金(ゴールド)の国内小売価格が、連日最高値を更新し続けています。10月23日には、1gの国内小売価格が1万4,748円と史上最高値に到達。金価格はどう推移し、なぜここまで高騰しているのでしょうか。今回は、コメ兵の久野真史氏(商品部 シニアエキスパート)に金価格高騰の背景、金の買取状況などについてお話を伺いました。
■金価格の推移と高騰の背景
━━まず、これまでの金価格の推移について教えてください。
金価格は、2020年から見ても右肩上がりに推移している状況です。直近では、1gあたりの国内小売価格が1万5000円に近づこうとしており、大きな話題になっています。
━━10月18日には4日連続で最高値を更新しましたが、金が高騰している背景には何があるのでしょうか。
金は、「有事の金」と言われるほど安全資産として重宝されています。中でも、政治が動く局面や世界情勢が緊迫した時には、価格が上がる傾向にあると言われています。また、金利が下がるとお金を預けていても増えていかないので、金など他のものにお金が流れるというのが一般的です。
直近では、中東情勢の緊迫やアメリカの金融政策の利下げ転換、円安などが金価格高騰に影響しているのではとの報道があります。
またここ数年では、さまざまな国でドルなどの貨幣ではなく、金を持つ比率が上がっています。 そういったことも、金の需要が上がっている要因の1つなのでは、と考えられています。
■1gの国内小売価格が1万4,000円を超え、来客数が増加
━━インゴットや金製品の買取状況はいかがでしょうか。金価格が高騰しているというニュースに伴い、取引量は増えていますか。
1万4,000円を超えた10月15日~17日の3日間の買取実績を昨年同時期と比較したところ、全体として約130%増加していました。中でも、持ち込みの比率としては、やはり「インゴット」や「コイン」が増えていますね。
その前の週の後半も1万3,000円後半まで、相場が上がっている局面でしたので、お客様の来店自体は増えていました。しかし、1万4,000円になる前の週と、1万4,000円を超えた週3日間(15日~17日)の来客数を比較をしてみたところ、平均110%増加していました。
やはり、1万4,000円を超えたタイミングでメディアに多く取り上げていただき露出が増えたことで、来店が増えたと感じています。
■金として買取できる製品とは
━━次に、金として買取ができるものと、それらを買取に出す際の注意点があれば教えてください。
買取できるものは、リングやネックレスなどの装飾品と、インゴットやコインなどの装飾品ではなく資産としての意味合いが大きいものに分かれます。装飾品を買取に出す時、たとえば、「変形したリング」「切れたネックレス」「片方だけになったピアスやイヤリング」などは買取してもらえるか気になるかもしれませんが、こうした状態でも問題なく買取できます。一方、インゴットやコインの場合は、国際的に通用するものであるかどうかも大切になってきます。
買取価格の算出方法は、基本的に「重量×その日の相場」になりますので、装飾品については、変形していたり切れていたりしても金額が変わることはありません。
その他には、金製品であれば以下のようなものも買取の対象になります。
・仏具(おりんなど)
・万年筆のペン先
・金の時計のコマ
・金の置物
・懐中時計(チェーンが金のものもある)
・金の古い時計
※刻印が判断できない場合、買取不可のケースもある
たとえば、万年筆は品によってはペン先の部分が14金や18金の製品でできていることがありますし、時計もブレスレットのサイズ調整が必要になるので、その際余ったコマが金製品であれば買取ができます。
ただ、お客様自身で金製品か否か判断するのは難しいと思います。弊社の鑑定士が確認いたしますので、迷うお品があればぜひお持ち込みいただきたいですね。
━━買取の時は、何か付属品のようなものがあったほうがいいのでしょうか。
金の買取の場合、金製品かどうかを確認できれば良いため、「付属品があると買取価格が上がる、ないと買取できない」ということはありません。
ちなみに、インゴットに関しては「LBMA」、グッドデリバリーバーと言われる世界的に信頼が高いインゴットがあり、こちらに認定されているものはインゴットの中でも高く買取ができます。