリーは、少なくとも2000年以降は有効に機能していると考えられます。また株式市場全体の指数となるTOPIXよりも、銘柄毎にウェイトが異なる日経平均がより投資パフォーマンスが高い状態です。
日経平均に投資するなら投資信託、ETF、先物、CFD
日経平均という株式は存在しません。日経平均は株価指数であり、株式市場全体の値動きを示す指標です。
ただし日経平均に連動する金融商品は数多くあり、それら商品への投資で、衆院選アノマリーを利用して利益を上げられる可能性があります。具体的な選択肢としては以下となります。
- 日経平均連動型の投資信託
- 日経平均連動型のETF
- 日経平均先物
- 日経平均を対象とするCFD
この中で日経平均連動型のETFは株式市場で売買可能であり、価格にリアルタイム性があり、また各手数料も安く投資できます(条件次第では手数料無料で取引できるネット証券もあります)。
また、日経平均先物やCFDはリアルタイムかつレバレッジを効かせた取引ができますが、レバレッジ型のETFや投資信託もあります。ただしレバレッジ型の商品に投資する際は、リスク管理に充分な注意を払う必要があります。
アノマリー投資には感情を入れないこと、選挙投票日前の最終営業日に決済する
2000年以降の8回の衆院選の検証ですが、衆院選解散後に投資して選挙投票日前の最終営業日に売却する、という売買は勝率が高く、また負けにくいと分かります。
ただし注意したいのは、無敗の投資はありえない、ということです。勝率の高い衆院選アノマリー投資でも2003年の負けが発生しています。アノマリー投資はゴールが決まっていることが多く、衆院選アノマリーも"投票日前の最終営業日"というゴールがあります。
ゴール日には損益に関係なく決済することが重要です。特に負けている時にポジションを持ち越すと、選挙翌日に選挙結果を織り込む株式市場の大きな値動きが生じ、大敗に繋がるリスクがあります。勝率の高い取引でのマイナス決済は、メンタル的に大きなストレスです。しかし、機械的な決済が投資資金を守ることに繋がります。
アノマリー投資はシステムトレードに近いため、エントリーと決済はルール通りに行うことが重要です。勝率の高い衆院選アノマリー投資ですが、負けるリスクを理解した上で、チャレンジする際は投票日前の最終営業日の決済を厳守しましょう。