トヨタは11月28日、「TOYOTA GAZOO Racing」ブランドから、スープラ(3.0L)一部改良モデルと、特別仕様車 スープラ“A90 Final Edition”(300台限定)を発表した。

  • 写真上:スープラ(3.0L)一部改良モデル(日本仕様・プロトタイプ)
    写真下:特別仕様車 スープラ“A90 Final Edition”(日本仕様・プロトタイプ)

・スープラ(3.0L)一部改良モデル
日本、欧州、豪州などグローバルで順次導入予定、発売予定時期は2025年春以降順次

・特別仕様車 スープラ“A90 Final Edition”
日本、欧州で導入予定、発売予定時期は日本が検討中、欧州が2025年春

上記の「スープラ“A90 Final Edition”」を集大成として、現行スープラの生産が終了となることが明らかになった。ただし、今後もモータースポーツ活動を通じてスープラを鍛え続けていくとも述べている。

スープラは1978年に初代モデルが誕生して以降、直列6気筒エンジンのFR車という特徴を受け継ぎつつ多くの人に愛されてきた。モータースポーツ車両としてSUPER GTにも参戦し、スープラをベースとしたレース専用車両「GR Supra GT4」も世界中の様々なレースで活躍。2019年には、マスタードライバーのモリゾウこと豊田章男会長の強い想いで17年ぶりに復活し、2020年と2022年には一部改良モデルを発売している。

■スープラ(3.0L)一部改良モデル

  • スープラ(3.0L)一部改良モデル

スープラ(3.0L)一部改良モデルは、市街地からワインディング、サーキットまで存分に走りを楽しめるよう「さらなる一体感のある走り」を追求したモデル。ブレーキ性能を向上し、ボディ/サスペンション/シャシー剛性の向上、チューニングの最適化、空力性能を改善している。

ドライブトレーン
ドライブトレーンは、新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制しハンドリングを改善している。フロントブレーキは大径化したbrembo製ディスクブレーキとなり、制動性能を強化。

ボディ・サスペンション
状況に応じて減衰力を調整する電子制御ダンパーの特性を見直し、合わせてフロントスタビライザーを強化。前後スタビライザーブラケットにはアルミ強化品を用い、フロントコントロールアームに強化ゴムブッシュを、リヤサブフレームに強化ゴムマウントを採用した。これらの改善によって走行性能が向上し、サスペンションとボディの一体感も高まったとしている。

ほかにも、リヤ床下ブレースの構造強化、EPS制御の最適化、前後のキャンバー角の見直しを行い、ボディ剛性、コントロール性能、コーナリングの安定性が向上している。

外装
ダックテールタイプのカーボンリヤスポイラーを装着。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、フロントタイヤスパッツの高さを拡大することで前後の空力バランス、ダウンフォースを最適化。接地性とハンドリング性能が向上した。ホイールカラーはマットブラック。

内装
ドライバーシートにGRロゴ刺繡を施したアルカンターラ+本革シート表皮を使用。シフトノブのリングとステッチ(6速マニュアルのみ)、シートベルトを赤色とすることでスポーティーさを強調している。

■特別仕様車 スープラ“A90 Final Edition”

現行スープラの集大成として、台数限定で発売する特別仕様車。主な強化ポイントとして、エンジン出力・トルクの向上、ブレーキやボディ剛性の強化などを図っている。

  • 特別仕様車 スープラ“A90 Final Edition”

パワートレイン
吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。エンジン制御も最適化を図り、出力が285kW(387PS)から320kW(435PS)に、トルクが500N・m(51.0kgf/m)から570N・m(58.1kgf/m)に向上した。このエンジン性能向上に伴い冷却性能も強化。ラジエーター冷却ファンの強化、サブラジエーターの追加、ディファレンシャルギアカバーの冷却フィンも大型化などを行っている。

エンジンオイルパンにはバッフルプレートを追加。シャシーセッティングも新しくなり、アクティブディファレンシャルの制御を最適化してハンドリングを改善。マフラーはアクラポヴィッチ製チタンマフラー。

  • エンジントルク図

ブレーキ
フロントブレーキは、brembo製19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用。前後にフローティング構造のドリルドディスクを採用することで優れた制動力を確保している。ブレーキホースはステンレスメッシュで、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を抑えている。

ボディ・サスペンション
GR Supra GT4でも採用したKW製サスペンションを装着し、前後スタビライザーを強化したことで限界性能を向上。フロントロアアームには強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを使い、リヤサブフレームをアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感も高まっている。

フロントカウルブレースの強化とフロント床下ブレースの追加、リヤの床下ブレースの構造強化も実施し、室内には強化ラゲージクロスバーを導入。ボディ剛性も高まった。ほかにも、EPS制御の最適化、前後のキャンバー角の見直しなどを行い、コントロール性能、コーナリング時の安定性能も向上している。

外装、タイヤ・ホイール
空力性能の開発はTOYOTA GAZOO Racing Europeが担当。カーボンフロントスポイラー、カーボンフロントカナード、フロントセンターフラップを採用し、スワンネック構造のカーボンリヤウイングを装着。前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグの最適化により、接地性とハンドリング性能を高めている。カーボンボンネットダクト、脱着式のインナーダクトも追加した。

タイヤは、ハイグリップタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」。ホイールは、フロント19インチ/リヤ20インチで「TGR」のロゴを刻印している。

内装
シートパッドにアルカンターラ素材を使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」を採用。しっかりと体をホールドし、ドライバーにかかるGが増加する状況でも正確なドライビングをサポートする。

アルカンターラ素材は、ステアリングホイール、ドアトリム、センターコンソールニーパッド、センターアームレスト、シフトノブ・ブーツ、インストルメントパネル中央部の表皮などにも使用している。運転席シートとシートベルトは赤色で、台数限定モデルの特別感を出すため専用のカーボンスカッフプレートも備えた。