2024年3月19日、日銀はついにマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切りました。これを受けて、住宅ローンの変動金利がいつ、どこまで上がるのか、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
7月30・31日に開かれる金融政策決定会合では、日銀が追加利上げに踏み込むかが焦点となっています。住宅ローン比較診断サービス『モゲチェック』を運営する株式会社MFSの塩澤崇氏は、「遅くとも10月までに政策金利の追加利上げがある」としつつも、依然として「変動金利が有利」との立場を崩していません。その理由をインタビューでうかがいました。前編に引き続き、今回は後編をお伝えします。
金利が上がっても住宅ローンは「変動金利」が有利
――日銀による次回の利上げは最短7月、遅くとも10月には行われるであろう、とのこと。今後も金利が上昇する可能性が高いことを踏まえると、住宅ローンは変動金利・固定金利どちらを選ぶべきでしょうか?
今後金利が上がっても、やはり変動金利が有利だと考えます。35年ローンを組んだ場合、最初の10年間で支払う金利が金利総額の半分を占めるので、最初の10年をいかに低金利で通過するかがポイントです。賃金が上がっているとはいえ、今の日本経済はアメリカほど好調ではないため、向こう10年間で金利が急上昇する可能性は低いでしょう。
加えて、現在の固定金利と変動金利の金利差を踏まえると、6回以上の利上げがないと変動金利が固定金利を逆転することはありません。短期間で6回もの利上げが行われることは考えにくいですし、仮にあったとしても高金利が10年間ずっと続くことはないと思われます。金利は景気サイクルと連動するため、高金利が10年続くことは好景気が10年続くことを意味しますから。
――依然として変動金利が有利のようですが、返済額の増加を負担に感じる人も少なくないと思います。すでに変動金利で借りている人はどんな対策ができますか?
ひとつは借り換えです。新規獲得競争の激化により、各行は基準金利の上げ幅ほど新規貸出金利を引き上げない可能性が考えられます。ですので、今後何度か利上げが繰り返されれば、既存ユーザー向けの適用金利と新規貸出金利の差が大きくなってくる可能性があります。そのような場合は、住宅ローンの借り換えをすることで金利負担が抑えられます。
もうひとつは資産運用です。変動金利で借りている人は、固定金利で借りているつもりで、固定と変動の金利差額を株式や不動産投資で運用してはいかがでしょうか。株式投資は中長期的には2%~3%のリターンが見込めるので、中長期の資産運用はリスクヘッジになります。反対に、インフレで円の価値が目減りしている中、必要以上の現金を手元に持ち続けるのはおすすめできません。
団信の保障内容も踏まえて比較検討を
――最後に、現在から将来にかけて住宅購入を考えている人に向けて、住宅ローン選びのアドバイスをお願いします。
何よりも、借りる前にしっかりと比較検討することが大切です。比較することなく、不動産会社から紹介された銀行や近くにある銀行で住宅ローンを組む方も多いですが、住宅ローンは長期高額の借り入れなので、わずか0.1%の金利の差でも返済額に大きな差が出てくることを理解しておく必要があります。
ただ、比較といっても単に一番金利の低い銀行を選べばいいというわけではありません。低金利のネット銀行は審査が厳しく、借り入れのハードルが高いですし、団信(団体信用生命保険)の保障内容も踏まえて選ぶ必要があるからです。
住宅ローン選びのポイントは、審査が通る中から、金利と団信の経済条件が最も有利な銀行を選ぶことです。これを個人でやろうとすると大変ですが、モゲチェックの住宅ローン診断なら、無料で簡単に住宅ローンの比較ができます。個人情報を入力すると、団信の保障内容を金利に換算して、適用金利から団信の保障分を引いた実質的な金利コストをもとに、おすすめの住宅ローンがランキング形式で表示されるようになっています。融資承認確率も表示されるので、融資に通る中から最も条件の良い住宅ローンがわかります。
さらに、PayPay銀行ともう一行では、住宅ローン診断ユーザー限定の優遇金利が設定されているので、公式ホームページ等から申し込むよりも安い金利で借りられます。こうしたサービスも活用しながら、賢く住宅ローンを選んでください。