5月9日、ウイスキーコレクション・ディアジオスペシャルリリース 2023年モデルが発売となった。ディアジオ社はスコットランドでもっとも多くの蒸留所を所有している英国の大手酒造企業だ。ディアジオスペシャルリリースは毎年数量限定で発売。稼働中の蒸留所に加え、すでに閉鎖している蒸留所の原酒からもリリースされることがあるという、ウイスキーファン注目のコレクションとなっている。
2024年のテーマは「Spirited Xchange」。世界各国の文化と伝統からインスピレーションを受け、新たな息吹を感じさせるウイスキーに仕上げている。今回は7種類をリリースしたが、その中から「ローズアイル 12年 スペシャルリリース(23)」を飲み倒してみた。
ローズアイル蒸留所は、ディアジオ社が2009年に建設した新しい蒸留所だ。スぺイサイドの北部に位置し、生産量は年間1,000万リットルと最大級の規模を誇る。
新しい蒸留所なのでまだ認知度は低いものの、バイオマス燃料を活用したり、製麦工場とパイプをつないだ熱交換システムを導入したりと、CO2(二酸化炭素)の排出量を大幅に削減する最新鋭の設備を有している。コンピューター制御で管理、製造しており、なんと蒸留所では10人しか働いていないという。
これまでローズアイル蒸留所では、ディアジオ社のブレンデッドウイスキー用としてウイスキーを製造していた。今回の「ローズアイル 12年 スペシャルリリース(23)」が、シングルモルトとして初のリリースとなる。
ビンは細長いノーマルタイプで容量は700mL。カスクストレングス(※)ながら、アルコール度数は56%とやや低め。色はゴールド。ラベルは日本文化をモチーフにした「THE Origami Kite(折り紙の凧)」だ。
熟成させた樽は「MATURED UN FIRST-FILL EX-BOURBON & REFILL CASKS」との記載。バーボンを熟成した樽に初めてスコッチを入れたものと、何度かスコッチを入れた樽で熟成したことがわかる。
※カスクストレングス
樽から出したウイスキーのアルコール度数を調整せずにビン詰めしたもの。一般的にアルコール度数が高く、ウイスキー本来の香りや味わいが色濃く反映される。
さて、さっそく試飲してみよう。香りは、まろやかでリッチ。アルコール感がツンと来たが、これは封開けのため。ゆっくり飲んでいると、どんどん香りが開いてくる。バーボン樽で熟成させたので、当然バニラ感が強い。ナッツや南国系フルーツのニュアンスもある。
味わいもまろやかでクリーミー。胡椒(コショウ)のようなスパイシーさもありながら、とにかく甘やか。ウッディで豊かなうまみがあり、12年物としては十分に美味しい。余韻はあまり長くない。
一口目はすごくパワフルだなと感じたが、すぐに落ち着いて、美味しく飲める。とても甘やかなので、食後の1杯にぴったり。アルコール度数が高く感じるなら、1ccくらい水を入れると香りが開き、味わいもまろやかになる。それもきつく感じるなら、ウイスキーと同量の水を入れるトワイスアップという飲み方がおすすめ。ハイボールにすると、ジャムっぽさが出て、それも美味しい。
封開けはBARで飲んだのだが、家でも毎日「ローズアイル 12年 スペシャルリリース(23)」を飲んでみた。食中酒にするならハイボールが似合う。肉料理にぴったりだった。食後、Netflixを見ながら飲むときはストレートで楽しんだ。自宅飲みということで、贅沢になみなみと注いで飲むのだが、美味しいのですぐになくなってしまう。つまみにはチョコレートに合わせると、お互いがさらに美味しく感じた。
「ローズアイル 12年 スペシャルリリース(23)」をバーで見かけたらぜひ試していただきたい。もちろん購入して贅沢に家飲みもあり。イチオシは、ウイスキー好きへのプレゼントだ。
ウイスキー好きへのプレゼントはウイスキーが一番だが、そういう人は大抵の銘柄は飲んでいる。その点「ローズアイル 12年 スペシャルリリース(23)」は新製品だし、限定品でもあるので、ウイスキー好きでも飲んでいる人は少ないはず。初めて飲む銘柄なら喜ばれることうけあいだ。
新興の蒸留所が初めてリリースした銘柄でこのクオリティであれば、今後はどんな進化を遂げるのかとても楽しみ。蒸留し始めてから14年しか経っていないので、18年物が出てくるのはしばらく先のことだが、待ち遠しい。
撮影協力
バー アマミ
東京都品川区西五反田8-2-5 ファインズ西五反田 1F