トランプ前大統領の勝利とともにトランプラリーがスタートし、すぐ後に行われたFOMCでは利下げが決定されました。11月の金融市場は一気に2つの大きなイベントを通過しています。

トランプラリーとして株高・ドル高でスタートしたトランプ相場は、共和党が上下両院を制す可能性もあいまって、今後少なくとも2年は続く可能性があります。トランプ大統領の発言や政策に左右される、トランプ相場の行方が注目されます。

  • ※画像はイメージ

株高・ドル高のトランプラリーが始まる

史上まれに見る激戦、と言われていた共和党・トランプ前大統領と民主党・ハリス副大統領で争われた2024年11月の米大統領選挙ですが、結果はトランプ前大統領が勝利しました。選挙結果を左右する激戦州は全てトランプ前大統領が制しており、トランプ前大統領の圧勝となりました。

選挙戦の最中から、トランプ前大統領が当選すれば株高・ドル高のトランプラリーが始まる、と言われていました。実際に大統領選の開票が進んだ6日は、トランプ前大統領の優勢が報じられるとともに株高・ドル高が進むことに。現地では真夜中の日本時間に開票が進んだこともあり、トランプ優勢が報じられると日経平均は上昇が加速して、最終的に1,000円以上の上昇を見せています。

またドルも上昇し、ドル高に背中を押されて6日のドル円は151円台半ばから154円台半ばまで、約3円の円安が進みました。

なお、トランプラリーはリスクオン相場であり、リスクオンの際は売られる傾向にある金価格が急落しています。

7日にFOMCで0.25%の利下げが決定

5日の米大統領選挙、そして6日の開票によりトランプ前大統領の勝利が確実となった翌日の7日(日本時間8日早朝)、FOMCが開催され0.25%の利下げを決定しています。FOMCは事前に公表されていたスケジュール通りに行われ、市場の予想通りに9月に続き利下げを行いました(10月はFOMC未開催)。

金融市場では利下げ発表前から利下げを織り込む動きが見られ、ドルが売られる形に。トランプラリーで154円台半ばまで上昇したドル円は、一転して下落が進むことに。下落はFOMC後も続き、最終的に152円台前半まで下落しました。トランプラリーによる上昇幅を、約7割戻しました。

FOMCの利下げは株式市場にあまり影響しませんでしたが、11月前半は米大統領選挙→FOMCでの利下げ決定という大きなイベントが続き、金融市場全体に大きな値動きがありました。

米大統領選終了、今後のテーマはインフレか?

トランプ前大統領の当選、そしてFOMCの利下げという11月上旬の大きなイベントを終え、今後トランプ政権の始動が本格化します(大統領就任は2025年1月20日)。

トランプ前大統領は経済優先政策と移民対策を訴えて当選しており、今後様々な経済対策が行われると予想されます。ただし一旦収束したかに見える米国のインフレですが、利下げに合わせて大型の経済対策を行えば、インフレが再燃する可能性が否定できません。

また経済対策を行うには財源が必要であり、トランプ前大統領はその一部を関税引き上で充当しようとしています。しかし経済対策の原資は国債発行が中心とならざるを得ません。ただし米国政府の債務残高は膨らむ一方であり、7日のFOMC後にパウエルFRB議長は、財政赤字は持続不可能な水準、とまで言っています。

トランプラリーでは米長期金利も大きく上昇しました。米長期金利の動きは、今後のトランプ新政権下での債務増大に対する懸念、そしてインフレを織り込む動きとも考えられます。

少なくとも2年はトランプ相場が続く可能性が高い

今回、大統領とともに上下両院の選挙も行われており、上院と下院そして大統領いずれも共和党が制する可能性が高まっています。上下両院を共和党が制すれば、トランプ大統領の政策がストレートに法案として成立することになります。

議会選は2年に1度行われるため、少なくとも2年はアメリカではトランプ大統領中心の政治及び経済運営が行われます。ただし、上下両院を1つの政党で多数派を占めた際は、2年後に片方の議会で与党が負けるケースが多いです。それでもこの先2年は、トランプ大統領に金融市場は振り回される可能性が高いと言えるでしょう。

米国の大統領は任期4年で2期までであり、今回再任となるトランプ大統領は4年で退任です。前回のトランプ政権時はTPP脱退から議会襲撃事件まで、最初から最後までトランプ劇場が続きました。

株高・ドル高でスタートしたトランプ相場は今後どのような形で進んでいくのでしょうか。米国のインフレの行方とともに注目されます。