20代という若さで株式会社FinTの代表をつとめ、大手を含む300社以上のSNS起点マーケティングを手掛ける大槻祐依 氏。2023年5月にはベトナムに海外拠点を設けてグローバル進出も果たすなど、いま最も勢いのある若手経営者の一人だ。
そんな彼女、ASEAN出張のため多いときには月の3分の1を海外で過ごしているという。そこでこの記事では、大槻氏の旅のお供となるスーツケースの中身を公開。海外での活躍を支えるアイテムから見えてくるものとは……?
株式会社FinT 代表 大槻祐依
1995年生まれ。早稲田大学在学中の2017年3月に起業。「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」というパーパスのもと、Sucle(シュクレ)というブランドで若年層女性向けSNSメディア(総合フォロワーは100万人を突破)の運営や、SNSマーケティング事業を展開。主要事業であるSNSマーケティング事業にて、大手企業を中心に累計300社以上の企画、撮影から運用までサポート。2023年5月にベトナムへ進出。2024年にはForbes Asia 30U30に選出される。
■大槻祐依 氏のスーツケースの中身
(1)健康食品
アイテムの中で最も多くの量を占めていたのが、サプリメントや健康食品、そして栄養食だ。栄養面の偏りがないよう、毎回の渡航で持参しているとのこと。取引先企業の商品やSNSで話題になったものを試すことが多いのだとか。
「青汁やプロテインなど、野菜不足やたんぱく質不足をカバーするために、自分で選んだものを1週間分くらい持っていきます。現地の食事だけで取りたい栄養が取れているか不安なときに食べています。」
現地ではぎっしり業務が詰まっているため、健康管理にはかなり気を使っているそうだ。
(2)こだわりの「パスポートケース」と「名刺入れ」
大槻氏が特にこだわっていると語るのが、パスポートケース。実は株式会社FinTオリジナルで製作したもので、2024年の新卒入社社員全員に配っている。社員がデザインし、表面には会社の行動指針である『THINK BIG,GO GLOBAL』の文字が刻まれている。
「私自身、シンガポール留学がきっかけで、日本をもっと良くしたいと感じ、いまの事業をスタートしています。日本の若者のパスポート取得率の低さに課題を感じていて、新入社員には世界に目を向けてほしいという思いから、このパスポートケースを配布しています。パスポートの申請費用も会社で負担しています。」
また、こちらの名刺入れは数年前の誕生日に、会社のメンバーからプレゼントされたもの。いずれも、社員に対する愛情が伝わってくるアイテムだ。
(3)お気に入りの「ローカルグッズ」も
大槻氏は、訪れた国で生産されたグッズやローカルな商品を出張先でも愛用している。
「出張や旅行時には、こだわりとして現地発のブランドのものを、自分のお土産として買うことが多いです。」
「最近ではバルセロナに行った際に、ネックレスを買いました。海外出張で必ず持っていく衣類収納ケースも、10年位前にベトナムで買った手縫いの袋で、ずっと使っています。」
海外の製品だけでなく、ジャパンブランドの製品もよく選ぶと語った大槻氏。数々の海外出張で活躍してきたスーツケースは、ジャパンブランド『エース』の製品。
さらに、大槻氏がここ5年、常に持ち歩くというメモ帳にも"メイドインジャパン"へのリスペクトが感じられる。
使用しているのは清澄白河にある文房具店「カキモリ」のオーダーノート。旅行や出張の際に感じたことや考えたことを、お気に入りの表紙の一冊に書き出していく。年始にはカキモリの店舗にノートを持参し、前年分のメモを抜いて留めてもらい、また新しい用紙を表紙に挟んで使うのだそうだ。
「お金を使う上で、現地生産の商品を選ぶことや、リスペクトを持ちながら消費できることを重視しています。ジャパニーズブランドや地産地消の考え方を大事にすることが、私の買い物のコンセプトになっていますね。」
(4)ホテルや機内でのリラックスアイテム
日々忙しい大槻氏にとって、休息時間の充実も大事にしていることの一つだ。東南アジア以外にも、欧米地域への出張の際は、長時間の飛行機滞在になることも多い。機内では着圧タイツで足のむくみを取るほか、ふくらはぎに貼るマッサージシートで酷使した足をリラックスさせるのも欠かせない。
さらに機内でも効率的に休息をとるために、ホットアイマスクで睡眠の質も確保。現地のホテルでは、早朝にカーテンから差し込む日光で睡眠が妨げられるのを防ぐために、別途でアイマスクを必ず持っていくとのことだ。
海外出張時では、日本では普段使わないアイテムも仕事の気持ちを切り替えるために持参する。今回紹介してくれたのは、ハンドリフレッシャー。湿度の高い東南アジアに合わせたさらっとした使い心地で、フレグランス効果が気分転換にぴったりだそうだ。
■「日本を世界で勝たせたい」今後の展望は?
2017年、FinTを起業した大槻氏。Z世代を中心とした若いチームで、アサヒビールやMizkan、三井住友カードなど大手企業含め300社以上にSNS起点マーケティングの支援を行ってきた。国内で十分な事業の成功を収めた大槻氏だが、なぜいま、グローバル展開に力を入れているのだろうか。
「2022年の夏、海外旅行でベトナムを訪れた際、日本のグローバルプレゼンスの低下を肌で感じました。7年前、学生旅行で訪れたときには安かった物価が、いまでは東京と変わらない価格になっていました。バイクタクシーのメーカーの多くもHONDAからHYUNDAIに代わり、コンビニやスーパーで並ぶ輸入商品の中から日本の商品を見つけることもできませんでした。」
「ASEAN地域はビジネスの可能性に満ち溢れています。しかし、親日の雰囲気や日本のプレゼンスが薄れていくなか、日本からのASEAN進出はいまが最後のチャンスとも感じています。日本企業の進出を支援したいですし、日本の素晴らしい商品をもっと世界に広めたい。『日本を世界で勝たせたい』と思っているんです。」
現在は、日本企業の進出支援に加え、現地企業のSNSマーケティング支援などにチャレンジしているという。
「日本の企業だけでなく、東南アジアローカル企業の支援を行うことで、グローバルで活躍できる企業の代表となれるよう、これからもまい進していきたい。」と語る大槻氏。今後の活躍に目が離せない。