パナソニック ホームズは、戸建て住宅における「暮らしやすい間取り」の調査をまとめ、時代ごとのライフスタイルの変化に柔軟に対応する「暮らしやすい間取り提案」をスタートした。

歩き回りやすさと分散収納の数が住みやすさにつながる

パナソニック ホームズの調査は10年前(2014年)と現在(2024年)におけるオーナー邸宅の間取り図面400件を比較。さらにGoogle Cloudを使用して約4,000件のオーナー邸宅の「間取り」と「収納の満足度」についても調査し、回遊動線と収納におけるニーズを分析している。回遊動線とは、家の中に行き止まりがなく、ぐるりと回って元の場所に戻れる通り道のことだ。

分析を見ると、2014年には回遊動線に含まれる空間は2個所が30.7%でもっとも多かった。ここで言う空間の数とは、部屋や廊下、玄関、収納などの区分できる屋内スペースの数だ。

2024年にはこの空間は3個所が24.5%、4個所が23.1%、5箇所が19.0%、6箇所が13.6%で、2個所は10.2%に過ぎなくなっていた。2014年には6箇所ある邸宅は1.5%に過ぎず、家の中全体をスムーズに移動できる間取りが求められていることが分かる。

  • 左が2014年、右が2024年の間取りの例。2024年の間取りでは、歩けるスペースに行き止まりがなく、家全体の複数の空間を回遊できる

リビング・ダイニングまわりの収納個所数と満足度の関係の調査も興味深い。比較は2018年から2023年までのもので、5年間の推移となっている。ここから、リビング・ダイニングまわりの収納は1カ所に集中するのではなく、分散して配置するほうが満足度が高い傾向にあることが見て取れる。先程の回遊動線に含まれる空間の増加傾向と相関関係にあることは容易に想像できるはずだ。

  • リビング・ダイニング回りの収納個所数は満足度とリンクする

2022年に「LDKや個室などを狭くしても広くしたい収納」を調査した結果では、シューズインクローク・玄関収納が19.7%と最も高く、リビング収納(12.4%)やダイニング収納(8.2%)も上位に入った。

  • 「玄関周りの収納をもっと広くしたい」と感じている人は実は結構多いのだ

パナソニック ホームズの担当者は市場全体を俯瞰して「資材の高騰が続いていて、建物の床面積を小さくコンパクトに抑えようという動きが見られる」とし、「世帯構成がかつての四人家族が当たり前のモデルから、一人、二人、三人の構成が増えてきており、個室の作り方なども変化してきている」と指摘する。

たとえば、キッチン周辺の回遊動線は高い増加傾向にある。これは、家族みんなで料理や配膳を行う世帯が増え、キッチンで作業や片付けがしやすい間取りが求められるようになったためだ。

パナソニック ホームズでは調査から見えてきた暮らしやすい間取りの条件を「収納のしやすさ」「家事のしやすさ」「間取りの可変性の高さ」の三大要素で捉え、これらに対応する戸建てを提案することで顧客満足度向上を目指していくという。

今後は廊下を作らず、部屋を通り抜けて家の中を一回りできるようなコンパクトでも住みやすい住居が増えていくのかもしれない。