7月に日銀は利上げを決定しました。その後の株式市場などの混乱はまだ記憶に新しい所です。一方、米国では9月に利下げが予想されています。米国で利下げが行われると、どのような銘柄が注目されるのでしょうか。米国の利下げで注目される可能性のある銘柄について、米国の3銘柄を取り上げて解説します。

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上限5.5%まで引き上げられた米国の政策金利

新型コロナウイルスの経済への影響を軽減するため、各国中央銀行は急速な利下げなどを行いました。その成果もあり、コロナ禍による経済危機は避けられ、その後は引き下げた金利を元に戻す動きが起こっています。

米国も各国と同様、政策金利を段階的に引き上げており、2023年7月には金利の上限を5.25%から5.5%へ。その後1年以上にわたり、5.5%を維持しています。

日銀利上げの一方で、米国では9月に利下げ予想

各国の利上げが一服する中、最終ランナー的に日本銀行は、7月に政策金利を0.25%へ利上げすることを決定しました。ただしその後、株式市場が乱高下するなど、日銀の利上げは大きな影響を金融市場に与えました。

一方、米国では9月に利下げが見込まれています。長期のインフレや加熱気味の景気を背景に長く続いた米国の高金利政策ですが、足元では景気減速を示す指標が相次いでいます。その中で、いよいよ9月に米国の中央銀行にあたるFRBが利下げに踏み切ると予想されているのです。

米国の利下げで上昇が期待できる3銘柄

好景気が続く米国ですが、高金利政策は不動産市況の悪化を招きました。利下げにより、高金利下で苦しんでいた企業や業界が復活する可能性も生じます。

9月に予想される米国の利下げを契機に注目される可能性のある米国銘柄を、以下に3つ取り上げました。

  • ウォルマート
  • テスラ
  • 米国REIT

それぞれ解説していきましょう。

ウォルマート(WMT)

ウォルマートは米国最大の小売りチェーン店です。米国の景気は個人消費に大きく影響されます。5%を超える政策金利によりカードローンの金利も上昇しており、米国ではコロナ禍後も長く良好な状態が続いた個人消費に陰りが見えています。

米国で利下げが行われると、個人消費が時間の経過とともに回復すると見込まれます。その時に恩恵を受ける銘柄として、小売り最大手のウォルマートを外すことはできないでしょう。

テスラ(TSLA)

米国の大手EVメーカーといえばテスラです。EV銘柄として知られるテスラですが、乗用車を購入する際は自動車ローンを組んで購入するのが一般的なのは日米ともに変わりません。

現在の米国の政策金利(上限)は5.5%であり、自動車購入時のローンの負担感も重くなっています。よって利下げは、米国では移動に欠かせない乗用車の新規購入や買い換えの切っ掛けとなりうる政策です。

反EV政策を掲げるトランプ前大統領の政権復帰リスクがあるものの、長期的に見ればEVは普及の方向にあります。利下げはテスラにも業績後押しの効果が期待できます。

米国REIT

米国では利上げ後のREITのパフォーマンスが芳しくありません。米国REITを代表する指数FTSE Nareit All Equity REITs Indexは2021年12月末に1,000ポイント目前で高値を付けた後は下落して、2024年は700ポイント台での取引が続いています。

米国の高金利政策は、借り入れも行い物件を調達するREITに大きな影響を与えました。EC普及によるショッピングモール系REITの不振が続く可能性はあるものの、REIT全体としては利下げが今後の投資パフォーマンス向上の契機となる可能性があります。

米国の利下げは金融市場変化の転機となりうる

利下げにせよ利上げにせよ、米国の金融政策の変化は金融市場の転機となるケースが非常に多いです。9月に予想される米国の利下げの影響は、一時的に留まらず長く続く可能性もあります。

9月に米国で実際に利下げが行われた後、株式市場にどのような影響を与え、どのような銘柄が上昇するのか、その行方が注目されます。